覚悟、真昼の光
最愛の猫が死んでから、この世は地獄だと思うようなことが何度もあった。
ありえないくらい哀しい出来事が重なって、わたしは一日に二回発作を起こすようになった。
私は双極性障害と、パニック障害という精神疾患を抱えて生きている。
それを美談にする気はさらさらない。
その疾患のせいで、友人や恋人を何度も失っている。生きづらいことも事実だし、それがきっかけで迷惑をかけることもたくさんある。
だけど、光をまだ、夢見ている。
死んで仕舞えばよかった。死んで仕舞えばよかった。死んで仕舞えばよかった。
何度呟いて、頭を打ちつけて、我に帰ればもう明け方になっている。
わたしは表現者だ。
だから、光をまだ夢見て、この地獄から垣間見える光の美しいことを記してから死ななければならない。
地獄から見た蜘蛛の糸はさぞかし美しくまた残酷だっただろう。
障害者から見た健常者もまたそれに近い。
絶対になれない『ふつう』に焦がれ、その通常性と凡庸さに憧れている。
誰にも助けを求められないならわたしが這い上がっていつか難破船を導く灯台になる。
あなたのSOSを必ず拾い上げる無線機になる。
絶対にあなたを置き去りにしたりしない。
大丈夫。もうわたしは死ぬことへの甘美さに惑わされない。
覚悟して生きていく。
2023/07/24
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