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【コラム】南チロルの風

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2003年から南チロルでソムリエとして働いているマサがサービス業を通じて気付きや考え方をコラムにしています。
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#ワイン

【コラム】南チロルの風:11



新たな門出21歳の3月、まだまだ冷たい春風が吹く中、山下少年はレストランサドレルの門の前に立っていました。このレストランで働くためにオーナーのサドレル氏と面接をする約束をしていたのです。数ヶ月前に康一兄さんと食べにきた時とはまた別のどきどき感と感じながら、いざ呼び鈴を押そうとするところでした。

思えばこの2ヶ月はたくさんのことがあっという間に過ぎ去って行きました。1月のサドレル訪問時の福本伸

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【南チロルの風】コラム10で紹介したワインの案内



「これは南イタリアのサッシカイアだ」そうロバート・パーカーに言わせたワインの作り手はモンテヴェトラーノのオーナー、シルヴィア・インパラート氏。彼女はローマで人物写真を撮る写真家でした。一人の顧客との出会いが彼女をワインの虜にしてしまい、ローマのエノテカで企画された試飲会へ参加するようになりました。そこで知り合ったレンツォ・コッタレッラ氏に相談をし、彼女の好きなカベルネベースのワインをカンパーニ

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【コラム】南チロルの風:10



ブォニッスィモ Buonissimo!!
さてワインの注文はといいますと、これがいつものごとく大変な問題なのでした。当時から僕は何を食べようかと悩むメニューより、何を飲みたいか悩んでしまうワインリストに多くの時間を費やしていました。もちろん無言で。だまってワインリストとにらめっこをしていると、同席の方はたまったものではありませんね。その日も同じように康一さんを放っておきワインリストにかじりつき

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【南チロルの風】コラム5で紹介したワインの案内

【南チロルの風】コラム5で紹介したワインの案内

ドルチェット・ダルバ ルチアーノ・サンドローネ
「もし無人島に1本のワインを持っていくとすれば、ドルチェットを持っていくだろう」ピエモンテ州の有名な醸造家の言葉です。

果実味豊かでフレッシュな味わい、しかも幅広い料理やチーズに合わせやすいワインを作るこのブドウは、ピエモンテ州を中心に北イタリアで栽培されています。
 

ところでこの名前、「ドルチェット」。

一見甘いワインかと思ってしまう名前で

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【コラム】南チロルの風:3



【南チロルの風 Il Vento dell’Alto Adige 3】

イタリア。ここには僕に大きな影響を及ぼしたあるワインとある人の存在潜んでいたのです。

そのワインとその人が僕をイタリアに連れてきたといっても過言ではありません。

イタリアにくるキッカケのワインスイスに住んで半年近く経ったある時期に、トスカーナ州のフィレンツェへ出かけました。

アンティノリ(Antinori)というワ

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【コラム】南チロルの風:2

【Il Vento dell’Alto Adige 南チロルの風】

【南チロルまでの道のり(ホテルスクール編)】もともと僕はホテルマンを目指す千葉の片田舎の若造で、ホテル専門学生のときにある有名なソムリエと出会ったことから始まります。

その方とお話がしたくて、毎日小まめに挨拶をして、ある日勇気を出して告白をしました。

「三宅さん、ソムリエになるためにはどのような勉強をしたらいいでしょうか?」

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【コラム】南チロルの風:1

【Il Vento dell’Alto Adige 南チロルの風】

このコラムを書き始める前に僕はここ南チロル地方(イタリア語別名アルト・アディジェ州)に来て18年目を迎えようとしています。

オーストリアとスイスに面した北イタリア。

そこは山に囲まれ、整備された落ち着いた街並、そしてのどかな風景。

常用語はイタリアだけど『ドイツ語』。

ここ南チロルは渓谷で形成されたアルプス山脈の麓にある

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