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20240118「星を掴む」

薙ぎ倒され
斜視に困惑され
その落ちる遅さの間に
わたしは地面に近づく
浮かれてしまった2本の脚で
予知余地していたはずの
それでいて
確かさのうごめきさえ
とうに這い這いへと帰る
濁った水を含み
泥々になった足元に
ぴしゃっと跳ね返る
濁点の続き
塗れたからには
一層のこと
ずぶ濡れになってもいい
きっとすぐに
真白な雪が隠してくれる
真綿の記憶で夢を見る

どこを通ったのか
宛てもなく放浪しながら
落ち着く所へ落ち着くのだろう
知らない土地に根差して
引き抜かれたのは
誰のせいでもないはず
選んだと思っていたけど
選ばれたのだと
そう思っていればいい
それ以外の数多までも
それを応援するだろう
旗振りの風を孕み
翻る様相のしもべ
絶え間ない風上と
凪の風下との隙間
抗うでもなく
遠くの記憶の漣
汀を歩きつつ
その足を雪ぐ

冷たさの中でも
帰って温もりを感じることもある
奥に仕舞っておいた
あれこれの守破離
段階を踏んで
跳び箱を一段上がり
然もなくば一段を下がる
踊り場で何を詠うのか
見上げつつ曇る虚像を合焦させ
濁りの水面に
波紋が宿る
掴もうと手を伸ばし
そこまでの逃避行
余りにも遠いから
足元の水溜りに
ひかるものを見出す
すぐに壊れてしまう残像に
ゆらりと撫でて
星を掴む

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