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ひとりで本をつくることについて

ひとりで本をつくることについて

1)

 本の話をする前に自分のことを少しだけ書きます。

 僕は今、神奈川県の西端にある港町にいて、そこで暮らしながら詩やエッセイなどの文章を書いています。同時に雑誌のために挿絵を描いたり、グラフィックデザインの制作依頼を受けたりするような、一人でできる仕事もやっています。住んでいる家は高台にある賃貸で、天気のよい日は真っ青な相模湾と初島がみえます。春夏の暖かい時期は軒先で野菜を育てています。学

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新刊案内|のもとしゅうへい『いっせいになにかがはじまる予感だけがする』

新刊案内|のもとしゅうへい『いっせいになにかがはじまる予感だけがする』

小説『いっせいになにかがはじまる予感だけがする』を2023年11月25日(金)より発売します。

いっせいになにかがはじまる予感だけがする

著者 のもとしゅうへい
価格 1,800円+税
ジャンル 小説
ISBN 978-4-9913347-0-2
Cコード C0093
判型 A5変形判
(縦194mm 横112mm 厚さ23mm)
頁数・製本 238ページ/上製本
初版年月日 2023年11月

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草と花と本の話

草と花と本の話

2022.10.15

 先日に発行した、ZINE『知らない草探しの会』。
 生活の傍らで目にする名もなき草花の姿をおさめた、写真集のようなアートブックになる。

 大学進学後の数年間を東京で過ごし、今は神奈川の南西で暮らしている自分にとって、暮らしている場所や、この先どこへゆくのかということは、重要な問題なのだけれど、行き着く先は自分でもよくわからないところがある。
 季節としての春は、春へとか

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旅する本が生まれるまで

旅する本が生まれるまで

2022.08.27

 夏の終わりに本を発行した。『ひょっとして、旅』というタイトルの雑文集。少部数の発行にもかかわらず、発売開始から時を置かずして、いろいろな人たちのところへ渡っていった。ここでは本ができるまでの話をします。

 旅、というものはとても個人的な背景を持つ言葉だと思う。旅という言葉をいろいろな人がいろいろな目的のために使っていて、旅という言葉の意味はそのつど再決定されて、更新され

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ジャポニズム手帖が生まれるまで

ジャポニズム手帖が生まれるまで

本づくりは初夏にはじまる

 2021年の暮れに一冊の本をつくった。タイトルは『Un petit carnet Japonisme』。

フランス語で、小さなジャポニズムの手帖という意味だ。本のテーマは、「日本の文化的なスポットをフランス人に紹介すること」。

 どうしてフランスなの? という質問を何人かにされそうなのだけれど、これはとても簡単で、元々僕自身がフランスの文化や風土が好きなことからは

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