進藤尚典

進藤尚典

記事一覧

『推しの三原則』のできかた(終)

前回はこちら  以前も書いた通り、私が通っていたアイドル現場はただの一つしかありません。  それは元々声優志望のコたちを集めてつくられた声優アイドルグループでし…

進藤尚典
3年前
2

第3回阿波しらさぎ文学賞一次選考落選作品「ボーダーエッジ」

 私はショウコ。プロゲーマーだ。そして生まれ故郷は香川県高松市だった。  おー、ここでだいたいみんな思うだろう。「香川県出身でプロゲーマー?そんなことがあり得る…

進藤尚典
4年前
2

『推しの三原則』のできかた(3)

前回はこちら  自分は少年マンガが大好きであり、自分が思う最高の「少年マンガ」を生み出している作家さんとして藤田和日郎先生がいます。藤田和日郎作品は『うしおとと…

進藤尚典
4年前
9

『推しの三原則』のできかた(2)

前回はこちら  というわけでヲタクが死滅したディストピアでヲタクであろうとする少女のモデルはどんちゃんで決定し、どんちゃんの名前「宮下真実」を少しだけ変えた「木…

進藤尚典
4年前
6

『推しの三原則』のできかた(1)

Happy Birthday Happy Birthday おめでとう自分 ♩Happy Birthday/電気グルーヴ  というわけで、自分の5年ぶりの新作『推しの三原則』が発売されたよ!!この小説、も…

進藤尚典
4年前
12

創作ミルクボーイ「本田未央」

「うちのおかんがね、好きなデレマスのアイドルがいるらしいんやけど。その名前をちょっと忘れたらしくてな。色々聞くんやけど全然わからへんねんな」 「わからへんの。ほ…

進藤尚典
4年前
3

読み、合わせる

※注意 この話は「読み合わせカフェ」(ツイッターアカウント;@yomicafe)の存在を知ってもらうために書いた小説です。 ですが「読み合わせカフェ」の存在と話に出てくる…

進藤尚典
4年前
6

小説ができるまで

梗概  探査宇宙船が故障し、辺境の小惑星に取り残された6人の調査員。辺境であるがため周囲半径5光年にわたって人が存在しない。  食料は残り少なく、周囲との連絡の術…

進藤尚典
4年前
1

be a Hero

 未来。人々のそばにはヒーローがいた。これは比喩ではない。人々の横には常にヒーローがいた。  この時代の人は物を持つ必要がなくなっていた。スマートフォンすら持つ…

進藤尚典
5年前
3

be a Hero

梗概  未来。超小型の元素集積装置と3Dプリンタを組み合わせた、自分だけのヒーローをいつでもそばに具現化できるデバイス【be a Hero】が普及していた。  【be a Hero…

進藤尚典
5年前

今こそ進藤尚典先生のゲンロンSF創作講座の作品をふり返ろう(自分で)〜その4〜

 前回、書き忘れたのですが、第7回のイトウモさんとの交換実作の際に、「今回の梗概は出来が悪いので過去の僕の奴から選んでください」と言ったら「じゃあ『10文字以内……

進藤尚典
5年前
2

今こそ進藤尚典先生のゲンロンSF創作講座の作品をふり返ろう(自分で)〜その3〜

第6回「始まりの花嫁」 https://school.genron.co.jp/works/sf/2018/students/s59kaichou/2673/  ひたすらテンションの高いバカみたいな恋愛小説が書きたい。  秋葉原…

進藤尚典
5年前
2

今こそ進藤尚典先生のゲンロンSF創作講座の作品をふり返ろう(自分で)〜その2〜

第3回「イキワカレノイモウトとの相利共生」→「イキワカレノイモウト」 https://school.genron.co.jp/works/sf/2018/students/s59kaichou/2460/  新井素子さん( http…

進藤尚典
5年前
3

今こそ進藤尚典先生のゲンロンSF創作講座の作品をふり返ろう(自分で)〜その1〜

 どうも、進藤です。  ライトノベルの賞を取り、念願の作家デビューを果たしたものの、その後一冊も本が出ず鳴かず飛ばずであった自分が迷い込んだのが、「ゲンロンSF創…

進藤尚典
5年前
4

私のお友達の愛原ありさも出演します

 2018年1月21日、江古田の小さなライブハウス、【クラブドロシー】で行われた「アイドルでもアニソンでもどんとこい!vol52」というイベント。  それほどメジャーではな…

進藤尚典
6年前

谷尻まりあが細胞プロミネンスを歌った

 2018年3月25日、渋谷で行われた上月せれなのライブにゲスト出演した谷尻まりあは、3曲めに細胞プロミネンスを披露した。細胞プロミネンスは谷尻が以前所属したアイドル…

進藤尚典
6年前
3

『推しの三原則』のできかた(終)

前回はこちら

 以前も書いた通り、私が通っていたアイドル現場はただの一つしかありません。
 それは元々声優志望のコたちを集めてつくられた声優アイドルグループでしたが、そのアイドルグループの話を別のアイドルヲタにすると「あそこのヲタク怖いですよね」と恐れられるようなやんちゃ者が集まる現場でした。
 なぜそんなアイドルグループの現場に私が通うようになったのか。
 あるとき私は友人とゴールデンウィーク

もっとみる

第3回阿波しらさぎ文学賞一次選考落選作品「ボーダーエッジ」

 私はショウコ。プロゲーマーだ。そして生まれ故郷は香川県高松市だった。
 おー、ここでだいたいみんな思うだろう。「香川県出身でプロゲーマー?そんなことがあり得るのか?って」まるで、イギリス出身のシェフや、ドイツ出身のコメディアンを見ているような顔をしてなあ。
 まぁ、世間様たちがご存知の通り、香川県では条例でゲームは1時間以内と決められている。もし1時間を1秒でも過ぎるとうどんで絞め殺される。でも

もっとみる

『推しの三原則』のできかた(3)

前回はこちら

 自分は少年マンガが大好きであり、自分が思う最高の「少年マンガ」を生み出している作家さんとして藤田和日郎先生がいます。藤田和日郎作品は『うしおととら』『邪眼は月輪に飛ぶ』『黒博物館』と名作揃いなのですが、その中でも最も自分が好きなのが『からくりサーカス』です。

 今回は『推しの三原則』が、この藤田和日郎先生の『からくりサーカス』をかなり参照しています。というお話です。

 まず、

もっとみる

『推しの三原則』のできかた(2)

前回はこちら

 というわけでヲタクが死滅したディストピアでヲタクであろうとする少女のモデルはどんちゃんで決定し、どんちゃんの名前「宮下真実」を少しだけ変えた「木下あみ」が誕生しました。(梗概を読んでいただくとわかりますが最初は「木下まみ」という名前にしていて、あまりに本人まんまでマズいと思って、実作執筆の際に変えました)
 話の構成として最初からあみ視点で話が進むのではなく、最初はAIヲタクを作

もっとみる

『推しの三原則』のできかた(1)

Happy Birthday Happy Birthday おめでとう自分

♩Happy Birthday/電気グルーヴ

 というわけで、自分の5年ぶりの新作『推しの三原則』が発売されたよ!!この小説、もとはといえばゲンロン大森望SF創作講座にて、最終実作として書かれたものなのです。←いままでのあらすじ
 『推しの三原則』のアイディアの発端はツイッターでした。うろ覚えなのですがこんな内容のツイ

もっとみる

創作ミルクボーイ「本田未央」

「うちのおかんがね、好きなデレマスのアイドルがいるらしいんやけど。その名前をちょっと忘れたらしくてな。色々聞くんやけど全然わからへんねんな」
「わからへんの。ほな俺がな、おかんの好きなデレマスのアイドルいっしょに考えてあげるから、どんな特徴言うてたか教えてみてよ」
「島村卯月や渋谷凛とユニット組んでるピンクのジャージ着たアイドルやって」
「それ本田未央やないかい。その特徴はもう完全に本田未央やがな

もっとみる

読み、合わせる

※注意
この話は「読み合わせカフェ」(ツイッターアカウント;@yomicafe)の存在を知ってもらうために書いた小説です。
ですが「読み合わせカフェ」の存在と話に出てくる台本以外はすべてフィクションで実在の人物や出来事は出てきません。
ですが作者の私が感じた「読み合わせカフェ」の雰囲気を出来るだけ忠実に再現しようとして書いた話ではあります。
よろしくお願いいたします。

 うん、私はふつうの高校一

もっとみる

小説ができるまで

梗概

 探査宇宙船が故障し、辺境の小惑星に取り残された6人の調査員。辺境であるがため周囲半径5光年にわたって人が存在しない。
 食料は残り少なく、周囲との連絡の術がない。
 唯一、6人のうち生存者が1名になったときだけ、超光速の救難信号が出されるということ以外は……。
 一夜明け、女性調査員の悲鳴。6人のうち、ひとりが血まみれで発見された……。

 ……と、ここで話は幕間へ。
 今までの部分は未

もっとみる

be a Hero

 未来。人々のそばにはヒーローがいた。これは比喩ではない。人々の横には常にヒーローがいた。
 この時代の人は物を持つ必要がなくなっていた。スマートフォンすら持つ必要がなくなっていた。身体に埋め込まれた原子集積装置と3Dプリンタにより、どんな複雑な機構であってもすぐに具現化できる。手ぶらで具現化できる。
 そう、ヒーローですらも。

 グレイ坂学院はエリート校だった。学院につながる灰色の坂を、長くし

もっとみる

be a Hero

梗概

 未来。超小型の元素集積装置と3Dプリンタを組み合わせた、自分だけのヒーローをいつでもそばに具現化できるデバイス【be a Hero】が普及していた。
 【be a Hero】で具現化できるヒーローは、姿形、能力に至るまで各々が自由にカスタマイズすることができた。中高生すらも【be a Hero】を所持しており、お互いのヒーロー同士を戦わせる【Hero battle】が行われ、世の中の決め

もっとみる

今こそ進藤尚典先生のゲンロンSF創作講座の作品をふり返ろう(自分で)〜その4〜

 前回、書き忘れたのですが、第7回のイトウモさんとの交換実作の際に、「今回の梗概は出来が悪いので過去の僕の奴から選んでください」と言ったら「じゃあ『10文字以内……』で」と言われたので、「それはやめとけ!!」と即刻言い返しました。
 というわけで、引き続きふり返って参ります。
 
第8回「恒久永年女皇伝エイガ」

https://school.genron.co.jp/works/sf/2018/

もっとみる

今こそ進藤尚典先生のゲンロンSF創作講座の作品をふり返ろう(自分で)〜その3〜

第6回「始まりの花嫁」

https://school.genron.co.jp/works/sf/2018/students/s59kaichou/2673/

 ひたすらテンションの高いバカみたいな恋愛小説が書きたい。
 秋葉原の神田明神あたりを歩きながらRADWIMPSの「前前前世」を聞いているときにこんな気持ちが湧きました。
 とにかく何度生まれ変わっても絶対この人と結ばれる的なテンション

もっとみる

今こそ進藤尚典先生のゲンロンSF創作講座の作品をふり返ろう(自分で)〜その2〜

第3回「イキワカレノイモウトとの相利共生」→「イキワカレノイモウト」

https://school.genron.co.jp/works/sf/2018/students/s59kaichou/2460/

 新井素子さん( https://ja.m.wikipedia.org/wiki/新井素子)の「生き物を作ってみよう!」のお題で書きました。
 最初は、館林市や多治見市が「日本一暑い街」の名

もっとみる

今こそ進藤尚典先生のゲンロンSF創作講座の作品をふり返ろう(自分で)〜その1〜

 どうも、進藤です。
 ライトノベルの賞を取り、念願の作家デビューを果たしたものの、その後一冊も本が出ず鳴かず飛ばずであった自分が迷い込んだのが、「ゲンロンSF創作講座( https://school.genron.co.jp/sf/ )」でした。
 もともと東浩紀さんのファンで、ゲンロンのイベントを現地で直接見たり、動画をニコニコで見たりしていた自分。実は「ゲンロンSF創作講座」も出来るときから

もっとみる

私のお友達の愛原ありさも出演します

 2018年1月21日、江古田の小さなライブハウス、【クラブドロシー】で行われた「アイドルでもアニソンでもどんとこい!vol52」というイベント。
 それほどメジャーではないアーティストや声優たちが、ライブパフォーマンスを披露する定期イベントである。
 この日のことを私は終生忘れられないと思う。
 それは、私がファンである谷尻まりあが、事務所から退所し、最初にひとりで立った舞台であるからなのだが、

もっとみる

谷尻まりあが細胞プロミネンスを歌った

 2018年3月25日、渋谷で行われた上月せれなのライブにゲスト出演した谷尻まりあは、3曲めに細胞プロミネンスを披露した。細胞プロミネンスは谷尻が以前所属したアイドルグループ、アーススタードリームの代表曲のひとつであった。この曲は正確にいうと、アーススターエンターテイメントが製作したアニメ、ミリオンドールの劇中歌で、彼女たちのオリジナル曲ではない。が、オリジナルの歌い手である声優の伊藤美来がこの曲

もっとみる