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旧作の感想メモ(2022年11,12月)

11月は間違えて1か月延長したアマプラの作品などを一気に見て、12月に久々にレンタル屋を利用した結果、突如としてシャマランブームが到来。


未来世紀SHIBUYA(2021)

僕らの白石晃士監督がHuluで撮ったドラマ。2036年の渋谷を舞台にWeTuber正義マン(金子大地と醍醐虎太郎)がのし上がっていこうと危険なミッションを動画配信するうちに、いつしかこの世界の陰謀に巻き込まれていく、、というもの。得意のPOVを用いることでドラマの全てを動画配信という形で見せる画の面白みもさることながら、内容がまさしく白石ホラーそのもので最高。なぜこんなSFっぽい仕立てでも、白石節を出せるのか。これつまり、白石監督は物語や展開の面白さの手段として"恐怖"を用いていただけで、その外枠はほぼ関係ないという証と言えるだろう。色んなドラマを観てみたい。


ザ・ループ TALES FROM THE LOOP(2020)

アートブックを原作としたSFドラマという、聴いたことのない触れ込みに惹かれて観た。宇宙の謎を解き明かすために作られた「ループ」なるマシンがあるゆえ、超常現象が起こりまくるというだいぶ大変そうな1つの街を舞台にした群像劇。時間を止めるとか、入れ替わるとか、時間や時空を超える、とかモチーフ自体はよくあるのだけど、どれも抑えたトーンで、しかし確かな感情の揺さぶりをくれる。1本の軸はあるので連続ドラマとしても耐久性高め。日本でこういうの作るとホラー寄りになりそうなんで、今こそ"すこしふしぎ"な漫画家の短編とかを再構築して、シリーズ化したりとか、どうです?


すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ(2021)

サンエックスが誇るここ10年での最高峰キャラクター、すみっコぐらしの劇場映画第2弾。前作はヨーロッパ企画の角田貴志が脚本を担当しほろ苦さに溢れた1作で大好きだったが、今回は知らない方で。観るべきか迷っていたけど完全に大正解だった。今回のテーマは"夢"。叶えることを強く鼓舞するのでない。それを求め続ける、ちょっと欠けている自分こそが貴方であるということを肯定してくれる内容。こういう物語に幼少期から親しめるのは素晴らしいことで、勝つとか、打ち負かすとか、そういう評価軸じゃなくて、自分のなりたい姿を追い続ける美しさを知れる最良の作品であると思った。


親切なクムジャさん(2005)

パク・チャヌク監督の復讐3部作の最終作。物語のはじまりが女性刑務所で、しかも主人公がその時同室だった女囚たちと協力して復讐に向かう、という完全に宮藤官九郎の「監獄のお姫さま」だったので驚いた。というかクドカンがこちらをモチーフにしたのだろうけど。そういうスリルをもって観始めたのだけど、なんと物語後半で全く違うタイプのお話になるという。いや復讐ではあるんだけど、という、どんでん返しを食らった感じ。ただやっぱ「親切なクムジャさん」というなんとも掴みどころのないタイトルにしっかり収まっていくのは見もの。あと、友情出演のソン・ガンホも見もの。


バタフライ・エフェクト(2004)

名作とされているのになぜかどこの映像サブスクにも降りてこない1本。ようやく観れたのだが、おいこれアレの元ネタじゃん、、!という後続作品にあたえた影響のデカさを思い知るメルクマールな1本だった。この作品自体がバタフライエフェクトを起こしている。一番に思ったのは「シュタインズ・ゲート」で、因果のアレコレとかここに源流があったのか、と。やたらと治安の悪いこの映画の状況はなかなかスッと飲み込めないのだけど、「僕だけがいない街」を介在させると何となく理解できる。いつの日も、誰かを想って選択するということは物語を大きくうねらせるのだな、と改めて思う。


~シャマラン・ユニバース~

アンブレイカブル(2000)

シャマランにもユニバースがある、ということを聞き気になってはいたので観た。ブルース・ウィリスがとにかく死なない男を演じるのだけど、その無自覚さがもどかしくもあり、しかし現実世界でヒーローが存在するとしたら?を異様な解像度で描いてあって面白かった。捻りが効きまくっている。


スプリット(2016)

16年後におなじ宇宙だと明かされて受け入れられるの、シャマランの作家性ゆえだよなぁと。精神が身体に強く影響を与える、というのはよく知っていることだけど、それをここまで飛躍させて、ある種のモンスター映画を作ってしまうのは思いきりが良いというか。マカヴォイ、大炸裂だった。


ミスター・ガラス(2019)

そしてユニバース最終作。ヒーローを医療的な見地から再定義しようとするパンチのある題材で、もっと続けていっても良さそうな広がりを感じる。アベンジャーズをまとめあげた後のサミュエル・L・ジャクソンがこういうキャラクターになるというのも批評性がある。現実でフィクションを語る技量。



サイン(2002)

「NOPE」の感想の中に散見されたシャマラン作品。「シックスセンス」もこれを機に初めて観て、その後に観るととても理解が深まるというか。第6感のようなものをしっかりとエンターテイメントで扱った先に、それが人を救う瞬間もあるのだと優しく包み込む。このヒューマニティとスピリチュアルのバランス感がシャマランの魅力なのだとよく分かる1作だった。宇宙からの襲来を大きく描かず、たった1つの家族が覚える予兆や恐怖のみで着実に興奮を積み上げ、最後に一気に畳んでいく。いやぁ、好きだなぁ!!この風呂敷ごと抱きしめる感じ。すっかりシャマランファン。4月の新作、楽しみすぎる。



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