今こそ進藤尚典先生のゲンロンSF創作講座の作品をふり返ろう(自分で)〜その4〜

 前回、書き忘れたのですが、第7回のイトウモさんとの交換実作の際に、「今回の梗概は出来が悪いので過去の僕の奴から選んでください」と言ったら「じゃあ『10文字以内……』で」と言われたので、「それはやめとけ!!」と即刻言い返しました。
 というわけで、引き続きふり返って参ります。
 
第8回「恒久永年女皇伝エイガ」

https://school.genron.co.jp/works/sf/2018/students/s59kaichou/2760/


 もうここらへん付近の自分はハマりたての演劇に浸かりまくっていて、演劇のことばかり考えていました。特にレティクル東京座( http://reticletkz.jp )という劇団にハマり、この梗概を書いていたのはそのDVDを見まくっていた時期でした。レティクル東京座は、役者全員が白塗りでアングラ演劇かと思いきや、ド派手な演出や、キャッチーなキャラクターでエンターテイメントを爆進する人気劇団です。
 代わる代わる登場人物が現れて踊るオープニングチェイスや、流れる字幕をバックに挿入歌とともにガンガン多場面が同時進行していく展開、劇後の撮影タイムやアフターライブなど、とにかくこれでもかと観客を楽しませることに特化したエンタメ劇団です。
 で、このレティクル東京座、実は「天皇」の登場率がめちゃくちゃ高いのです。どの劇にもほぼ確実に、天皇もしくは皇族が登場します。
 で、このときの小川哲さん( https://ja.m.wikipedia.org/wiki/小川哲 )からのお題が「天皇」だったので、もうこれは書くしかないと思いました。「ぼくの考えた最強で架空のレティクル東京座の演劇の小説版」を。
 もう、タイトルもレティクル風(あくまでぼく流の)、ストーリーもキャラクターもレティクル風(あくまでぼく流の)で、完全にメインヒロインのビジュアルもシミズアスナさんを思い浮かべて書きました。
 結果、この梗概、どこからも不評であり、初めて実作を書かなかった回となりました。
 まぁ冷静に見ると、できの悪い二次創作でしかないからなあ(残当)
 そしてやはり「天皇」という題材の取り扱い方は恐ろしく難しく、深く書くとキナ臭くなるし、かといってふわりと扱うと「天皇出す必要ないじゃん」になるし、もう題材としてめちゃくちゃ難しかったです。
 なんでレティクル東京座の主催・脚本の赤星ユウさんは、あんな使いにくい題材バンバン使うねんと思いました。
 天皇、難しい。


 第9回「劇団ふたり」

https://school.genron.co.jp/works/sf/2018/students/s59kaichou/2827/


 白状します。この回手を抜きました。
 実作を読まれた山田正紀さん( https://ja.m.wikipedia.org/wiki/山田正紀 )に「もう一度書き直すといい」とアドバイスをいただいたとき、即座に「僕もそう思います」と答えたくなりました。←死。
 本当は書き直した方がいいに決まってるし、読者を楽しませるアイディアもディティールも足りなさすぎなんですよねコレ。読み物としてかなり不完全なシロモノであることは自覚していました。最終実作が最終選考に残るかどうかのボーダーにいた自分は、最終でいいもの書かないとなあ、とそっちのことばかり考えてて、この「劇団ふたり」に関しては、「はよ書き終えないと」しか思っていなかった気がします。
 だから、この作品については、それだけは口にすまいと我慢していたのですが、皆に「読まなくていいです」と言いたい気持ちでいっぱいで、大森さんにしろ、山田さんにしろ、ハヤカワの井手さんにしろ、読んでいただいてコメントもらっている瞬間、もう、「あんなの読ませてすみません」の気持ちでいっぱいでした。←いや、なら提出するなよ。死
 で、さらに白状しますが、実はこの回だけゴッドガンレディオを聴くのも嫌で、途中をすんごい飛ばしながら、最終実作へのアドバイスの部分だけ聴きました。ほんとごめんなさい。
 でも、この宇宙に浮かぶ小さな劇場での女の子ふたりの物語ってモチーフは好きで、絶対クオリティ上げてまた書きたいなとは思ってます。
 そして、先日あった彩こん( https://www.scicon.jp )のイベント内で、創元の編集者の小浜さんが、自分の数ある作品から印象に残った作品としてこれを挙げていて。「なんで!?」と思うと同時に、やっぱりこの作品、大事にするべき作品だなあと再確認しました。
 ツメをめちゃくちゃ甘くした作品ながらも、せめて楽しめる部分として、唯一、女の子ふたりのイチャイチャを頑張って書いて、百合イチャ好きな方、まんがタイムきらら的なものが好きな方が楽しめるように目指しました。はい。
 あともう一個ついでに白状すると、2人の主人公のうち、「自分に自信がないけれど演劇が好きでしょうがなくて、役者として頑張る女の子」は自分の推しの像を投影したものです。はは、恥ずかし。


 一時期は首位に立ち、プチイキリをしたポイントレースも最終的には6位タイ。
 後半めちゃくちゃ停滞しました。
 こうして、わたくし進藤尚典は以上の梗概と実作を恥ずかしながら残し、最終実作の執筆へと向かいました。
 このあと、方向性に悩みながら、ツイッターを禁じながら、花見の約束を断りながら(結局花見には3回行った)、進藤は最終実作を書き上げるのですが、それはまた別の話。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?