関西遠征5日目《和歌山》

今日はずっと会いたかった人に会う。
その人のアカウントネームを水面下さんと言う。(私はすいちゃんと呼んでいる)

彼女とのの出会いは4年ほど前。私がまだカタカナのシノミヤ.という名前で写真を投稿していた頃、鉛筆で描かれたような独特なタッチの絵に目を惹かれた。フォローした後に、彼女から溢れてくる言葉も好きになった。すいちゃんが歌った歌やギターも、何度も聞いた。

すいちゃんは一度、そのアカウントを消した。

本当に探して、さがして、諦めた頃に、今の名前である『水面下』というアカウントを見つけた。

ドキドキしながら、DMを送ったのを覚えている。『(前のアカウントの名前)さんですか?もし違った本当に申し訳ないのですが、スルーしてください』

返信は、好意的なものだった。

それから、ツイキャスで話したり、たまにDMやLINEを送り合う仲になっていった。お互いの心の傷を、見せ合うような。

そういうわけで、すいちゃんは、会ったことはないけれど、とても大事なひとだったのだった。

すいちゃんと初めて現実世界で会って、幻滅されないかとか、色々考えた。でも、会った時にはもうそんなの吹き飛んでいて、気づいたら言葉を交わす前にハグしていた。

よくきたねえ、とすいちゃんは笑っていた。

すいちゃんのお母様に車を出してもらって、よくそこでギターを弾いていたという海に向かった。

和歌山の海は綺麗だった。大阪に比べて空気が優しくて軽い感じがして、自分が歓迎されているような気がした。

海辺でギターを弾くすいちゃんをフィルムで撮った。動画でも残した。何度も繰り返し眠れない夜に聞いた声がそこにあった。夢みたいだった。頭のどこかで、この旅の終着点はここなのかもしれないと感じた。

ギターを置いて二人で海に入る。すいちゃんは躊躇せず海の中にずぶずぶ入っていく。

あかるい絶望。

そんなイメージを抱くほどに、いさぎよい入水だった。

私もずぶずぶ入る。

私にとってシャッターを切るのは弾丸を撃ち込んでいるのに近いことだ。だから二人で共犯になったみたいだった。

こころの傷を晒すような、真昼の太陽があかるい絶望をひらいてしまうような。そんな撮影だった。

全身濡れたあとになってシャワーがないことを知る。お母様のご厚意で、家にお邪魔してシャワーをお借りした。

彼女の歌がもっと聴きたくなって、カラオケに行くことを提案した。新大阪行きの特急が出るまで、歌った。

なぜかすいちゃんの前では感情を剥き出しにしても大丈夫という安心感があった。わたし達の選ぶ歌は似ていて、通ってきた道の近さを表しているようで嬉しくなった。

楽しい時間はすぐ過ぎる。あっという間にお別れの時間が来てしまった。

また会おうね。
それを希望に私は生きるよ。

そんなことを言いながら、ハグをして、手を振って別れた。

帰りの新幹線のなかでこの旅行日記を書き終えようとしている。

楽しかった。楽しい五日間だった。
そしてそれは、間違いなく出会ってくれた人々のおかげだった。

成長できたかと言われたら、まだわからない。でも、きっと帰って、ここで会った人の言葉に影響されていることを知るのだ。

関西で出会えてよかった。
ほんとうにありがとうございました!

Special thank

サラちゃん
宵さん
さやちゃん
夏芽さん
コナミさん
hitominさん
楓ちゃん
水面下ちゃん

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