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オンラインライブを観た⑭(8.12 銀杏BOYZ/7.24 J-WAVE LIVE 2020~#音楽を止めるな~/8.14 yonige)

8.12 銀杏BOYZ スマホライブ2020

多くのバンドが高音質・高画質を謳うライブ配信をする中で、銀杏BOYZが届けたのは全編スマホ撮影による生中継ライブ。正直、最初はどうなんだろうと思っていたのだけど、会場入りする峯田和伸、そのままステージに立ち歌い始める、、という一連のショットですっかり見入ってしまう。そして始まってからもかなり衝撃的な映像だ。山本幹宗(Gt.)、藤原寛(Ba.)、岡山健二(Dr.)、加藤綾太(Gt.)によるドシャメシャな演奏の濁流の中、歌唱とも叫びともつかない峯田の声が発せられ、スマホは峯田とバンドメンバーを至近距離で映し続ける。間近でスマホ越しに捉えた峯田の顔は歪み、しかめ、ヨダレを垂らす。ありありとした姿を最も身近な撮影アイテムを用いて映し出す、スマホ撮影の意義深さを痛感する。また、次々と切り替わっていく演奏風景の怒涛さはライブそのものの混沌を象徴しているかのよう。序盤なんてほぼ音程の存在しない楽曲だが、これぞ銀杏BOYZと思い知らせてくれる。

来たるアルバムにも入るであろう「エンジェルベイビー」は音源だとソフトな印象もあるが、ライブでは別の魂を宿したかのような激しさ。「YOU&I」もノスタルジックな響きだがその危うい爆発力は色褪せない。スマホの粗い画質だからこそ、照明の色がメンバーの肌を塗りたくるように降り注いでいるのだがそのサイケ感も相まって、脳みそがぶっ飛びそうになる興奮だ。4曲を終え、換気と休憩を挟んでくれてこちらも少し息をつけて安心。休憩中にずっと峯田がチャカの話をしていたのは気になりまくったが、再び会場に戻っての後半は聴衆に優しく問いかけるような楽曲が並んだ。「夜王子と月の姫」の温かさ、「光」の徐々に溢れ出す激情、新曲「アーメン・ザーメン・メリーチェイン」のフォーキーな刺激、様々な形で聴き手を見つめてくる。

名曲「BABY BABY」で血塗られたように赤い照明が肌を染める。多幸的な曲だが、その裏にはグツグツと滾るものがある。そんな様を思い浮かべてしまう。お別れを告げ、ラストは「ぽあだむ」。銀杏の中でもかなり軽やかな曲で、峯田もどこかにこやかに飛び跳ねる。カメラの画面をハックし、自撮り状態で歌う峯田の柔和さは今この年になった彼だからこそ見せる表情だろう。そのままエンドクレジットを乗せるのも何だかとても良かった。フジロック中継のぶつ切りを思い出した。突然終わるかも、だからこそ、今、刻み付けたい魂があるのだ。今まで観た配信とは別位相の、新表現だった。

-setlist-
1. 大人全滅
2. NO FUTURE NO CRY
3. エンジェルベイビー
4. YOU & I
5. 夜王子と月の姫
6. 光
7. アーメン・ザーメン・メリーチェイン
8. BABY BABY
9. ぽあだむ


7.24 J-WAVE LIVE 2020 ~#音楽を止めるな~(アーカイブ8.20迄)

7.24に開催されたラジオ中継のフェスをダイジェストで見せていく番組。なんせアジカン不足に陥っているので短尺でも観ねばという強い気持ちで観たのだけど、想像以上にアジカンを欲していたんだな、、と思うくらいには感動。「リライト」なんてもう少し聴き飽きたなんて生意気に思ってたけどやっぱガツンと喰らっちゃったりして。「荒野を歩け」とかもさ、映像配信の前提があるといはいえラジオライブなのに、ゴッチがちゃんと<距離が狭まって>の所でいつものせばまりジェスチャーをしてたりとか、こちらに向けられてるものだと分かる。「今を生きて」なんて抜群の選曲してくれたり、J-WAVEとの連携もばっちり。いやぁ、アジカンの配信ワンマンみてえなあ!


8.14 yonige「安全な公演」(アーカイブ8.20迄)

yonigeの初オンラインライブ。新アルバムのツアーが延期となったため、ここで初生演奏。yonigeのみならずこういうバンド多すぎて、上半期の良作がライブの場で聴ける機会を失われている現状、寂しいぜ。いつか再現ツアーとかやって欲しいです。さて、yonigeもこの春に名盤『健全な社会』をリリース、このライブは後半に2曲を抜いた以外はきっちり曲順通り。狭いスタジオで着々とグルーヴを積み上げていき、音源にもあった立体的で奥行きのある音像が見事に浮き上がっていく。サポートギター土器大洋(Gt)の参入によって更に広がったサウンドバリエーションと穏やかなメロディが心地良い。

緩やかな切なさ、真顔の諦念、のように形容できそうな『健全な社会』の楽曲たち。そんな中、季節外れの「メリークリスマスイブ」が一抹の安心感をくれる。その後、アルバムで少しほっとする時間をくれる2曲が外されたのはサウンド的な面もあるだろうけど、まだまだこれから続く苦難に向けて敢えて演奏されなかったんじゃないか?と思ったり。「春一番」はまだ吹かず、「みたいなこと」にある気持ちにはなりきれない、とかね。日記みたいな言葉ばかりだからこそ、色んな想像を膨らませてしまう。ラスト「ピオニー」は芍薬を意味する。今抱える痛みを癒す、そんな歌を真っ直ぐ聴かせた。

ただやっぱ短い!あんまりこういう言い方はよくないかもだけど、他のバンドなら60分はやってくれる値段で30分というのは、あ、終わり??感がすごくて。予定演奏時間を明記してくれると、もっと配信ライブ広まるのかな。

-setlist-
1.11月24日
2.健全な朝
3.ここじゃない場所
4.往生際
5.あかるいみらい
6.メリークリスマスイヴ
7.ピオニー

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