見習いたい、この潔さ!恐竜、忍者、お色気、必殺技etc…子供の好きなもの詰め込みまくったおバカ映画「必殺!恐竜神父」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(590日目)
「必殺!恐竜神父」(2018)
ブレンダン•スティア監督
◆あらすじ
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自動車事故で両親を失い、傷心旅行で中国を訪れた敬虔なクリスチャンのダグは、忍者に追われる謎の女性から化石となった牙を受け取る。その牙は人間を恐竜に変身させる力を秘めていた。強大な力を得たダグは娼婦・キャロルと協力し、悪人退治を始めるが…。(Filmarksより引用)
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「アメリカと中国でわざわざ合作しておいて、なんてモノを撮ってんだ!」と思わず言いたくなるほどのどストレートなおバカ映画で個人的には最高of最高でした。
始まって早々、主人公ダグの両親が車の爆発に巻き込まれて死亡してしまうのですが、このシーンに私は衝撃を受けました。爆発音と共にカットが変わると、そこにはなんの変哲もない住宅街しか映っていません。
しかしです!
よくよく画面の下の方を見てみると
『VFX:Car on Fiqe』(特殊効果:炎上する車)
というテロップが出ていました。
私はこの映像表現に衝撃を受けました。低予算なりにCGで燃え盛る車を精一杯表現したとしても、低クオリティと一蹴されるのが関の山。ならばいっそのこと映さずにテロップだけ入れておく。なんて潔いのでしょうか。
そして、この冒頭だけで今作をどう見れば良いのかが明確になり、今後何が起きようとも戸惑うことがありません。本当に凄いです。
監督•脚本を務めたブレンダン•スティア氏はこんなにも堂々と開き直ることができる強靭なメンタルをお持ちのようなので、クソ雑魚メンタルの私からしたら羨ましい限りと言いますか、爪の垢を煎じて飲ませていただきたいです。今作以外に携わっている作品は今のところ無いようですが、いつまでも待ち続けようと思います。
あとちなみにですが、凶暴な恐竜も登場しますし、超絶チープなグロ描写もありますし、人もそこそこ死にますのでホラー映画に分類されていますが断言します。ホラーではないです笑
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◇謎の事故で最愛の両親を失った神父のダグは先輩からの助言のもと、神に見放された地•中国へと旅に出る。そこで偶然出会った瀕死の女性から恐竜の牙の化石を託されて以来、ダグは恐竜に変身する力を手に入れる。強大な力を得たダグは娼婦のキャロルと協力し、町に蔓延る悪を次々と退治する。やがて極悪非道なテンプル忍者団が全ての黒幕であることを知った2人は最後の戦いに挑む。
という、おバカなあらすじのくせに中身は案外しっかりしており、普通に楽しめます。あらゆるところに低予算ゆえのチープさは出ているものの、前述した通り冒頭のアレがあるので今更生首がただのマネキンだろうと、ダグに化石を託した女性が誰だろうと、恐竜がただの着ぐるみだろうとなんとも思いません。
もちろん、先輩神父•スチュアートとオネエのエクソシストのベトナム戦争時代の回想やモブ忍者のモノローグなど本編に一切必要の無いシーンで尺稼ぎすることも忘れていません。
余談ですが、カメラのレンズに付いたゴミ?ホコリ?が映り込んでいるシーン(8.55~10.27左下、55.03~55.46中央下)がそのまま使われています。
黒澤明監督や大島渚監督が見たらブチギレること間違いなしでしょう。
『最後まで何者か明らかにされない謎の女性から恐竜の爪の化石を託されたダグが恐竜に変身して悪と戦う』だけであれば普通のB級映画として埋もれていったかもしれません。
しかしここから『唐突に現れたチャイニーズ忍者軍団と死闘を繰り広げる』という謎過ぎる展開に突入するからこそ、唯一無二のZ級映画として今でも愛され続けているのではないでしょうか。
そして、このクライマックスの忍者集団との戦いもびっくりするくらいにツッコミどころが多いです。
キャロルはなぜかめちゃめちゃ強い上に露出度が高過ぎるレオタード姿で戦いますし、とある理由で両親と兄•ダグに恨みを持つ実の弟•サムが忍者となって登場したり、そのサムが先祖の剣を使用せずにダグと肉弾戦を繰り広げようとするもダグがフォースの謎の力で剣を引き寄せ、サムを何の躊躇いもなく斬り殺したりします。
最後はキャロルを殺されたことによる怒りの力で恐竜になったダグが忍者相手に大暴れするのですが、その恐竜が言うまでもなくチープな着ぐるみなので人が入っているのが丸わかりですし、周りの忍者と大きさが同じなので当然迫力など皆無です。
あと、必殺技•恐竜拳で忍者集団のボスであるチェン神父の生首を引き千切るシーンもめちゃめちゃマネキンです。しかもそのあとに『暴力を無くすことだけが、世界平和を達成する唯一の道である』というガンジーの言葉がデカデカとテロップで表示されます。
そのくせラストは『ダグと実は生きていたキャロルが愛の逃避行を続ける』という風に中々にかっこよく決まっており、癪に障ります笑
ちなみに致命傷を負ったはずのキャロルはなぜか歯医者さんの治療する台みたいなところに寝かされており、ぐったりしていますが『彼女は元気です』というデカいテロップが出ます。
恐竜、忍者、アクション、お色気、オネエ、伝説の剣、必殺技etc…と、子供たちが好きなものをこれでもかと足しに足して、その上あらゆるところに詰めの甘さを露呈している無茶苦茶なストーリーにも関わらず、なぜか作品として成立しているのが謎ですが面白かったです。
一説によると続編もあるようで、今作の製作費が3.5万ドルだったのに対して続編は27.5万ドルと大幅に製作費が増える予定だそうですが恐竜をCGにすることは絶対にないそうです。日本公開が待ち遠しいですね!
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