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『成瀬は天下を取りにいく』 ーレッツゴーミシガン

元々、この小説は旅のおともとなる予定だった。 しかし、想定よりもスルスルと読み進めてしまうことや 旅自体が想像よりもハードなものになった(そのほとんどは連日の35℃を超える暑さによる)ために、その役割を全うさせることはなかった。 そしてなによりもこの文章が原因だ。 今回の旅は、木曜の仕事終わりに夜行バスに乗り6時間かけて名古屋へと向かうものだった。それ故に初日の朝から私の疲れはマックスであり、とても文章を書けるようなコンディションでは無くなってしまった。 文章が書けなければ読

    • 『成瀬は天下を取りにいく』ー線がつながる

      小説は往々にして後半になるにつれて加速する。 これはもちろん実際にページめくりが加速するなどというものではない。いや、もしかするとページめくりすら加速しているかもしれない。 前提を理解しているが故に細かい情報は省略されていくのかもしれない。 しかし、今私が言及したいのはそのことではない。 小説を読み進めるにつれて、小説の世界に没頭してしまい、私の脳では自我よりもビジョンを描くことが優先される。前半は意識的に処理していた情報が無意識的に処理されるようになる。そうして本を読んでい

      • 成瀬は天下を取りにいく ー階段は走らない

        本当に読みやすい本だ。 するすると読んで行ってしまう。 多分、このnoteを書いてなければ3時間やそこらで読み終えてしまう。 今回の主役はこれまでの成瀬と島崎ではない。 ある男、敬太の物語だ。 敬太は成瀬や島崎と同郷の推定42歳の男性だ。就職後は大阪で働いているが、幼少の思い出がつまった西武大津店の閉店をきっかけに動き出す。同じく西武大津店に思い出にあり、一緒に遊んでいたマサルと思い出を語り合う中で、自身が小学校を卒業してからちょうど30年であることに気づき同窓会を企画する

        • 『成瀬は天下をとりに行く』ー膳所から来ました。

          想定よりも早いスパンでこれを書くことになっている。 私の読書の時間は、少し早く出社した30分と昼休憩の30分だ。 故に1日1時間程度しか本を読む時間を取っていないが、それでも1日に1つの章を終える。 この小説はかなり短編集的な作品だ。アニメであれば1話完結型。 1人の主人公が「今日は◯◯するよ!」と言って、周りはやれやれとその1話を使って振り回される。 近い例を出せばこち亀だろう。 読む前は、てっきりこの本一冊を使って、例えば町おこしアイドルになるだとか、何かの大会で優勝する

        『成瀬は天下を取りにいく』 ーレッツゴーミシガン

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          『成瀬は天下を取りにいく』 ―ありがとう西部大津店

          私はこれから『成瀬は天下を取りにいく』を読もうと思う。 そして、それを読みながら感じたことを章ごとにここに記していく。 この小説についての前知識は無いに等しい。この小説をAmazonで調べる時、名前が思い浮かばず「◯◯は◯◯する 小説」と検索したぐらいには知っていることがほとんどない。だからこそ1つ1つの章でどう感じたかを、あえて分けて書いていこうと思う。 ありがとう西武大津店 あらすじ 中学生の成瀬は、語り手である島崎に対して宣言をする。閉館になる西武大津店で毎日行わ

          『成瀬は天下を取りにいく』 ―ありがとう西部大津店

          数千の祝福を受けた生

          私が産まれたその日、数千の人たちがその生に対して祝福を与えた。 きっと、イエスキリストですら生まれたその日から何千もの人たちに見られることはなかったと思う。 でも私の顔と名前は、この世に生を受けて24時間もしないうちに多くの人が知ることとなった。もちろん生まれたばかりの私にそんなことは知る由もないし、それを判断する意識もない。だってしょうがないでしょう?生まれたその日の記憶がある人なんてどれだけいるのだろう。 私の成長は、ほぼ毎日多くの人に見届けられた。 初めてパパとママ

          数千の祝福を受けた生

          それでもまだ、憧れる

          僕たちは、たとえ手放していたとしても、1度手にしてしまったものであればそこから心を離してしまうことができない。 一度でもそこに寄り付いてしまったのなら、それは一生僕たちの脳のどこかには居続けてしまう。 例えば僕は、いわゆるソシャゲであるパズドラを何度も何度もやめてきた。高校時代にはテストに専念するために大学時代には度重なるインフレについて行くことができずに辞めた。だというのに、数ヶ月して風の便りで入ってくるパズドラの情報に興味を持って今のパズドラを知り、そしてまた戻っていく

          それでもまだ、憧れる

          『TALK TO ME』 村上春樹の再解釈としての傑作ホラー

          海辺のカフカを読んで思ったことがある。 この世界の人間はどれも優しすぎる。 もしこの中の誰かが明確な悪意を持ってカフカ少年、ナカノさんに近づいていたとしたらどのような結末となっていたのだろうか。 もし、カフカ少年が夢の中で出会った佐伯さん=仮説としての母親が悪意を持ってそれを演じていたとしたら、カフカ少年は生きてあの世界から変えることができたのだろうか。 『TALK TO ME』の 批評を主としたこの文章の始まりにいきなり『海辺のカフカ』についての感想を書いてしまい驚かれ

          『TALK TO ME』 村上春樹の再解釈としての傑作ホラー

          アイスクリーム

          彼女は今日も空疎な1日を過ごしていた。親のお金で入れてもらった大学をたったの3ヶ月で行かなくなり、それ以降はバイトと趣味の生活に明け暮れていた。もちろん2年生になることはできなかった。冬の終わりに2度目の1年生になることを告げる文書が大学から送られてきたが、その文書を3行読んで中退することにした。親に伝えることもなく。 彼女の口座には決して少なくはない額の金額が入っていた。大学の授業料、月々の生活費。裕福とは言わずとも生活には困らないだけのお金が彼女の実家には入ってきていた。

          アイスクリーム

          『ウィッシュ』感想と批評。新しい挑戦としての史実の作成とその失敗

          願いを失った映画『ウィッシュ』 この休日、ディズニー100周年記念作である『ウィッシュ』を見てきた。 これまでほとんどディズニー映画に類するものを見てこなかったが、この映画を十二分に楽しめるようにと約1か月の間に40を超える過去作を見て挑んだ。もちろんディズニープリンセスと呼ばれるものは全て見たし、その大半に対して概ねの満足と評価をしていた。 この『ウィッシュ』という作品はディズニー100週年という節目に対しての集大成的な意味が込められた肝いりの作品であったことは間違いな

          『ウィッシュ』感想と批評。新しい挑戦としての史実の作成とその失敗

          堅牢

          私が雨に降られた時、空は青く晴れていた。 私が街を歩く時、私の足音は聞こえない。 私が声を発する時、その声に反射するものはない。 私があなたにノックした時、その扉は開かない。 私は扉を開くことはしない。

          チーズケーキ

          今日、チーズケーキを食べました。 たった200円のチーズケーキです。 安いのに大きくて、甘くて美味しいチーズケーキでした。 私がチーズケーキを食べている間、先輩はチーズケーキを見ていました。 チーズケーキは大変美味しいものですから、それは見たくもなるでしょう。 先輩がチーズケーキを見ている間、左前の人は何か話し合いをしていました。 すごくむつかしそうな話をしているものですから、私にはよくわかりませんでした。 左前の人が話し合いをしている間、私の隣に座る後輩は念仏を唱えて

          チーズケーキ

          うちゅうじん

          晴れた日の夜、空を見上げだ 月を中心に、幾多の星が輝いている でも、よーく目を凝らしてみると ひとつひとつの星は点滅していたり、小刻みに動いたりしている これはもしやUFOか、そう思った だから一生件目にメッセージを送った 私は生きています。私は生きています。 そうすると、ものすごい速さで月がこちらに近い付いてきた。 そちらがUFOだったとは

          うちゅうじん

          にゃーとわん

          街を歩いていますと、にゃーとネコの鳴き声が聞こえました。 私はこんなところで急にネコの鳴き声が聞こえるなんて珍しいなと思いました。 すると次はわんとイヌの鳴き声が聞こえました。 私はこれまた珍しいなと思いました。 いつもはわんと聞こえた後ににゃーと聞こえましたから、その順番が逆になっているのです。 少し気になったので鳴き声が聞こえた路地裏の方へ行ってみますと、案の定ネコとイヌは喧嘩をしていました。 「まぁまぁネコさんイヌさん、何をそんなに喧嘩をしているんですか。」 するとネ

          にゃーとわん

          子猫

          ちいさな子猫を右手に抱えていました。 それそはそれはちいさな子猫で、私の右の手のひらにすっぽりと収まるほどです。 子猫は生まれたばかりで、ミルクを飲みたいと言っておりましたので、私は右の手のひらに子猫を抱えてペットショップからおうちへと帰ろうとしました。 しかしどうでしょう。 家にミルクがないことを思いつきスーパーに行き、そういえば昨日シャンプーが無くなったのだと思い出してドラッグストアに行きました。 さて帰ろう帰ろうと思うと、子どもの頃の友達に出会ってしまって話をされ続けま

          小さな机はごっちゃごちゃ

          小さな机はごっちゃごちゃごちゃ。 場所は新宿の外れの純喫茶。  隣との距離が文庫本一つぐらいの狭い喫茶店。 そこでコーヒーを飲みながら本を読む。 啜るコーヒーと齧るサンドイッチ。 小さな机の半分は食器によって埋められている。 そして私はブラックコーヒーしか飲まないけれど、こちらもどうぞと渡されたシュガーとミルクがさらに机を占領する。 タバコはどぉう?灰皿を置かれる。追加はどぉう?メニューが置かれる。 私はただここで本を読もうとしただけなのに、小さな机はごっちゃごちゃ。 あぁ、

          小さな机はごっちゃごちゃ