2020年3月の色々(架空OL日記/パラサイト/映像研には手を出すな！/マギアレコード)

3月の色々で書こうと思ってたライブ、全部消し飛んだんでシンプルに映画アニメ鑑賞日記になってしまった。しばらくはこうなっちゃうんでしょう

架空OL日記 

バカリズム脚本によるオフビートな日常コメディ。連続ドラマを劇場映画に、という広がり方になると多少はスケールアップしたり、大きめのエピソードを盛り込んだりするものだろうけど、それを一切やらなかったのが功を奏しまくり。一応、山場となるお話はあるものの、全く飛躍はせずナチュラルに、どこまでも平熱につづく日々のお話。故に、終わった後、突然この世界から切り離されたような気分がしてひどく切ない。というかまぁ、元々そういう構成を仕込んであるからこれも全て升野大先生の掌の上なのである。

とかく、芝居の巧者が揃っているので、ナチュラルな会話の応酬にもあらゆる演技力が総動員されていてとても贅沢な気持ち。山田真歩、シム・ウンギョン、三浦透子というユマニテアクトレスを3人擁するこの座組、強いぜ。たまにメイングループに入ってる絶妙な距離の透子演じるカオリンの、座ってるだけで面白いシーン(あれは顔がずるすぎる)とか、シム・ウンギョンがカラオケで中島美嘉「WILL」を歌う寸前に「わたしはじめて」と言いかけて歌に入るところ(その後のバカリズムの自然な苦笑も最高)とか、完璧。サエちゃん(佐藤玲)に全員薄っすらイライラしつつちゃんと愛でてるのもイイ。

パラサイト-半地下の家族-

韓国映画っていうと「哭声／コクソン」と、最近「イルマーレ」を観たくらいでほぼ馴染みなかったんだけど、予定が空きまくったが故に観た。めちゃ面白かったし、やっぱり"侵入していく"っていう光景から生まれる興奮度と嘘が暴かれそうになっていくギリギリのスリルっていうのは万人に刺さる作劇なのだなぁと。「ウレロ」シリーズとかにもあるよね、こういう話。つくづく、"演じて騙す"っていうのはコメディ作品の鉄板シチュエーションだ。

貧富が可視化されながら、何段階もの昇降を駆使して描き出される後半の展開は観ていてどっと疲れが来る、スリリングなものであった。基本、笑って観たのだけれど、言うなればここまでの蓄積が暴発していく終盤には、ド派手な立ち回りとは対照的な虚無感が強く残る、心理面をじわじわ蝕まれた。

女優陣が総じて魅力的であった。貧乏一家のほうの母ちゃんみたいなタイプの女優さんが、こうやって主役級を張れてるの、良いカルチャーだなぁと。

映像研には手を出すな！

湯浅政明監督、久しぶりのテレビシリーズ。漫画原作ではあるけれど、アニメ作りを描く作品をアニメにすることでしか立ち上がってこない何重もの構造と、そこに連なる雄大な世界に毎週痺れまくって鑑賞していた。イマジネーションを描く手法として、アニメonアニメ、アニメinアニメっていうのはグッときてしまう。創造を想像する段階の世界ではいつだって無敵なのだ、という少し恥ずかしくもある真理を、屈指のクオリティで描ききっている。

主人公の浅草氏に声をあてた伊藤沙莉、元よりインパクトある声質だとは思っていたたけど、ここまで「ワシ」という一人称がしっくり来るかぁと感嘆してしまう。浅草氏がそもそも伊藤沙莉が演じてそうな役というのも大きいと思う。顔も似てる。こういう表情豊かなキャラクターはとにかく湯浅監督のアニメーションの中で活きる。あの伸びやかでくねりまくる線の中で、浅草氏のモーションはどんなマシン、どんなクリーチャーよりも輝いていた。

マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝

まどマギのスピンオフ、という位置づけゆえ、これがどの世界線の話？とかを考えながら観ていたのだけど、だんだんそういう見方じゃなさそう、、となってきて、シンプルに同世界設定の別物語として切り替えて観たら急速に面白くなった。本伝がひと塊な物語である一方、こちらは謎→解決→次の謎と繋がる構成なので、軽やかに観ることができた。ちょうどいいダークさ。

どういう業を背負うのか、が明かされた状態で観る魔法少女たちの、その運命への抗いがまた業を生むという、非常に示唆に富むお話で。ドッペルという新概念の登場、ソウルジェムの深堀り、まだまだ世界を広げられる裾野を持った作品である。とにかく魔法少女たちの数が多いので、画的にもかなり派手に展開させられる。ハリーポッターが最終的に魔法使いの大戦争映画になったの、とても興奮した記憶があるので最後は突き抜けまくって欲しい。

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