ピピのつばさ1ページ絵本「モスキート伯爵のカヤ」
ピピのつばさ
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どこか
遠い 遠い 世界の
広い 広い 海の上に
小さな かわいい 島がありました。
その島には
心やさしい 果物の妖精たちが
住んでいたのです・・・。
つばさをケガした トリのピピと
果物の妖精リンゴさんが 森の中で出会う時
優しさの つばさが羽ばたきます・・・
「モスキート伯爵のカヤ」
フルーツ島の、
お山のふもとにある、モスキート伯爵のお城の庭には。
大きくて立派な、ユリの花が咲いていました。
お城の、ネズミの執事が。
そのユリを、花瓶に飾ろうと思ってハサミで切ろうとしたその時です。
ネズミの執事が、ふと空を見ると。
丘の向こうに、モクモクと立ち上がる入道雲を見つけたのでした。
それを見た、ネズミの執事は
「うわっ、これはいち大事だ！」
と大きな声で言うと。
慌てて、お城の中へ駆け込みました。
そしてネズミの執事は、タンスの中からカヤを取り出すと、
急いでモスキート伯爵のベッドの周りに吊るしたのでした。
(カヤとは。むかし、夏に蚊や虫などを防ぐ為に部屋に吊るした布のことです)
そのころには、もう辺りは薄暗くなって、遠くではゴロゴロとカミナリの音さえ聞こえてきました。
その時のことです。
「うわー、うわー、うわー」
とモスキート伯爵が、青い顔をさらに青くして、大声を上げながら部屋に飛び込んできたのです。
そして、
「うわー、カミナリだー！」
と言うと。
カヤを、吊ったベッドにもぐり込んでしまいました。
そうです、モスキート伯爵は、カミナリが大嫌いだったのです。
昔からカヤは、カミナリよけに成ると言われているのです。
ですからネズミの執事は、カミナリ嫌いの伯爵のために、急いで伯爵のベッドにカヤを吊ったのでした。
伯爵が、カヤを吊ったベッドに隠れると同時に。
「グワラ、グワラ、グワラ、ドッシーン！」
と大きなカミナリの音が鳴り響きました。
それを聞いたベッドの中の伯爵は、耳を急いでふさぎながら
「くわばら、くわばら、くわばら」
とカミナリよけの呪文を唱えるのでした。
しかし、そんな様子を知っているのか知らないのか。
カミナリの子供たちは、雲の上で面白がって何時もよりも多めにカミナリの太鼓を
「ドンドコ、ゴロゴロ、グワラ、グワラ、ドンドコ、ゴロゴロ、
グワラ、グワラ、グワラ、ドッシーン」
と打ち鳴らし続けるのでした。
えっ?
ネズミの執事さんは、カミナリは嫌いじゃないのかですって。
そうですね、ネズミの執事さんは、カミナリは大丈夫みたいですよ。
でも、カミナリは大丈夫でも、もしかしたら地震は嫌いかも知れませんね。
また後で、ゆっくりとネズミの執事さんに訊いておきましょう・・・。
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使用画像 ACイラストより 22366203
2022.11.4 11.5加筆
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