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#63『ロールキャベツ』(著:森沢明夫)を読んだ感想【読書日記】
森沢明夫さんの『ロールキャベツ』
先月に刊行された森沢さんの新刊です。
読んだきっかけ
久しぶりにハードカバーの本を読みたいと思いながら書店へ。新刊コーナーを見ながら気になったのが本作でした。
森沢さんの作品は本作で初めて読みましたが、昨年、『プロだけが知っている小説の書き方』を読んでから気になっていた作家さんです。
このような方にオススメの本です
とにかく心温まる作品が読みたい
特にやりたいことがなくて悩んでいる大学生
何か新しいことに挑戦したいが、その新たな一歩が踏み出せない
あらすじにある「チェアリング」に興味がわいた
あらすじ
人生の脚本は、
自分で書き換えられる!
夢も趣味もない大学2年生の夏川誠をかえたのは、
ただ椅子に座るだけの遊び「チェアリング」の
仲間たちだった。
『虹の岬の喫茶店』『夏美のホタル』の著者が贈る
青春起業小説!
チェアリングとは?
椅子を持ち歩いて、好きな場所でくつろぐこと。
さぁ、椅子を持って出かけよう!
\\チェアリングのメンバー//
◆夏川誠
趣味なし夢なし、やりたいことも特になし。
就活しない大学二年生には思わぬ才能が!
◆王丸玲奈
ミュージシャンになってステージで
飛び跳ねたい! だけどできない事情が……。
◆上村風香
夢は農家レストランの経営。
場所は絶対あの場所と決めている。
◆長沢智也
大学生にして投資家。
ミリオネアを目指すようになった理由とは。
◆奈良京太郎
喫茶店のオーナーを目指して修業中。
実家の病院はどうしても継ぎたくない――。
生まれ変わるなら、生きてるうちに。
プロローグ
第一章 青の世界
第二章 若草色のテーブルクロス
第三章 葡萄色の朝
第四章 鉛色の波
第五章 パイナップル色の夕空
第六章 ピンク色のTシャツ
第七章 金色の文字
第八章 ブルートパーズ色の海
エピローグ
あとがき
感想
心温まる平和な空間に、気を抜くと目から雫が
悩みや困難があっても、誰かを包み、包まれながら前に進む5人が愛おしい
数々の素敵なフレーズは、あなたの心も温かく包んでくれる
新海国際大学の3年生になる夏川誠(マック)、王丸玲奈(パン子)、上村風香(風香)、長沢智也(ミリオン)、奈良京太郎(マスター)の5人。ひょんなことから集まった5人が始めたのは、ただ椅子に座るだけの「チェアリング」でした。
ロールキャベツを食べた時の優しい味のような、とにかく心が温まる1冊でした。
序盤は、平和過ぎて逆に不安になるくらい。5人の中に入って一緒にハイタッチしたい!と思いながら読んでいました。登場人物たちもみんな優しい。でも、決して温かいだけではない。その影にある、打ち明けられない悩みや困難。それぞれが人生の重荷を抱えていて、心が温まっているだけにその分強く締め付けられました。そんな時でも、ロールキャベツのように誰かを包み、包まれながら前に進む5人が何よりも愛おしく見えました。
どこか不器用な5人が作り出した心温まる平和な空間に、僕の心も包まれたような感覚に。気を抜くと目から雫が落ちそうでした。あくまで落ちそうで、実際には落ちてないですからね!たぶん(強がり)
そして、数々の素敵なフレーズに出会えました。特に響いたのが、千鶴バアと風香の台詞です。
「言っとくけど、いまのわたしは人生で最強なのよ」
「だって、ほら、いまのわたしは、過去から見たらいちばん人生経験豊富で、未来から見たらいちばん若々しいでしょ?何でもできちゃう気がしない?」
「だってさ、些細でしょーもないことにまで悩んで動けなくなる人って、裏を返せば、自分の人生の些細でしょーもないところまで大切に思ってるってことだもん」
僕は些細なことで悩んだりすることがよくあり、その度に「なんでこんなことで悩んでいるんだろう」と自己嫌悪になってしまいます。また、何かをする前に、「今から始めても遅いんじゃないか」と思うことも一度や二度ではありません。本作を読んで、体がふっと軽くなったような感覚がありました。
特にやりたいことがなく悩んでいる、新たな一歩が踏み出せない、人生に疲れたな……。そんなあなたの心も温かく包んでくれるはずです。
「チェアリング」は本作で初めて知りましたが、手軽にできそうで実際にやってみたい気持ちがわきました。今度は青空の中で、椅子に座って本作を読みたいですね。
ドキドキの展開もあったり、あとがきにはワクワクすることが書いてあったり。衝撃のどんでん返しや飛び抜けた登場人物が出るわけではないけど、大切にしたい、誰かにすすめたい「推し本」になりました。
印象的なフレーズ
「でも、やっぱり、誰かと一緒に景色を眺めながら会話ができるのがいいんだよね。向かい合うんじゃなくて、同じ方を向いて、同じ景色を見てると、普段は言えないようなことも言えたりしてさ」
「言っとくけど、いまのわたしは人生で最強なのよ」
「だって、ほら、いまのわたしは、過去から見たらいちばん人生経験豊富で、未来から見たらいちばん若々しいでしょ?何でもできちゃう気がしない?」
「自分の『心の声』ってな、最初のうちは無視できとっても、時間が経つに連れて無視できなくなるんよ」
「だってさ、些細でしょーもないことにまで悩んで動けなくなる人って、裏を返せば、自分の人生の些細でしょーもないところまで大切に思ってるってことだもん」
「あたりまえやけど、人は死んだら終わりやん?せやから、生きとるうちに、自分の人生の脚本を自分で書き換えて、好きな自分に生まれ変わらなあかんよって」
「ぼくらの人生って、小説とは違って、とくに何も起きないんだよなぁって」
(中略)
「ってことはさ、小説にするほどのことすら起きてないのに――ぼくらって、ほんと些細なことで悩んだり、泣いたり、怒ったり、苦しんだりしてるってことだよね」
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