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『成瀬は天下を取りにいく』ー線がつながる
小説は往々にして後半になるにつれて加速する。
これはもちろん実際にページめくりが加速するなどというものではない。いや、もしかするとページめくりすら加速しているかもしれない。
前提を理解しているが故に細かい情報は省略されていくのかもしれない。
しかし、今私が言及したいのはそのことではない。
小説を読み進めるにつれて、小説の世界に没頭してしまい、私の脳では自我よりもビジョンを描くことが優先される。前半
成瀬は天下を取りにいく ー階段は走らない
本当に読みやすい本だ。
するすると読んで行ってしまう。
多分、このnoteを書いてなければ3時間やそこらで読み終えてしまう。
今回の主役はこれまでの成瀬と島崎ではない。
ある男、敬太の物語だ。
敬太は成瀬や島崎と同郷の推定42歳の男性だ。就職後は大阪で働いているが、幼少の思い出がつまった西武大津店の閉店をきっかけに動き出す。同じく西武大津店に思い出にあり、一緒に遊んでいたマサルと思い出を語り合う
『成瀬は天下をとりに行く』ー膳所から来ました。
想定よりも早いスパンでこれを書くことになっている。
私の読書の時間は、少し早く出社した30分と昼休憩の30分だ。
故に1日1時間程度しか本を読む時間を取っていないが、それでも1日に1つの章を終える。
この小説はかなり短編集的な作品だ。アニメであれば1話完結型。
1人の主人公が「今日は◯◯するよ!」と言って、周りはやれやれとその1話を使って振り回される。
近い例を出せばこち亀だろう。
読む前は、てっ
『成瀬は天下を取りにいく』 ―ありがとう西部大津店
私はこれから『成瀬は天下を取りにいく』を読もうと思う。
そして、それを読みながら感じたことを章ごとにここに記していく。
この小説についての前知識は無いに等しい。この小説をAmazonで調べる時、名前が思い浮かばず「◯◯は◯◯する 小説」と検索したぐらいには知っていることがほとんどない。だからこそ1つ1つの章でどう感じたかを、あえて分けて書いていこうと思う。
ありがとう西武大津店
あらすじ
中
それでもまだ、憧れる
僕たちは、たとえ手放していたとしても、1度手にしてしまったものであればそこから心を離してしまうことができない。
一度でもそこに寄り付いてしまったのなら、それは一生僕たちの脳のどこかには居続けてしまう。
例えば僕は、いわゆるソシャゲであるパズドラを何度も何度もやめてきた。高校時代にはテストに専念するために大学時代には度重なるインフレについて行くことができずに辞めた。だというのに、数ヶ月して風の便り
小さな机はごっちゃごちゃ
小さな机はごっちゃごちゃごちゃ。
場所は新宿の外れの純喫茶。
隣との距離が文庫本一つぐらいの狭い喫茶店。
そこでコーヒーを飲みながら本を読む。
啜るコーヒーと齧るサンドイッチ。
小さな机の半分は食器によって埋められている。
そして私はブラックコーヒーしか飲まないけれど、こちらもどうぞと渡されたシュガーとミルクがさらに机を占領する。
タバコはどぉう?灰皿を置かれる。追加はどぉう?メニューが置かれる
どこまでも聞こえるように大きな声で弾けて。
その森には今日も鳥の鳴き声が響いていた。
ピヨピヨというものもあればクァクァと街中では聞き馴染みのないものも聞こえる。
私、根田裕信はこの森にもう5日は篭っていた。
初めは出来心だった。
毎日毎日先輩に叱られ、お客さんには自分とは関係のないことで小言を言われ、私にとってバイト先のカフェは最も忌み嫌うものとなっていた。
それ故に私は街を出た。小さな街の小さなカフェ。
都会の人からすれば憧れるようなそ