初めてのひとり旅《2日目》
前日早めに寝たのもあって、朝6:00に目が覚めた。外ではとんびが鳴いている。
撮影の集合時間は10:30だったが、時間を無為に過ごすのがもったいないと感じた私は7:35の電車に乗って九鬼へ向かった。
まず切符を買う。Suicaをタッチするところがなくて動揺した。電車の中で切符をチェックされさらに動揺した。切符は思い出に取っておくのでそのままハンコを押してもらった。
九鬼駅は無人駅で、こんなところでまさか降ろされないよな…と思うような何にもないところで降ろされた。
九鬼は、三重県内でも有数の海が綺麗な場所らしい。電車を降りてすぐ、目の前に広がる海の水の透明度に感動した。ブルーのグラデーションに泳ぐ銀の魚。思い描いていた光景がそこにあった。
砂浜はないが、海に降りてゆく階段はあったので降りてみる。チラチラと魚の鱗がひるがえって美しい。
まだ集合まで時間があったので、田ノ尻という小さなビーチを目指してみることにする。
田ノ尻は、オハイという九鬼の中で観光地に位置する場所の道中にあるらしかった。しかしそこへ行くには、急階段と入り組んだ小道のダンジョンのような海街を行かなくてはならない。
途中でオハイを目指しているという親子さん、それからシルバーパスできたというご夫婦二人と一緒に道に迷う。どこがなんだかわからない。行ったり来たり降りたり登ったりしているうちに、元の道に戻ってしまったりする。汗だくになった私は田ノ尻をあきらめ、もと来た道を戻った。
モデルさんと合流でき、ようやく安心したはいいが、もう一度急階段を登ることに。しかし一度道を通っていたので、そこまでもう迷うことはなかった。怪我の功名(?)である。
高い位置から見る九鬼は、私が思い描いていた海の街そのもので、なんだか懐かしい気がした。心地よい風が吹いていて、階段を上り切るとほてった体を冷ましてくれる。
一通り撮り終わり、 三木里へ向かう。
お腹が空いたので周辺でお店を探すも、何もない。一件だけやっていたのは暗い照明の喫茶店。看板には、《手羽先・お好み焼き》と書いており、喫茶店とは…?となった。
勇気あるモデルさんが開いているか聞いたところ、「焼きうどんなら出せる」とのこと。ますます、喫茶店とは…?となったが、食欲には逆らえない。ありがたくいただく。
お味は、簡単に言えばソースの味がした。
三木里ビーチはとんでもなく風が強かった。即オールバックになるくらいの強さの風。久しぶりに体験した。
夕ご飯は、生け簀が店内にある海鮮料理店。刺身五種盛り定食をいただく。醤油の種類が選べるのが珍しく、面白かった。疲れた体に、弾力のある白身魚と、マグロのねっとりとした甘みが沁みる。
朝が早かったのもあり、早めに就寝する。
明日は早朝撮影と鳥羽。朝焼けが見られるのが楽しみだ。
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