加古川青流戦振り返り②

前回の続き

将棋の勉強を再開するにあたって、まず手始めにすべきことは何なのか…。

私には実質的に3年のブランクがあった。会社員時代に参加した職団戦、トリプルカップ。そして去年の10月に出たシモキタ名人戦では大会直前にちょろっとスパーリングした程度であった。

会社員時代はセンターでの席主業務の一環として、奨励会試験を受ける少年たちとぶつかり稽古をやっていた。また、辞めてからのブランクもまだ短いこともあってか、そこまで棋力は落ちていないように感じていた。だが、その頃からは流石に時間が経ちすぎていた。圧倒的に手が見えない。勉強再開直後は、筋が悪すぎて後で見返すと嫌になるような将棋ばかり指してしまう始末だった。

こういう時はやはり棋譜並べと詰め将棋に限ることくらい、人生の大半を将棋を指していた人間なので知っていた。実戦で感覚を養うことも大事だが、早指しは手が荒くなる。今は力を取り戻す時期だと言い聞かせた。ひたすら木村一基先生の棋譜を並べ、詰め将棋を当日までに3000問やることにした(実際は詰め将棋そのものを用意することが出来なかったので2100問程度だったが)。

ベースは出来上がった。少しずつだが感覚も戻りつつあるという自信もついてきた。ここで実戦も勉強に取り入れることにした。こちらは当日までに300局最低でもこなすことをノルマにした。後、私にはアマ大会でのキャリアや経験も足りないので、慣れるために都名人戦の予選に参加した(1回戦で逆転負けを喫して頭に来て麻雀打ちに行ってしまった以外は良い練習になったと思う。反省)。

ソフト研究に関しては力がついてないうちは絶対やらないと決めていた。今でもおすすめしない。当日の作戦とスタイルを事前に決めて、ハメ手を沢山ソフト研究で用意してきたクセにこんなことを言うのも変かもしれないけれど、何でもかんでも答えを聞く癖がつくと読む力が身に付かないと考えている。将棋の勉強、いや修行にはアナログに限る。もちろん、勝つための研究にソフトを使うことは全く問題ないのだが。

当日まで残り2週間と少しの段階で、ついにハメ手を研究することにした。自分の指す戦法を固定し、対アマチュアでなり得る戦型に絞って研究した。ちょろっとネタばらしすると、現役の頃は誰が相手でも2手目△84歩だったところを△34歩に変えた。


格上に勝てなければ加古川に行く意味は無い。


奨励会を辞めてから元三段に大会で一度も勝てていない私からすれば、「殺意マシマシ」の序盤でリードを奪って、先行逃げ切り以外は大体勝てない気はしていた。現役の頃からの不治の病なのだが、私には足が無い。しかもポカも多い。競り合いで元三段に勝てるなら、私の肩書きも「元奨励会三段」でなければおかしい。とにかく、勝つことだけを考えていた。元三段に一発入れる前に純粋アマに負けてられっか。会った奴全員「ぶっころモード」である。言葉が最低すぎるのは自覚しているが、「殺る気」全開で当日を向かえた。

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