居酒屋Aの売上を2倍にするにはどうすればよいか教えて下さい。
そんなお題を、居酒屋Aの営業を始めて5年の店長さんから与えられたとしましょう。
期限は1カ月。それ相応の契約金も頂くとします。
あなたならどうしますか?
〇すぐに答えを出したくなりませんか?
・・・
「A店の近所にチラシをばらまこう!」
「食べログに掲載し、予約者だけに特典を付けよう!」
「夜に高単価客として来てもらえるよう、安いランチを提供しよう!」
「PayPay・クレカ払いに対応し、決済方法を起点に新規客をつかもう!」
「店の入り口を改装し、店内が良く見えるようにすることで、賑わっている店だという印象を与えよう!」
・・・
なんて、すぐにいくつもの打ち手が思い浮かぶ方もいるでしょう。
まず初めに断っておきますが、いくつもの打ち手が浮かぶ方は、単純に素晴らしいと思います。
具体的にイメージする力が強い証拠ですよね。
〇でもそれって、まだ仮説ですよね
ただ肝心なのは、これはまだ、打ち手の「仮説」であること。
つまり、上記にように次から次へと打ち手が浮かんだ方は、
打ち手の「仮説」が思い浮かんでいる状況です。
ただその状況だと、居酒屋Aの店長から、
「で、どの打ち手がいいの?どの順にやればいいの?予算にも限界があるんだけど、、、」
なんて言われかねない。
つまり、上記打ち手仮説の蓋然性を「検証」する必要があるわけです。
・・・
「ふむふむと。そりゃそうだ」
「で、どうやって検証するの?」
ここまで読んだ方の中には、そう思う人もいるでしょう。
でも待ってください。答えをすぐに求めないで下さい。
人間は、「問い」を与えられれば、「答えたくなる」生き物です。
僕が冒頭で皆さんに投げかけた「問い」は、
「表題のお題を、期限1カ月で与えられたら、あなたはどうしますか?」
です。
〇まずは、論点設計しましょう
皆さんの答えは様々かと思いますが、まず普通の訓練を積んだコンサルタントならきっと、最初の一歩で、
論点設計し、その論点を店長と握ります。
超具体的に言うと、
”1カ月間、僕はこの問い(論点)を解くことに専念します。
この問いを解けば、どうすれば売上が上がるか、答えが出ますよね?”
というコンセンサスを、店長と取る、ということです。
この論点設計に妙があるのですが、簡単に設計した論点の例を挙げると以下のような感じです。
(本当はこの下に、もうワンブレイクされた論点が整理されていますが、例なのでこのレベルで書き止めておきます。)
例1
〇居酒屋Aの現状はどうなっているか?
〇居酒屋Aの売上が伸び悩んでいる原因・課題は何か?
〇上記原因・課題を解決する打ち手は何か?
例2
〇居酒屋Aの売上を伸ばす打ち手は、どんなものがあるか?
〇上記打ち手を評価する軸は何か?
〇軸に照らした際に、打ち手の優先順位はどうなるか?
いかがでしょうか。
この論点を上から解いて、答えを出していけば、
「居酒屋Aが売上を伸ばすために、どんな打ち手を、どんな順で打つべきか」
の答えが出ますよね。
なぜ答えが出るのか、というと、全部解けば答えが出るように論点を設計したからです。
よく日本人は学校教育の中で受験勉強に最適化するために、問いを設計することよりも、解くことに長けていると言われます。
もし論点設計が苦手だな、と感じた人は、明日からチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
(論点設計のイロハは需要があれば別記事で書きます)
〇陥りがちな罠
(考えただけでもおぞましいですが、)
もしこの論点設計を行わずに検討に特攻すると、、、
検討が散発的になったり、ただの打ち手バカに成り下がります。
またこの罠に陥ると、「検討方法の正しさ」自体の証明が難しくなり、店長も不安で仕方なくなっちゃうでしょう。
店長を不安にさせないためにも、今、何を検討しているのかを自分でも整理するために、論点を設計し、文字で書き表しましょう。
〇論点設計のその後
論点設計した後は、仮説出して、サマリ書いて、アプローチ洗い出して、検証して、答えだして、サマリアップデートして、、、と、
要は王道的なPJTワークを進むわけです。
しかし、この王道的なPJTワークも、初期の発射台である”論点”なしには
「絶対に始めてはいけない」ということを、お伝えできたなら幸いです。
〇おまけ(でも実は、ここが一番大切)
先ほど上の方で、
”普通の訓練を積んだコンサルタントならきっと、最初の一歩で、論点設計をします”
と書かせて頂きました。
でも、特別な訓練を積んだ優秀なコンサルタントはきっと、最初の一歩で、
「居酒屋Aの売上を2倍にするにはどうすればよいか教えて下さい。」
という、”大論点”自体を店長に確認します。
「伸ばしたいのは売上ですか?本当は、利益ではないですか?」と。
大論点が変われば、以下の論点設計も答えも変わる。
なのでまずは、論点設計の前に、与えられた問いを疑いましょう。
そんなお話でした。
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