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小説 介護士・柴田涼の日常 161 起こしたあとは何もしなかった安西さん、束縛されるのが嫌いな青山さん
翌日は早番。早くに寝過ぎてしまい、夜中に目が覚めてしまった。ラジオを流しつつベッドでゴロゴロしていたが、なかなか寝付けない。明け方ころになってようやく眠くなり、気づいたら目覚ましが鳴っていた。早起きの身体になっていないため、起きるのがとてもつらい。
出勤すると安西さんが夜勤だった。安西さんは一階のBユニットに異動になったが、夜勤はまだEFユニットに入っている。「半分ずつしか起こさなくていいで
小説 介護士・柴田涼の日常 152 間宮さんが動くと周りを巻き込んで疲弊させる
翌日は遅番。間宮さんが早番だった。午後から間宮さんが三人お風呂に入れると言い出した。明日、平岡さんが六人も一人で入れることに対する配慮からだ。間宮さんが動くと周りを巻き込んで疲弊させるので、僕はなるべく余力が残るように早め早めに仕事を終わらせておく。
しかし、思うように行かないのが介護の仕事だ。思うように行かないから面白くもあり、大変でもある。排便マイナス六日だったナシタさんは十一時頃多量の
小説 介護士・柴田涼の日常 151 自分本位の間宮さんと二人のときは疲れる
夜中に間宮さんから連絡があり、明日のお風呂介助を代わってくれないかとのことだった。シフトがキツイからという理由だ。僕も夜勤明けの早番でキツイのは同じだ。その頼み方があまり丁寧なものではなかったのもあって少しイラッとしてしまったが、仕方ない、僕が一番若いんだし、と思いしぶしぶ承諾した。しかし、公平な負担とは思えず、不満は残った。せめて、次のお風呂を代わるからここはお願いしてもいいですか、とかいう話
もっとみる小説 介護士・柴田涼の日常 149 阪本リーダーの介護方針、傷だらけのヨシダさん
翌日からは二連休。休みの日はあっという間に過ぎ去ってしまう。ゲーム関連の備品についてあれこれ調べていたら終わってしまった感じだ。肝心のゲームをする時間がなかなか取れない。ゲームをする時間を確保するために、その他のやるべきことはなるべく早く片付けてしまう。寒くなってきて散歩に出かけるのも億劫になってきたが、外に出る動機づけが出来たのは良かった点かもしれない。悪い点は、どうしても宵っ張りになりがちな
もっとみる小説 介護士・柴田涼の日常 148 CユニットとDユニットの問題
休憩時間には、Dユニットの角田さんと一緒になった。最近AユニットからDユニットに異動になった角田さんは、ここで二年半くらい働いている男性介護士だが、介護の仕事をする前はコンビニの夜勤などで働いていたようだ。その後親の介護があり、その介護が落ち着いたときに何をしようかと探していたところ、介護の仕事に就くのもいいんじゃないかと勧められ、専門学校で四ヶ月ほど学んだあと、ここに来たらしい。ほんとうは、身
もっとみる小説 介護士・柴田涼の日常 147 トキタさんの嘔吐
翌日は早遅対応の日遅。遅番の時間より二時間早く出勤し、その分が残業となる。安西さんが抜け、四人になってしまったので、お風呂介助の都合上、どうしても残業が必要になってくる。お風呂に入れているときは、フロアを見ている人がいないといけないからだ。
この日は、ヨシダさんの調子が悪く、前傾が強くて傾眠がちだったため臥床対応していたが、夕食時は一人しかいないので、夕食前に離床してもらいリビングに連れて来