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そもそも魔王って倒さなきゃ駄目なのか?【第一章 旅立ち編 8】

前話はこちら↓

第1話はこちら↓
https://note.com/somomao_sindo99/n/nc80925d3090b


―始まりの村 ドミリア―


マサアキ
HP 3
MP 0
LV.2


グチャァ…
【卵は割れてしまっている!】


さて、どうしたものか…


今の俺はもはやどうやって新しい卵を入手するかということより


この惨状を母さんにどう言い訳したものかという方に思考が傾いてしまっている


考えられうる弁解は幾通りも脳内でシミュレーションしたが中々しっくり来るものがない


これには俺も必死だよ


下手な事を言って母さんにぶたれでもしたら俺は体力的にお陀仏だぶつだからな



…色々考えた中でも


帰ってくる途中にお腹を空かせた子供がいたから仕方なく卵を分けてあげたという、証拠隠滅に加えて好感度アップにも繋がる非の打ち所がない案も思い付いたりしたのだが


よくよく考えると生卵を貰って嬉しそうに食う蛇みてぇなガキなんかいないし

仮にいたとしても頭の中で思い描いた、次々と卵を平らげていくガキとそれをかたわらで微笑ましそうに眺めている俺がいる光景があまりにもキモすぎたのでやめた



「マサアキマサアキ〜〜!!」


この声…またあいつか

やれやれ…今日はやたらと回避不可なイベントが多いな

今はかまっている暇なんかないというのに

…ん、しかし待てよ

……

ニヤリ…
【マサアキは不気味な笑みを浮かべている!】

お腹すかせてる子供見~つけた

【マサアキは好感度が20下がった!】



「今日もたくさん釣れたよクリムザリガニ!!マサアキの家のポストにねじ込んどいたぞ!おすそわけってヤツだ!!」


うんうん、今日もいっぱい遊んだのか~

じゃあお腹減っただろ~

「なんかくれんのか!?くれくれ!」

まぁ慌てるな。これ全部やるよ

【マサアキはグリルに割れた卵を渡した!】

「マサアキ何これ…?じこげんばってやつ?」

何って卵だろうが

「ぜんぶ割れてるけど…」

食いやすいように割っといてやったんだよ

「おいら知ってるよ。こういうのってよけーなおせわって言うんだろ?」

違う違う、気が利くって言うんだ

「とにかくいらないよ。おいらこれいらない、マサアキに返す」

遠慮するなよ。お前だって俺におすそ分けしてくれたんだろ?

だったら俺もお返しだ。貰ってくれ

「こんな気持ちわるいおすそわけ見たことないぞ!」

お前が言うんじゃねぇよ!!いいからとっとと食えや!

【マサアキはグリルの口に卵をねじ込んだ!】

「やめっ!?マサアキやめろ!!むぐっ…!?」

ははは…!!

ほぅら美味しそう、ほぅら美味しそう

ガブッ!
【グリルの攻撃!】


【マサアキは2のダメージを受けた!】


分かった分かった分かった…!分かったからそれ以上噛むな!


マサアキ
HP 1
MP 0
LV.2



まんしんそうだ…目にゴミが入っただけで死ぬ

「やっぱり無理だったのかーお使い、マサアキにはまだ早かったみたいだな!うはは!」

また体の一部引っこ抜かれてぇのか

最後の望みも完全に消え去った

覚悟を決めて帰るしかないな

「マサアキ帰ったら怒られるのかー?」

まぁな、最悪死ぬ

「死ぬ!?」

冗談だ。お前ももう帰れ

「…………」


「よし、じゃあおいらが卵をもらって来てやるよ!」

…はぁ?

お前が?誰から?

「そのしごとなかまって人から」

お前の仕事仲間じゃねぇだろ。無理だ

「大丈夫大丈夫! あんたのしごとなかまの子供のトモダチって言えばくれる気がする」

それで、そうか!そんじゃ持ってけ!って言う人どんだけ気前良いんだよ


「あとで持ってくな!もらったらポストに入れとくから少ししたらカクニンしといてくれよ!」

【グリルはその場をあとにした!】

なんでもかんでもポストにいれんじゃねぇよ

本当に行きやがった…

大丈夫なのか?


何やら自信があったようだが、あいつをあてにするほど俺も落ちぶれちゃいない

変に期待してがっかりするより帰って謝ってしまった方が早いし、気も楽だ

ードミリア 玄関前ー

てことで家に着いたわけだが…さぁどうなる?

まぁ、99.9パー怒られるだろうな


けど案外すんなり「え、卵?いずれ割れる物だし良いわよ良いわよ」とかって言ってくれる可能性も

0.1パーぐらいだったら

―リビング―

「イヤァァァァァァ!!」

イヤァァァァァ!!



「なんて事なのこの卵の有り様は!?完全な玉突き事故じゃないの!!生存者が一人もいないわ!!」


ごめん母さん!色々あったんだよ!


「色々って何!?卵を貰ったは良いものの帰りの道すがら女の子にセクハラしてるおじさんに果敢かかんにも立ち向かった結果見事に返り討ちにあって割ってしまったとでも言うつもり!?」

おぉふ……まさかのピンポイント

話が早くて何よりだよ


「何よりだよじゃない!信じられる訳ないでしょそんな話!!」


じゃあわざわざそんな具体例を出さないでくれ。俺を断罪する為だけのエピソードじゃねぇか


「はぁ~…こんなことになるならいっそ頼まなきゃ良かった。そもそも無理があったのよお使いなんて…しかも今回は割れ物だもの、その難易度たるや計り知れないわ」

グリルといい、普段なんぼ程出来ないやつだと思われてんだ

ま、出来なかったけどさ

「まぁまぁそう言うな母さん。これは教訓だ」

「この経験を次に生かせば良いんだ。お使いをする時発情したおじさんには気を付ける」


「これが分かっただけでも今回は収穫だ」


いや金輪際こんりんざい生かす機会ねぇよそんな経験


「けどあなた…!私くやしいの…!!こんな大きい子が…う…うぅ…!」


なんであんたが泣くんだ。泣きたいのは俺の方だよ

「ばかもの、仕方ないなお前は」

「俺が付いてる。今夜は好きなだけ泣くんだ……うぅ…ぅ…!」

あんたも泣くのかよ

いい大人がやめてくれ

「うぅ…う…う…!!」
「う…うぅ…うぅ…!!」


二人してうーうー泣くんじゃねぇよ!


ーマサアキの部屋ー

ふぅ…両親号泣から正味30分

ようやく解放された。一体何度もう割りませんと言わされた事か

それにしても今日はとんだ災難だったな。色々あってなんだか疲れた…

少し…休もう…

……ZZZ…

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ZZZ……もう…ごめんなさい…割りません…すいません…許し───

「イヤァァァァ………ッ!!」

んあ!?

何だ?今のは…母さんの声?

何かあったのか?

そのまま寝る
リビングに行ってみる

めんどくせぇ…と言いたいところだけど

今日ぐらいはな

ほぼ俺の過失ではないとはいえ一応迷惑かけたし

そのまま寝る
リビングに行ってみる  ◀︎

~To be continued~

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魔王を倒しにいく


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