あらためて思ったこと

最近本当に将棋から離れてしまった。

しれっと2週間前に「シモキタ名人戦」に参加したっきり、Abemaトーナメントやライブ中継すらも見ない始末。将棋の神様がもしいるなら、真っ先に見放されそうな感じである。

そんな中、あるニュースを耳にした。なんでも「元奨励会員によるソフト指し」ということで、かなり炎上もしてるらしい。

完全に外野の立場である私が、わざわざ何か説教じみた事を書くつもりは全くないのだが、同じ元奨励会員としてはどうしても気になってしまう話題である。実際、ソフト指しをしたとされる人物とは面識もあり、なんなら一緒に働いたことだってある。パソコンの知識に乏しい私が、彼にセッティングの仕方を教わったりもした。

はっきり言うと、「ソフト指し」という行為を行ってしまった以上、彼に弁解の余地は全くといっていい程ない。「将棋の神様に見放されそうな立場」の私でも、金輪際将棋を指さないでくれとさえ思う。しかも過去にも彼がソフト指しをしていたことは有名であり、私も知ってはいた。今更バレたところでここまで騒ぎになるとは思わなかったが。

ただ、私が一番言いたいのは、私も過去に人を貶したり過ちを何度も犯した経験がある故、これ以上責めないであげて欲しさもある。人が思う以上に、誹謗中傷というのはダメージが大きいことは恥ずかしながら私もよく知っている。彼も一度はプロを目指した身であるならば、私と同志ともいえる。そんな同志を、皆がよってたかって叩いてる図は見るに耐えないのだ。まあ、彼が犯した罪の重さに変わりはないのだが。とにかく、そっとしておいてあげて欲しい。

ところで、件の話題についていろいろ見ていくなかで、「元奨励会員」とか、「奨励会」というワードでYouTubeの動画を上げると食い付きがいいのだろうか。一般的なアマチュアファンにとっては(特に級位者の視聴者が多いのだろう)、奨励会員というのは雲の上の存在のように感じ、崇める対象になるからなのかもしれない。「ソフト指しの彼」以外にも、「奨励会」を売り文句に動画をアップしている人を何人か見た。実際、他の将棋YouTuberより再生数は伸びているみたいだ。

いまや「奨励会」というだけでブランドになるというのだから「見放されそうな立場」の私的には滑稽である。入ってすぐやめるだけなら正直な所、本人の努力次第でどうとでもなる(これ以上書くとまた怒られそうなので口をつぐみますが汗)。7年半の奨励会生活で「本物」を何人も見てきたつもりだが、やっぱり彼らと我々では住む世界が違うのだと幾度となく分からされた。そんな「本物」すらも三段リーグで夢破れたら、「元奨励会」という括りですぐに辞めてしまった「偽物」といっしょくたにされてしまうとは、なんと空しいことであろうか。

一体何をそんな偉そうに上から目線で物を言ってるんだと思われそうだが、そろそろまとめに入る。間違っても私は「本物」ではない。ただし、「偽物の元奨励会」であるつもりも全くない。あくまで、「俺は俺」である。心血を注いで一途に将棋の勉強をし、後に新人王になるプロともしのぎを削った。これ以上の「奨励会員の証明」は無いからだ。「俺」はこれからも「将棋指し」であり続ける。神様に見放されようが、どんなに弱くなろうが、いつまでも将棋を指し続ける。そんなところだ。

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