記事一覧
個展『真昼を泳ぐ魚たち』を終えて
真昼を泳ぐ魚たち、という台を思いついたのは随分前のことだった。
学校は水槽のようで、海があることを知っているのに閉じ込められた狭い世界に辟易していた。集団であることを強いられるのも弱いからだったのだろうか。
少女たちは銀の鱗や鰭の美しさを未だ知らない。だからうつくしい。
今回の個展では、群れからはぐれて(もしくは飛び出して)しまった魚たちの物語を描いた。
傷こそが光を孕むこの世界で、少女た
あの日死ななくてよかった
猫が死んで、恋人と別れ、毎日パニック発作を起こしていたあの地獄から四ヶ月が経った。わたしは生きている。あんなに死にたいと思っていたのに、それでもやっぱり、生きている。
新しい猫を迎え、新しい人たちと出会い、薬を飲んで日々は続く。
母は言った。
貴方の人生は映画や小説みたいね。
わたしの人生は見ていて面白いかもしれない。見ているだけなら、だけど。本人からしたらたまったものではない。天国と地獄を
初めてのひとり旅 《1日目》
これは三重県尾鷲市を訪れた、初めてのひとり旅の記録。
わたしは、基本的にやろうと思ったら即やっちゃうタイプの人間である。せっかくのゴールデンウィーク、どこかに旅をしたいと思っていたところ、とある被写体さんからお声がけ頂いた。
即日にちを決め、即ホテルを予約し、バスを予約し、新幹線を予約した。この間一時間。
やりたい時にやらないと、その時の自分はその時しかいないとおもう。
そんなこんなで当日。
やっぱり、苦悩してよかった。
2023年。
高校二年生から写真を撮ってはや五年。
いろんなことがあった。
いろんな人にあった。
でも、苦悩してよかった。
最近になって、ようやくそう思えるようになった。
私の写真の根源は、《自分の命の証拠が欲しい》。
今までは、暗い海の底から見た空が綺麗であるように、辛い精神状態の時こそが納得のいく写真を撮れると思っていた。
幸せになることが怖かった。
幸せになったら、写真が撮れなくな
トライアングルシンドローム
何度も、繰り返し夢を見る。
私はウエディングカメラマンとして、新郎新婦が手を繋いで歩いてくる姿を後ろから撮影している。白いベールが目に眩しい。高いヒールを履きこなす美人だということが後ろ姿からでも窺える。
震えないように、手ブレしないように。脇を締めてその事実を受け止めようと、身体が動く。
二人が振り返る。
聖良(せいら)と真人(まひと)。
二人は私の幼馴染だ。
はっと目が覚める。
この頃、何