せきしゅ

所司一門将棋センター青砥店の席主です。将棋に関する豆知識やミニ講座を投稿していきます。

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最近の記事

俺だって強くなりたくて…~加古川振り返り~

帰りの新幹線でこの文章を書いている。 この時間帯で新幹線に乗るつもりはさらさら無かった。当然だ。俺は個人戦に出ると決めたら毎度泣きの1回のつもりで出ることにしている。ノー勉で個人戦に出るようになった時が「将棋指し」として俺が死ぬ時だ。 加古川には2年前に出て、去年はパスした。自分の中で将棋に納得がいかなかったからだ。2年前出場した時もそれ相応の準備をしたし、1局目で倒したい相手に勝てた。準備したからだ。 今回の準備は自分の中ではそれを上回るほど自分を鍛えたつもりだ。なんせ俺

    • 野良犬の意地

      分かっていたことだが、俺は本当にしょうもない奴だ。 とにかく自分に甘い。自分で一番よく分かってるし、同い年で三段リーグのトップを走るアイツや同期の面々達と比べるのは今となっては凄く失礼ですらあるが、一番燃えてなければいけない時期に自分を甘やかし、気付いたときには将棋が壊れて勝手に人生を無駄にしてきた。 今更になって、自分にまた甘えてもう一度だけ、泣きの1回で将棋を頑張る時期を設けさせてもらった訳だが、やはりブランクを感じている。 ここ最近の自分の将棋の自覚症状として、秒を読

      • AIの絡む戦術論(将棋編)

        私のことを知らない人も多いかと思うので、まずは自己紹介から行きます。 私の棋歴としては、5歳から将棋を始めて今年で20年になる25歳の元奨励会初段です。 奨励会を退会してからアマチュアの大きな大会にはあまり参加しておりませんが、過去に加古川清流戦アマ予選でベスト4(プロ公式戦まであと2勝)と、朝日アマの全国ベスト16(プロ公式戦まであと1勝)という結果が出ています。 また、今は閉店となってしまいましたが、所司一門将棋センター青砥店の席主をしていたこともあります。要するに、レ

        • 竜王戦所感

          ※あくまで個人の感想として読んでください。 竜王戦が決着した。 私は今更プロ棋士の誰かを特別に応援するとかはしないタイプだが、リスペクト全開でこの文章を書くつもりだ。 決着局となった4局目の将棋、封じ手の場面というのはドラマで、私の解釈ならば藤井さんが、「残りの持ち時間と一晩かけて読み切ってごらんなさい」という意味の▲24飛だと思った。 有識者の後輩とラーメンを啜りながら1日目の封じ手までこの将棋について語ったが、たっくん(今回は伊藤先生ではなく「たっくん」で行きます)は、

        俺だって強くなりたくて…~加古川振り返り~

        マガジン

        • 四枚美濃に憧れて
          4本
        • 将棋講座
          2本
        • 苦境から生まれた戦法
          7本

        記事

          指したい相手

          突然、将棋が楽しいと感じられるようになってしまった。 一体何故、どうして。 12歳くらいから奨励会を意識するようになって、それ以降「楽しい」という感情で将棋とは向き合ってこなかったのに、何故か今は楽しい。  明らかに将棋からはもう離れてるし、定跡すらうろ覚えになってたり手癖で指したりしてしまうが、将棋にしろそれ以外のゲームでも(私の場合麻雀)強い相手と真剣に戦えることの幸せに気づいたからなのかな。まあ将棋のアマチュアは弱すぎると思ってるけどw(あーまたこういうこと書いちゃった

          指したい相手

          いたいのとんでけ

          いつからか、一体今まで何のための人生だったかと塞ぎ込むことが増えた。 起きれない朝に眠れない夜 途切れない悩みで失せた気力 ゴールや目的を失ってまで自分や世間体を保つのが辛くて仕方ない。なにもしたくない。文章にしている今もうんざりしている。 死にたくないけど生きたくない 病院の先生から紙を貰う。生まれてから死ぬまで絶対縁が無いと思っていたし、五月の時点でその病気になってしまった自分が嫌いになる。 「誰かのために将棋を指そう」 何故奨励会を辞めてすぐの頃、センターで席

          いたいのとんでけ

          憧れ

          久しぶりにnoteを書く。 知っている人は私がなぜ「アマ大会の個人戦にはもう出ない」とまで断言したにも関わらず、アマ名人戦の予選に来ていたのか不思議に思うかもしれない。 聞かれる度にはぐらかしてきたが、近況報告に ついてはいずれまた。 今回の記事は昔憧れた先輩棋士の話。 僕は修業時代、相当な数の記録係をこなした。 奨励会の後半から独り暮らしを始めたこともあって、生活のために記録でもらえる報酬で主に生計を立てていた。生活するためには長い持ち時間の記録をたくさん取らなければなら

          朝日アマ振り返り

          少し時間が経って気持ちが落ち着いてきたので、先日の朝日アマの振り返りでもしようかと思う。 去年の加古川、今回の朝日アマと私が公式戦に絡む大会に出続けていた理由を明記しておく。 1、就職活動の助け 2、プロ公式戦出場 2はともかくとして、直近の2年間履歴書にかける内容がない(自分で書いておきながらマジか)私にとっては、アマ大会で成績を残しておくと就活に有利だと考え、約1年前から無い知恵を絞りながら準備してきた。幸いにも内定獲得まで漕ぎ着けることが出来、「後は勝つだけ」という状

          朝日アマ振り返り

          2023

          明けましておめでとうございます。 年が明けたので、気ままに所信表明していこうと思います。 今年は25歳を迎える年で、将棋を始めて20年目となる自分にとっては節目の年になります。 僕にとって将棋とはやはり掛け替えの無いものだったようで、奨励会を辞めた後も一時は完全に離れていたものの、なんだかんだプレイヤーとして復帰して、それなりの成果が去年は出せたと思います。 僕自身の体感としては、プレイヤーとして将棋を本気で続けていくならば、生活の全てを捧げそれこそ小山怜央さんや現役の奨

          加古川青流戦振り返り③

          前回の続き ※↑注意書きを忘れてましたが、文章が荒いのでご了承下さい。 いきなり突拍子も無いことを書く。 この文章を読んでいる人の中に、「将棋で他人の人生を奪ったことのある人」はどれくらいいるのだろうか。「俺」は2回ある。当日編の文章は、そういう気持ちで読んで欲しいのだ。 1回戦の組み合わせが決まった。目の前に座った相手は、アマチュア棋界についてあまり詳しくない私でも知っているくらいの超有名強豪だった。 実は彼が加古川に参加することは知っていた。ついてないね、なんて

          加古川青流戦振り返り③

          加古川青流戦振り返り②

          前回の続き。 将棋の勉強を再開するにあたって、まず手始めにすべきことは何なのか…。 私には実質的に3年のブランクがあった。会社員時代に参加した職団戦、トリプルカップ。そして去年の10月に出たシモキタ名人戦では大会直前にちょろっとスパーリングした程度であった。 会社員時代はセンターでの席主業務の一環として、奨励会試験を受ける少年たちとぶつかり稽古をやっていた。また、辞めてからのブランクもまだ短いこともあってか、そこまで棋力は落ちていないように感じていた。だが、その頃からは

          加古川青流戦振り返り②

          加古川青流戦振り返り①

          ※気持ちが冷めた状態で書くのもなんか違うなと思い、当日の夜中に書いてます。それなりに荒っぽい文章になるでしょうがご了承下さい。 1月29日。「俺」を完全復活させる日が来た。今日の為にアルバイトを1ヶ月丸々休ませてもらって、ほとんどの時間をこの日のことだけを考えて過ごした。修行時代ですら準備期間は大抵2週間だというのに今回は倍だ。なけなしの旅費を握りしめて新幹線に乗った。 今回の加古川青流戦に参加を決めたのは、去年の暮れに締め切りが迫っていることに気づいた事から始まる。去年

          加古川青流戦振り返り①

          毎年この季節になると

          あっという間に今年も残り一月半になってしまった。思えば、この一年まるっきり何も進歩していないし、何か新しいことを始めるどころか始めようとすらしていない。空白に近い一年だったと思う。 丁度今から三年と少し前、12月の中頃。実質的に私は奨励会を退会した。実質的にと言ったのは、一応その年度の3月まで在籍だけしていたからだ。今にしてみれば、辞めるに辞めきれなくなってしまっていたのだろう。毎年冬が近くなるにつれ、あの頃のことを思い出す。 今まで出来ていたことが少しずつ、まるで自分の

          毎年この季節になると

          あらためて思ったこと

          最近本当に将棋から離れてしまった。 しれっと2週間前に「シモキタ名人戦」に参加したっきり、Abemaトーナメントやライブ中継すらも見ない始末。将棋の神様がもしいるなら、真っ先に見放されそうな感じである。 そんな中、あるニュースを耳にした。なんでも「元奨励会員によるソフト指し」ということで、かなり炎上もしてるらしい。 完全に外野の立場である私が、わざわざ何か説教じみた事を書くつもりは全くないのだが、同じ元奨励会員としてはどうしても気になってしまう話題である。実際、ソフト指

          あらためて思ったこと

          ゲーム上達の難しさ

          こんにちは、お久しぶりです。せきしゅです。 しばらくnoteを更新しておらず、サボり気味になってしまいました汗 講座記事のストックもなく、そもそも将棋からまた離れてしまっていたこともあり、また一から出直しですね。 近況報告はこれくらいにして、今回の記事の内容ですが、要は、「将棋の上達って難しくね??」というお話です。最近ふと疑問に感じたので、自分が納得するまでつらつらと書いてみたくなりました。長くなる予定なので何回かに分けて書いてみようかなと思います。 「ゲーム」の上達

          ゲーム上達の難しさ

          現役奨励会員とVSしてきた

          こんにちは。せきしゅです。 先日、現役奨励会二段の弟がどういう風の吹き回しかVSを誘ってくれたので指すことになりました。今回はその日の対局の中から内容が良かったものを選んで紹介したいと思います。 また、この将棋は彼独特の序盤研究が世に出てしまうので、もしかしたら今後、彼にとって例会の結果に不都合が出てしまう可能性もありますので、有料記事とさせてください。個人的には「面白いことを考えたな」と思ってます。兄なりの気遣いとしてはこれ位しかできませんでした泣 それでは、始めます

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