四ノ宮 勇魚

少女性 水と光 フィルム

四ノ宮 勇魚

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  • ワンロールは小さな写真集

    撮って出しフィルムを全部お見せするnoteをまとめました。ブュッフェのようにお好きなものを楽しんで。

最近の記事

オレンジの片割れの君へ

今何処にいるかわからない、大事なわたしの、片割れ。 切り分けられたオレンジの様な。同じ水を分かち合った魂だったのだと、今はわかる。 貴方が今どこにいても、どうか、しあわせ、と笑えますように。 きっと貴方はそんなこと、望まないと思うけれど。 貴方は簡単な言葉で、人を惑わすように笑うくせに、どこか危うげなまっすぐさを持っていた。 まっすぐすぎる針がパチンと折れてはじける、みたいな、しゃぼん玉が凍って割れてしまう、みたいな。 貴方のことをずっと、ただ祈っている。 貴方が

    • 真夏の弾丸大阪遠征 リターンズ!

      死にたかった。なんとなく。 なんとなくなのにすごく死にたくなるときがあるのは、病のせいであるという理解はしている。 でも苦しい。苦しくて、紛らわせたくて、真夜中に宵乃入(@ilipics)さんとXのスペースでお話ししていて、ふと思い立った。 宵さんがいる大阪に行こう。 翌日、寝ないままの体で始発に乗り新幹線で新大阪に向かった。ADHDと双極の躁の波に乗り、寝癖もそのまま、すっぴんで。 宵さんにお会いするのは二回目だ。前回はレンズの分解をしてもらった少しの時間しかお会い

      • アトリエは私の海

        私はずっと居場所がなくて彷徨っていた。 家族には恵まれているし、家庭環境も複雑じゃない。友達もそれなりにいる。でも何故か、ずっと、ここじゃないどこか、に行きたかった。 初めてそれを自覚したのは中学受験前のことだった。寝ても覚めても勉強のことばかり。遊んでいたかった小学生時代。まだ言語化能力が拙かった私は、なんども繰り返し『世界が灰色に見える』と伝えた。それが当時の精一杯だった。 深夜に目が醒めて徘徊することもあった。何度も母を心配させた。 大学生になって、カメラを手にし

        • 関西遠征5日目《和歌山》

          今日はずっと会いたかった人に会う。 その人のアカウントネームを水面下さんと言う。(私はすいちゃんと呼んでいる) 彼女とのの出会いは4年ほど前。私がまだカタカナのシノミヤ.という名前で写真を投稿していた頃、鉛筆で描かれたような独特なタッチの絵に目を惹かれた。フォローした後に、彼女から溢れてくる言葉も好きになった。すいちゃんが歌った歌やギターも、何度も聞いた。 すいちゃんは一度、そのアカウントを消した。 本当に探して、さがして、諦めた頃に、今の名前である『水面下』というアカ

        オレンジの片割れの君へ

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        記事

          関西遠征4日目《森ノ宮・天神崎》

          今日は朝早くに森ノ宮でhiromin(@_yorimichi_shes )さんと撮影をした。 森ノ宮公園の中にあるスタバの場所がわからず、スーツケースを預けるロッカーがないこと、そして地下の駅から地上に出るエレベーターもエスカレーターもないことなど困ったことだらけで大いに焦った。 木漏れ日に恵まれ、とても良い撮影になった。 そこから移動して特急くろしおにて、二時間と少し。紀伊田辺まで移動する。 お目当ては天神崎の《日本のウユニ塩湖》だ。 いくつか条件が揃うと磯が鏡面の

          関西遠征4日目《森ノ宮・天神崎》

          関西遠征3日目《ふたば学舎・喫茶巡り》

          朝からパニック発作を電車で起こし、一時間半ほど集合から遅れてしまった。大阪は乗り換えも路線も多く、また強い匂い・大きい音など苦手な部分も多々あり難しい。モデルさんにあやまりの連絡を入れる。 今日の撮影場所はふたば学舎。モデルさんは夏芽(@u_xxo2)さん。ずっとずっとお会いしたかったので、遅刻してしまったことがなおさら申し訳なかった。謝罪しつつ足早にふたば学舎に向かった。 ふたば学舎は神戸市にある学校施設で、貸し出しも行っている。私は教室を予約したつもりが、なぜか調理室

          関西遠征3日目《ふたば学舎・喫茶巡り》

          関西遠征2日目《久安寺・喫茶水鯨》

          今日は朝からバイキングだった。 実は減量中なので、チキンカツと揚げしゅうまいを見つめつつ、食べ、そのあとブロッコリーを食べてカロリーをなかったことにした。 宵乃入さんとの約束のため、8:30に時空(とき)の広場とやらにつかねばならなかったのだが、ほんとうに、大阪〜梅田は建物と道の構造がわけがわからない。いや、私が方向音痴なのを差し引いてもだ。 ようやくお会いできた宵さんにレンズを預け、代わりのレンズを探しにいく間もわけがわからない道を通ってゆく。8番出口というゲームに似て

          関西遠征2日目《久安寺・喫茶水鯨》

          関西遠征1日目 《伊根の舟屋》

          朝の目覚ましで飛び起きて、髪もメイクもそこそこに、新横浜から京都駅に向かった。 元々、関西へは行きたいと思っていた。思い返せば去年の今頃はちょうど三重県の鳥羽付近や、名古屋の方へ足を伸ばしていたのだった。ゴールデンウィークを過ぎ、まだ梅雨に入る前が私にとって旅行にうってつけの時期だからだ。 新幹線を降りてサラ(@ra_en_pr )さんと合流する。ずっとお会いしたかったので、まず合流できた喜びと安心に包まれた。 そこから、電車一本で天橋立まで行ける…はずが、その電車の数

          関西遠征1日目 《伊根の舟屋》

          個展『真昼を泳ぐ魚たち』を終えて

          真昼を泳ぐ魚たち、というタイトルを思いついたのは随分前のことだった。 学校は水槽のようで、海があることを知っているのに閉じ込められた狭い世界に辟易していた。集団であることを強いられるのも弱いからだったのだろうか。 少女たちは銀の鱗や鰭の美しさを未だ知らない。だからうつくしい。 今回の個展では、群れからはぐれて(もしくは飛び出して)しまった魚たちの物語を描いた。 傷こそが光を孕むこの世界で、少女たちはどう生きるのかを明かしたかった。 展示内容について 今回展示した写

          個展『真昼を泳ぐ魚たち』を終えて

          あの日死ななくてよかった

          猫が死んで、恋人と別れ、毎日パニック発作を起こしていたあの地獄から四ヶ月が経った。わたしは生きている。あんなに死にたいと思っていたのに、それでもやっぱり、生きている。 新しい猫を迎え、新しい人たちと出会い、薬を飲んで日々は続く。 母は言った。 貴方の人生は映画や小説みたいね。 わたしの人生は見ていて面白いかもしれない。見ているだけなら、だけど。本人からしたらたまったものではない。天国と地獄を行ったり来たりするのは見た目よりも疲れるのだ。 ところで、新しくアトリエを構え

          あの日死ななくてよかった

          覚悟、真昼の光

          最愛の猫が死んでから、この世は地獄だと思うようなことが何度もあった。 ありえないくらい哀しい出来事が重なって、わたしは一日に二回発作を起こすようになった。 私は双極性障害と、パニック障害という精神疾患を抱えて生きている。 それを美談にする気はさらさらない。 その疾患のせいで、友人や恋人を何度も失っている。生きづらいことも事実だし、それがきっかけで迷惑をかけることもたくさんある。 だけど、光をまだ、夢見ている。 死んで仕舞えばよかった。死んで仕舞えばよかった。死んで仕

          覚悟、真昼の光

          普通になりたかった

          普通になりたい。 ただ普通になりたい。 才能があっていいなといいながら平凡な暮らしがしたい。 毎日発作を起こして泣きながら頭を壁に打ち付けたり 幻聴のせいで耳を塞ぎながら叫ばなくてもいい、 そんな生活がしたい。 誰かと恋に落ちたとき、 自分が爆弾であることをいちいち打ち明けることがない生活がしたい。 相手に負担を強いることを自覚して生きる、そんなことをしなくていい生活がしたい。 わたしと付き合うと一生振り回されて不幸になる、という言葉の呪いをかけられているから、きっとそう

          普通になりたかった

          ここは地獄

          文章がかろうじて打てるうちに ここは地獄です。自分の病気はのせいで大事な人を傷つけてあげく自分は不幸であるかのようなふりをしている。音がたくさん聞こえる、わたしをいじめてた人たちの声がたくさん聞こえる、わたしの、絵や音を見て笑っている、 部屋から出らない。 動くことも食べるかどできなくなって泣いているだけで1日が暮れる。薬を大量に飲むと胃洗浄でまた暴れることになるので腕を切るだけにしとく。 救いを求めていたわたしから何も変わっていなかったことに絶望する。 蜘蛛の糸は

          ここは地獄

          初めてのひとり旅 《3日目》

          早朝三時に目覚ましをかけて昨日寝たはいいが、色々あって一時に寝たので起きられるはずがなかった。被写体さんからもうすぐ向かうという電話がなかったら普通に寝ていた。危ない。 三時に起きた理由はただひとつ。朝焼けを撮るためだ。 前日見た天気予報は一日雨。果たして。 車で向かっていく間にも、空は徐々に白んでいく。美しい光景を早く見たくて胸が高鳴った。 堤防の急な階段を登ると、そこには虹色の夜明け空が広がっていた。ただ美しかった。呼吸を忘れてひたすらにシャッターを切った。 天

          初めてのひとり旅 《3日目》

          初めてのひとり旅《2日目》

          前日早めに寝たのもあって、朝6:00に目が覚めた。外ではとんびが鳴いている。 撮影の集合時間は10:30だったが、時間を無為に過ごすのがもったいないと感じた私は7:35の電車に乗って九鬼へ向かった。 まず切符を買う。Suicaをタッチするところがなくて動揺した。電車の中で切符をチェックされさらに動揺した。切符は思い出に取っておくのでそのままハンコを押してもらった。 九鬼駅は無人駅で、こんなところでまさか降ろされないよな…と思うような何にもないところで降ろされた。 九鬼

          初めてのひとり旅《2日目》

          初めてのひとり旅 《1日目》

          これは三重県尾鷲市を訪れた、初めてのひとり旅の記録。 わたしは、基本的にやろうと思ったら即やっちゃうタイプの人間である。せっかくのゴールデンウィーク、どこかに旅をしたいと思っていたところ、とある被写体さんからお声がけ頂いた。 即日にちを決め、即ホテルを予約し、バスを予約し、新幹線を予約した。この間一時間。 やりたい時にやらないと、その時の自分はその時しかいないとおもう。 そんなこんなで当日。 新横浜から新幹線で名古屋まで向かう。東京駅の混雑具合が激しく、ニュースにもなっ

          初めてのひとり旅 《1日目》