しあわせ資料館

これまで私を幸せにしてくれた物や出来事についての小さなお話を集めました。 うつわ、化石…

しあわせ資料館

これまで私を幸せにしてくれた物や出来事についての小さなお話を集めました。 うつわ、化石、アクセサリーなど。 短歌も好きで、自分でもつくっています。

記事一覧

推敲の一例

2024年6月号の『塔』に掲載されたある一首を例に、私がどのように推敲していったのかをご紹介したいと思います。どなたかの何かの参考になりましたら幸いです。 この上の…

2

King Gnuを詠んだ歌(自作の短歌)

2023年7月号の『塔』にKing Gnuを詠んだ歌が掲載されました。King Gnuのこととはわからないように詠んでいます。5首目のものは、King Gnuの音楽や動画にどっぷりと浸かった…

3

言葉が詩になるとき―笹井宏之歌集より

笹井さんの短歌に出会ったとき、心が現実から離れるような、ふわっと浮くような、不思議な感覚になりました。言葉が短歌の型のなかにおさまっているものの、すごくスケール…

5

他者とつむぎだす世界

上に引用したものは、物理学者の中谷宇吉郎(虚雷)と数学者の岡潔(海牛)による連句の一部です。 一人ではつくれない世界が生みだされる連句に興味をもちました。 最初…

5

角川歌壇に掲載された自作の短歌を一部紹介(2020年6月号~2022年5月号)

角川歌壇というのは、角川『短歌』の巻末にある専用ハガキに四首まで作品を書いて応募でき、四人の選者がそれぞれ特選、秀逸、佳作を選出し、角川『短歌』に掲載、発表され…

3

かりんのジャム

 「季節の手しごと」、そんな言葉に誘われて、かりんを買ったのはある秋のことでした。    「季節の手しごと」と書かれたチラシには、かりんのはちみつ漬けとジャムの作…

7

猫好きが猫好きに贈ったチョコレート🐟🎁

4

虻を詠む(自作の短歌)

 今、住んでいるアパートのベランダで虻の死骸を発見することが割とあります。    昨年の秋に、ベランダで死にかけている虻を発見しました。ちょこちょこと時間をおき…

6

『高安国世アンソロジー』よりー好きな10首(p.119-224)

 「虚像の鳩」(1968)、「朝から朝」(1972)、「新樹」(1976)、「一瞬の夏」(1978)、「湖に架かる橋」(1981)、「光の春」(1984)、未刊歌篇から好きな10首を紹介しま…

4

『高安国世アンソロジー』よりー幼子を詠んだ歌と情景を詠んだ歌(p.5-118)

「Vorfrühling」(1951)、「年輪」(1952)、「夜の靑葉に」(1955)、「砂の上の卓」(1957)、「北極飛行」(1960)、「街上」(1962)の中から、自身の子を詠んだ歌と情景を詠んだ…

2

King Gnu Dome Tour 「THE GREATEST UNKNOWN」~ライブの思い出~(ネタバレなし)

 King Gnuのライブに初めて行ってきました。実は、誰かのファンクラブに入ってライブに行くということ自体が初めてのことでした。私の人生の中でこのような日が来るとは想…

3

『高安国世アンソロジー』を読んでーあとがきと『眞實』について

 2024年1月号の「塔」の年頭所感の中で吉川宏志氏が、今年は「塔」創刊70周年の記念の年であり、創刊した高安国世の没後40年ということもあり、この機会に『高安国世アン…

10

睦月都 歌集『Dance with the invisibles』とても素敵です

 今年初めて買って読んだ歌集、睦月都さんの『Dance with the invisibles』がとても良くてこの記事を書きたくなりました。  花山周子さんの装幀で、とても素敵な歌集で、…

15

[RC GEAR]銀細工コレクションの飾り方を変えたきっかけ

 以前、紹介したRC GEAR製の銀細工の飾り方を変えたきっかけについて、ここに書いておこうと思います。 きっかけは温泉でした  シルバーリングの変色に気づいたのは、…

6

ピンクのカーネーションを飾りました。久しぶりのお花です。部屋の中にお花があると、やっぱりいいなと思います。空気が優しくきれいになった気がします。うれしい。

1

King Gnu アルバム「THE GREATEST UNKNOWN」を聴きました

 アルバム「THE GREATEST UNKNOWN」が手元に届き、聴いてみました。21曲が収められていて、1時間の構成ですが、充実していてあっという間の1時間で、すごく満ち足りた気…

3
推敲の一例

推敲の一例

2024年6月号の『塔』に掲載されたある一首を例に、私がどのように推敲していったのかをご紹介したいと思います。どなたかの何かの参考になりましたら幸いです。

この上の句になるまでに、語順を入れ替えながら推敲しました。

   ① 雨音を聴きながら塗るマンダラ絵ずる休みした日を思いだす
 
→上の句と下の句がぶつっと切れて、うまくつながらず、言いたいことがはっきりとしません。

   ② マンダラを

もっとみる
King Gnuを詠んだ歌(自作の短歌)

King Gnuを詠んだ歌(自作の短歌)

2023年7月号の『塔』にKing Gnuを詠んだ歌が掲載されました。King Gnuのこととはわからないように詠んでいます。5首目のものは、King Gnuの音楽や動画にどっぷりと浸かった後に空が見えたときの現実にもどる感覚を詠んでいます。

今、振り返ると、一首目の歌は、
イヤホンで好きな人らの声をきく数年前に収められたるを
と、結句に「を」をつけた方が調子が整っていいかなと思いました。
二首

もっとみる
言葉が詩になるとき―笹井宏之歌集より

言葉が詩になるとき―笹井宏之歌集より

笹井さんの短歌に出会ったとき、心が現実から離れるような、ふわっと浮くような、不思議な感覚になりました。言葉が短歌の型のなかにおさまっているものの、すごくスケールの大きなものとしておかれているように感じました。辞書でその言葉の意味を調べてもそこには書かれていない、笹井さん自身の言葉として存在しているのではないか、詩のなかでつかわれる言葉には、理屈を超えた意味が含まれてゆくのではないか、そのようなこと

もっとみる
他者とつむぎだす世界

他者とつむぎだす世界

上に引用したものは、物理学者の中谷宇吉郎(虚雷)と数学者の岡潔(海牛)による連句の一部です。

一人ではつくれない世界が生みだされる連句に興味をもちました。

最初の人がつくった575の句と次の人がつくった77の句の間(あいだ)におのずと何か「間(ま)」のような休符のようなものができて、そこに味わいの深まりがあるように思いました。ゆっくりと場面が展開していくような深みがあるように思います。

将棋

もっとみる
角川歌壇に掲載された自作の短歌を一部紹介(2020年6月号~2022年5月号)

角川歌壇に掲載された自作の短歌を一部紹介(2020年6月号~2022年5月号)

角川歌壇というのは、角川『短歌』の巻末にある専用ハガキに四首まで作品を書いて応募でき、四人の選者がそれぞれ特選、秀逸、佳作を選出し、角川『短歌』に掲載、発表される場所としてあります。

私が短歌をつくってみたいなと思いはじめたのは2018年頃でしたが、すぐにはできず、諦めたりもしましたが、2019年の終わり頃にどうにか57577の定型におさめて言いたいことを表現できてきたかなという感じになり、20

もっとみる
かりんのジャム

かりんのジャム

 「季節の手しごと」、そんな言葉に誘われて、かりんを買ったのはある秋のことでした。
 
 「季節の手しごと」と書かれたチラシには、かりんのはちみつ漬けとジャムの作り方が書かれていて、はちみつ漬けなら、かりんを切ってはちみつに漬けておくだけだから、これならできそうだと思い、かりんを買ってみたのです。さっそく、はちみつ漬けを作ろうと作業にとりかかったところ、用意していた瓶が小さくて、かりん全部は入りそ

もっとみる

猫好きが猫好きに贈ったチョコレート🐟🎁

虻を詠む(自作の短歌)

虻を詠む(自作の短歌)

 今、住んでいるアパートのベランダで虻の死骸を発見することが割とあります。

 
 昨年の秋に、ベランダで死にかけている虻を発見しました。ちょこちょこと時間をおきながら観察しているうちに短歌ができ、『塔』に投稿しました。掲載されたものをここに引用します。

 
 塔短歌会に入って初めて掲載された短歌の中からこちらの歌を。

 今思うと、あの死骸は蜂ではなく虻だったのかもしれません。

 虻の歌をこ

もっとみる
『高安国世アンソロジー』よりー好きな10首(p.119-224)

『高安国世アンソロジー』よりー好きな10首(p.119-224)

 「虚像の鳩」(1968)、「朝から朝」(1972)、「新樹」(1976)、「一瞬の夏」(1978)、「湖に架かる橋」(1981)、「光の春」(1984)、未刊歌篇から好きな10首を紹介します。このあたりから新かな遣いに変わっているようです。

 風に揺れている草葉の様子を「いっせいに起きあがろうとする」と表現しているが、草葉の動きは風によるものではなく、蝶があやつっているようだとしているところが

もっとみる
『高安国世アンソロジー』よりー幼子を詠んだ歌と情景を詠んだ歌(p.5-118)

『高安国世アンソロジー』よりー幼子を詠んだ歌と情景を詠んだ歌(p.5-118)

「Vorfrühling」(1951)、「年輪」(1952)、「夜の靑葉に」(1955)、「砂の上の卓」(1957)、「北極飛行」(1960)、「街上」(1962)の中から、自身の子を詠んだ歌と情景を詠んだ歌を紹介します。

 どちらも長男のことを詠んでいる。
 一首目は長男が生まれたばかりのころのもので、幼子が朝早く目覚めていることや木の葉が風に吹かれて揺れているのを見て笑っていることが、作者に

もっとみる
King Gnu Dome Tour 「THE GREATEST UNKNOWN」~ライブの思い出~(ネタバレなし)

King Gnu Dome Tour 「THE GREATEST UNKNOWN」~ライブの思い出~(ネタバレなし)

 King Gnuのライブに初めて行ってきました。実は、誰かのファンクラブに入ってライブに行くということ自体が初めてのことでした。私の人生の中でこのような日が来るとは想像もしていませんでした。
 King Gnuを好きになったきっかけは2022年の年末のレコード大賞でのパフォーマンスを見たことでした。すごくかっこよくて(特に常田さん)、そこから過去の楽曲を聴き、知れば知るほど好きになっていきました

もっとみる
『高安国世アンソロジー』を読んでーあとがきと『眞實』について

『高安国世アンソロジー』を読んでーあとがきと『眞實』について

 2024年1月号の「塔」の年頭所感の中で吉川宏志氏が、今年は「塔」創刊70周年の記念の年であり、創刊した高安国世の没後40年ということもあり、この機会に『高安国世アンソロジー』を読むことを勧められていて、さっそく手にとってみました。
 今回、中古で見つけたのですが、巡り巡ってこの一冊を手にできたことはありがたいなと思いました。はじめて手にしたときにぱらぱらとページをめくりつつ、あとがきを先に読ん

もっとみる
睦月都 歌集『Dance with the invisibles』とても素敵です

睦月都 歌集『Dance with the invisibles』とても素敵です

 今年初めて買って読んだ歌集、睦月都さんの『Dance with the invisibles』がとても良くてこの記事を書きたくなりました。
 花山周子さんの装幀で、とても素敵な歌集で、持っているだけでも嬉しくなってしまいます。短歌作品も素晴らしくて、スプーンや窓辺、小鍋、砂糖、猫などなど、ごく普通の言葉がとても特別な存在感をもって短歌の中にあり、大きな世界を読者に見せてくれるように思います。現実

もっとみる
[RC GEAR]銀細工コレクションの飾り方を変えたきっかけ

[RC GEAR]銀細工コレクションの飾り方を変えたきっかけ

 以前、紹介したRC GEAR製の銀細工の飾り方を変えたきっかけについて、ここに書いておこうと思います。

きっかけは温泉でした

 シルバーリングの変色に気づいたのは、温泉に入った後の食事を楽しんでいるときでした。温泉に行くときはいつも気をつけて外していたのですが、その日はすっかり忘れて温泉に入っていたのです。真鍮のような茶色に変色していて、これはこれでいいかなと思ったのですが、塩とアルミホイル

もっとみる

ピンクのカーネーションを飾りました。久しぶりのお花です。部屋の中にお花があると、やっぱりいいなと思います。空気が優しくきれいになった気がします。うれしい。

King Gnu アルバム「THE GREATEST UNKNOWN」を聴きました

King Gnu アルバム「THE GREATEST UNKNOWN」を聴きました

 アルバム「THE GREATEST UNKNOWN」が手元に届き、聴いてみました。21曲が収められていて、1時間の構成ですが、充実していてあっという間の1時間で、すごく満ち足りた気持ちになりました。

 1曲目の「MIRROR」と最後の「MIRROR(鏡文字)」を聴いたとき、氷山を思わせるような凍てついた空気が伝わってきて、CDジャケットに描かれた世界の空気のように感じられました。この空気感まで

もっとみる