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世界でもっとも貧しい大統領「ホセ・ムヒカの言葉」 佐藤美由紀


「貧乏な人とは、少ししか物を持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」




世界でもっとも貧しい大統領「ホセ・ムヒカの言葉」 佐藤美由紀


人間本然主義。


以前読んだ松下幸之助さんの本で出逢った言葉。


この言葉がずっと心に残っていて、ニュースを見たり、新聞を読んだりして嫌な気持ちになると、この言葉を思い出していました。


そして


「人間本然主義とは何か?」とよく考えるようになっていました。


ようやく、僕が考える「人間本然主義」とは、ホセ・ムヒカさんの言葉が言い表しているのではないかと思い当たりました。


2012年、ブラジル・リオデジャネイロで開かれた、国連の「持続可能な開発会議(Rio+20)」 初日、各国の首脳のスピーチが行われました。


その最後に、南米のある小さな国の大統領が演台に立ちました。


彼は語り始めます。 
   

西洋の富裕社会が持つ傲慢な消費を、
世界の70億~80億の人ができる
と思いますか。

そんな原料がこの地球に
あるのでしょうか。

我々の前に立つ巨大な危機問題は、
環境危機ではありません。政治的な
危機問題なのです。


現代に至っては、人類が作ったこの
大きな勢力をコントロールしきれて
いません。


逆に、人類がこの消費社会に
コントロールされているのです。


私たちは発展するために生まれて
きているわけではありません。

幸せになるためにこの地球に
やってきたのです。


消費が社会のモーターになって
いる世界では、私たちは消費を
ひたすら早く、
多くしなくては
なりません。


消費が止まれば経済が麻痺し、
経済が麻痺すれば、″不況の
お化け″が
みんなの前に現れる
のです。


このハイパー消費を続けるためには、
商品の寿命を縮め、できるだけ多く
売らなければなりません。


ということは、本当なら10万時間
持つ電球を作れるのに、1000時間
しか持たない電球しか売ってはいけない
・・・・・・。

私たちは、そんな社会にいるのです!

長く持つ電球はマーケットに良くない
ので作ってはいけない。


人がもっと働くため、もっと売るために
「使い捨ての社会」を続けなければ
ならないのです。


悪循環の中にいることにお気づき
でしょうか。


私の謙虚な考え方では、これは
政治問題です。


「貧乏な人とは、少ししか物を持って
いない人ではなく、無限の欲があり、
いくらあっても満足しない人のことだ」


根本的な問題は私たちが実行した社会
モデルなのです。


そして、改めて見直さなければなら
ないのは、私たちの生活スタイルだ
ということ。

【スピーチ抜粋・中略あり】


8分間のスピーチのあと、静まり返っていた会場が沸き立ち、しばらく拍手が鳴り止みませんでした。


ウルグアイ東方共和国 第40代大統領ホセ・ムヒカのリオ会議でのスピーチは、「もっとも衝撃的なスピーチ」と呼ばれるようになりました。


彼は大統領官邸に住むことを拒み、妻が所有する小さな農場で暮らしました。


給料の約90%を慈善事業と所属する政党に寄付し、残りは貯金。


その貯金の目的は、自分の農園に貧しい子どもたちを受け入れる農学校をつくるためなのだそうです。生活費は妻の収入で。


質素なライフスタイル、決して多いとは言えない資産。

それが世間に知れ渡り、いつしか、
"世界でもっとも貧しい大統領″と
呼ばれるようになったのだ。

青年時代ムヒカさんは、左派の武装グループに参加します。「世界を変えたい」と強く思い、革命運動にのめり込んでいくのです。


その後


収監され、およそ13年間にわたる獄中生活を強いられました。


拷問・虐待


悲惨な獄中生活によって、ムヒカさんに人生の哲学が形成されたのです。

「私は、何もない中で生き残りました。
それで、人生において、限度を知り、
どんな小さな
ことにもありがたみを
持つようになったのです」

自身の体験から生まれた言葉だからこそ、心に響きます。震えます。


すべての言葉が、本当に素晴らしいです。


その中から、心に刻んだこの言葉を。

「人がものを買うときは、
お金で買ってはいけない。

そのお金を貯めるために
割いた人生の時間で買って
いるのです」



【出典】

世界でもっとも貧しい大統領「ホセ・ムヒカの言葉」 佐藤美由紀 双葉社

人生で一番大事なことは、成功することじゃない、歩むことだ

ホセ・ムヒカ

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