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推敲の一例

2024年6月号の『塔』に掲載されたある一首を例に、私がどのように推敲していったのかをご紹介したいと思います。どなたかの何かの参考になりましたら幸いです。

マンダラを塗りながらきく雨音にずる休みした日を思いだす

『塔』2024年6月号,p.145

この上の句になるまでに、語順を入れ替えながら推敲しました。

   ① 雨音を聴きながら塗るマンダラ絵ずる休みした日を思いだす
 
→上の句と下の句がぶつっと切れて、うまくつながらず、言いたいことがはっきりとしません。

   ② マンダラを雨音ききて塗りたればずる休みした日を思いだす

→上の句と下の句のつながりは良くなりましたが、言いたいことと少し違う気がしました。

雨音を聴きながらマンダラを塗ったから思いだしたというよりは、マンダラを塗っているときに雨音がして、その雨音によって過去の記憶がよみがえってきたという感覚でした。微妙な違いですが、その感覚を伝えられるように直して、掲載歌の形になりました。

推敲するとき、自分が最初に感じた感覚に近いものを再現できるているかを大切にしていることに最近、気がつきました。


お読みくださりありがとうございました。




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