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オリエンタル・ウインド 「もうひとつの可能性 祝福された世界」


晴れわたる青空に巨大な入道雲が浮かんでいる。遠くには微かなエンジン音が鳴り響き、一筋の飛行機雲がすーっと引かれていく。


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ジェシカ 「これからの未来は、あの子たちに託しましょうよ」

詩瑠久 「そうだね。叶わなかった夢を彼らなら、きっと叶えてくれる気がする」

ジェシカ 「争いのない世界」

詩瑠久 「夢が何だって実現できる世界」

ジェシカ 「ここは天国?」

詩瑠久 「そうかもね。でも、彼らは生きている。世界のあるべき本来の姿、かな」

ビルの上からマークと瞳を眺める二人の女性は、そんな話をしていた。不思議なことに、この照りつける日差しの中でも彼女たちには影がない。


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アンティークブックストア「アレクサンドリア 」にて。


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マーク「えぇー!!ジェシカさん、いなくなっちゃったんですか?」

マークは驚きの声を上げ、残念そうな表情を浮かべた。ジェシカとの会話を毎度楽しみにしていたからだ。

店主「急に決まったことでねえ、国に帰るって」

店主は本棚に入荷した本を詰めながら、背中越しにいるマークに言う。

マーク「ボクの生き甲斐が......。クソう。お別れくらい事前に伝えてくれたってよかったのに」

店主「そういうしみじみしたのが照れくさいって感じの子だったからねえ。まあ、でも、うちもあの子で保ってるようなもんだったから、次の子探さんとなぁ」

マーク「いや、ジェシカさんの代わりはいねえ!」

店主「まあまあ、別に死んだわけじゃないんだから、またいつか会えるかもしれないじゃないか」

マーク「そういう問題じゃないの!いま会いたいのよ、ボクは!」


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放課後。女学院の中庭にて。

臨「あんた、テンション下がりすぎじゃない?」

瞳「いつも通ってる古書店の美人店員さんが辞めちゃったんだって」

臨「アンタがいつもストーカーみたいに通ってるから、嫌になって辞めたんじゃない?」

マーク「え!?まさかのボクのせい?いや、それはないだろう。ジェシカさんは、人を嫌うような人じゃない!」

臨「ま、どっちにせよ、本屋をガールズバーか何かと勘違いしてるアンタが悪いわ」

相変わらずの毒舌で臨がマークを煽る。学園の中には、そんな彼らのいつもの光景が広がっている。夏の日差しが照りつける、うだるような暑さ。セミの鳴き声がBGMのように規則正しく響いている。そんな中、彼らの前を青い蝶がひらひらと横切る。だが、会話に夢中な三人は誰も気づかない。


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この世界では夢が何だって叶う。そんな祝福された世界で、彼らはまた未来への夢を見る。果てなき旅、止まらない好奇心。たとえ東の風が吹こうとも、彼らの冒険は終わらない。


叶えられなかった夢を叶えるためにボクらはいる。
あの日の夢、大人になれなかった自分、何者にもなれなかった悔しさ......。
そんなすべてを叶えるために___。


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Shelk 詩瑠久 🦋

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