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テーマ別の記事のススメ

コツコツと毎日飽きもせず藤子作品のレビューを書いています。気がつけば17カ月くらい続けているので、かなりの記事数が溜まってきました。

ざっくり言えば、全体の記事数が550本。その中で藤子作品のレビューを記事が400本、それ以外の雑多記事が150本という感じです。

さらに藤子レビュー400本の内、テーマ別の連作記事が約半分の200本となっています。550本の記事のうち、200本がテーマ別記事なので、数字的な面からも、藤子Fノートでは「テーマ別記事」が大きなウエイトを占めています。

そしてこれまでに、54のテーマを取り上げてきました。王道の企画からマイナーなものまで、切り口はかなり多様に揃えてきました。


そこで今回は、これまで書いてきた54個のテーマを紹介するとともに、個人的にオススメしたい記事をいくつかピックアップしたいと思います。

やや箸休め的な内容となってしまうのですが、気楽に読み進めてもらって、気になる未読記事がありましたら、是非ともリンクから飛んでみて下さい。


まず、テーマ別の記事とはなんぞやという話なのですが、これは僕が藤子作品のレビューをするにあたって、最もやりたかったことの一つです。

藤子F先生は短編の名手で、短いものだと2ページくらいの掌編から、36ページくらいの読み応えのある中編に近い作品まで、それこそ何千と描いてきました。

「ドラえもん」だけでも1300本、「オバQ」で600本以上を残されています。ざっくり、20歳から60歳くらいの40年間、毎年100本以上のペースでひたすら短編を描き続けてきたのです。

この分量は驚異的で、おそらくF先生を超える物量の短編漫画を描ける方は、もう二度と現れないのではないでしょうか。


これほどの数ですので、当然ネタ被りのようなことは日常茶飯事で、膨大な作品を読み進めていくと、結構な割合で同一テーマ、モチーフが頻出します。

けれど、主人公が違っていたり、切り口を微妙に変えていたりと、全く同じネタをそのまま使うようなことはほとんどありません。むしろ、ネタ不足で使い回しているというよりは、いくつもの作品で表現することで、藤子先生の好きなモチーフを、掘り下げているように感じるのです。

ですので、藤子Fノートでは、藤子先生が作品を横断して描かれたテーマを抽出し、詳しく中身を検討することをメインコンテンツとしました。僕自身、この作業を一年以上続けたことで、以前より藤子ワールドへの理解が深まったことを実感しています。


さて、それではこれまでの54個のテーマをザザッと並べてみましょう。重要なテーマは太字にしています。

1料理が下手くそな藤子キャラ
2ベスト・クリスマス・ストーリー
3藤子F「誘拐」ストーリーズ
4藤子F「とりかへばや」物語
5Fワールドは迷探偵だらけ
6「大長編ドラえもん」になりそうな話
7藤子Fの地下ワンダーランド
8藤子Fキャラ×西部劇
9藤子Fの巨人伝
1021エモンのご先祖様
11タイムパラドックスとは何か?
12藤子F・ザ・ムービー
13藤子F超能力入門
14藤子Fの残留日本兵
15藤子Fの神隠し
16シリーズ・トキノナガレ
17絶滅動物を救え
18藤子Fの浦島太郎
19しかしユーレイはいない
20藤子F世界の金メダル
21藤子Fの大恐竜博
22対決・電話魔
23藤子不二雄と戦争
24消されたF作品
25ドラとバケルともうひとつ
26藤子ヒーローVSピストル
27藤子Fの西遊記
28シリーズ・考える
29大予言のウソ
30エヴェレスト決死行
31ゴンスケ大活躍
32Fキャラは家出する
33世紀の大発見
34緊急SP・国家とは?
35台風の物語
36クローン取扱注意
37藤子恋愛物語
38クリスマス特集2021
39お正月特集2022

40TV局をはじめたよ
41模型マニアの物語
42フニャコフニャオを探せ
43藤子Fの演劇しよう
44通り魔と放火魔
45ロボットの反乱
46雪とスキーと遭難と
47Fキャラも不調になる
48藤子Fのベースボール
49宇宙人に観察される
50追悼・藤子不二雄
51藤子F「こどもの日」作品集
52藤子Fのロビンソン漂流記
53藤子Fの嘘つき物語
54幽霊船の謎


それでは、オススメのテーマと代表的な記事を紹介していきます。

タイムパラドックスとは何か?

タイムパラドックス、すなわち「時間の逆説」というテーマは、藤子作品に頻出します。過去に戻って歴史を改変した時に、現実にどうような影響が及ぼされるのか。また親殺しのパラドックスのような事態をどのように処理するのか。SF作家である藤子先生の興味は尽きなかったものと思います。

その上で、タイムパラドックスの矛盾から生じる面白さをギャグ短編として、小学生にもよくわかるように描いている点は、もっと世の中に評価されるべきことと認識しています。

全く同じような展開のお話があるので、こちらを読み比べてもらいたいと思います。


残留日本兵+ダムに沈んだ故郷

1972年、ジャングルでたった一人で生活しているところを発見され、日本に帰還した横井庄一氏。藤子先生は横井さんに触発されて、いくつかの物語を構想したようです。そして、横井さんと思しき人物に、村がダムに沈んで故郷を失ってしまう人、というイメージを重ね合わせて、さらに深みのある人間の物語を作り出しました。

それが以下の2作品。残留日本兵とダムに沈む故郷というモチーフを組み合わせた傑作で、2作とも味わい深いです。そして、ラストの持って行き方が全く違うのも特徴的です。

一方では男はノスタルジックな空間に閉じこもり、もう一方は未来へと一歩踏み出します。ただ、両作とも幸せな空気に包まれて終わる点は一緒。この読後感の清々しさが藤子作品の魅力であると思います。


昔話の再解釈

藤子先生は相当な読書家だったのですが、特に幼少~少年期に愛読した物語を、自作の中に織り込むことを得意としています。藤子Fノートでは少しずつその作品を紐解いていますが、今回はその一部と並べてみます。


超常現象のウソ

藤子先生は古今東西の不思議な話が大好きで、いわゆる世界七不思議だったり、UFOやUMAの類いだったり、神隠しや超能力などにも興味を広げていました。まるっきり信じている訳ではないようですが、最初から疑うことはせず、きちんと科学的に物事を捉えようという姿勢でした。

しかし、その一方で、超常現象を悪用するような言説には厳しい態度を示しています。特にF先生が疑心を抱いているのが、「予言」と「心霊現象」です。今回はその姿勢が伺える作品をピックアップしました。


絶滅生物

藤子作品はエコロジーのイメージが強いですが、その中でも特段F先生が注力していたテーマが、「絶滅生物」です。それも、人間の手によって一個の種が失われてしまうことについて、強い危機感や憤りを隠していませんでした。

以下の2本は、絶滅させてしまった人間と、絶滅の危機に瀕する人間という別の切り口で、同じテーマを語っています。是非、合わせてご堪能いただきたいと思います。


藤子恋愛物語

意外に思われる方もいるかもしれませんが、藤子作品の登場人物たちは、恋愛が大好きです。それぞれの恋路はうまくいったり、そうでなかったりですが、恋愛が人生の大きな彩りを加えていることが、作品内できちんと描かれています。

以下の記事は、時間をかけて書いたものなので、是非ご一読してもらえると嬉しいです。


今後も色々な切り口で藤子作品のレビューを考えています。少しだけ執筆の予定を紹介してしまいますと、

・冴えない中年サラリーマン
・世界の破滅
・タイムマシン
・私は神さま

といったようなテーマを現在精査中です。また、何か書いて欲しいテーマがあるようでしたら、是非ともリクエスト下さい。

それでは引き続き、藤子Fノートをよろしくお願いいたします。


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