マークの大冒険 フランス革命編 | ボクらはこの世界の正体を知るために生きている
「ジョゼフ、キミに観せたいものがある」
マークは、クフの大ピラミッドの入口前で言った。突き刺すような激しい日差しが降り注ぎ、辺りは熱気に包まれていた。
「観せたいもの?」
ジョゼフは、眩しい陽光に目を細めながらマークを見ていた。
「ボクらは、この世界の正体を知るために生きている。キミは知りたいと思わないかい?人はどうして生まれ、どうして死んでいくのか?人はどこから来て、どこに行くのか?そして、宇宙とは何のか?全てに答えが用意されている。ボクが研究を通して知ったことは、全ての物事には理由と意味がきちんと用意されているということだ。キミが今ここにいることにも、キミという存在にも、きちんとした理由と意味が用意されている。その全ての答えが、この扉の先にある。全ての事象は、言語によって説明できるんだ。人間は全てを知る力を最初から持っている。だが、これまで人類は鍵を持っているのに、開けるための扉が見つからない状態だった」
「そう、なんですか?でも、何で俺みたいな人間にそんなことを?他の人は、それを知っているんですか?」
「今のことは、キミ以外には誰にも話したことはない」
「え?」
「キミのような人間が来ることを待っていたよ。損得ではなく、純粋な好奇心で動かされる人を。どうするジョゼフ?決して強要はしない。真実を知るも、知らないも、選択はキミの自由だ」
「......。俺は、弟や家族のこともあるけれど、やっぱり、謎が知りたいです。知りたくて、仕方がない。そのために、今ここにいる。そのために生きてきた。マークさん、俺も一緒に連れて行ってください!」
「キミならそういうと思っていたよ、ジョゼフ。分かった。キミには、この世界の真実を伝えよう」
「お願いします」
「まず、全てのピラミッドは太陽光の集光装置なんだ」
「集光装置?」
「そうだ。天空から降り注ぐ太陽光を集光し、下で眠る王にその力を供給する。太陽光が一定量溜まると、死んだ王のミイラは、めでたく復活を果たす。クフの大ピラミッドには遺骸がないと言われている。それは盗掘によるものとされているが違う。クフは既に復活を果たしていて、玄室から出ていったんだ。それが今、ここにいるホルスさ」
「え?」
マークの隣にハヤブサの頭部をした男性が突如、現れた。
「死んだ人間は、神になって蘇る。これは正解でもあるが、不正解でもある。厳密には、神になる人間もいる、が正しい」
マークは淡々と話を続けた。ジョゼフは、突如現れたホルスの姿に驚きを隠せない様子だった。
「それじゃ、人はなぜ生まれ、死にゆくのか?この世界は天空、地上、冥界の3つの要素で構成されている。冥界は地下と呼んでもいい。これらは三位一体で、3つだが1つで、常に調和を保っている。人とは、もっと言うなれば、生きるとは、『意識』なんだ。意識の存在によって、世界は初めて構築される。そして、意識とは常に天空、地上、冥界でそれぞれ同じ数を持ち合わせていなければならない。だから地上の人間は死んで、天空か冥界に意識を移動させ、個数の調整を行う。だが、意識が移動する際に肉体や記憶の継承はできない。人はどこから来て、どこに行くのか?という問いも、これで説明できるね。人は天空、地上、冥界のいずれから来て、また天空、地上、冥界のいずれかに行く」
「それじゃあ、宇宙は?宇宙は何のために?」
「宇宙かい?宇宙はもっと面白く、壮大だぞ。それじゃあ、観せてあげよう。世界の正体を。さあ、行こう。案内しよう。真実の間に」
マークはそう言うと、クフの大ピラミッドの中に入っていった。暗闇の中に消えていったマークの背中をジョゼフも追いかけた。
To be continue…
Shelk🦋
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?