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記事一覧
短編小説:ここにいたい
あなたが声をくれるから、
私は目を開ける。
どんな暗い時でも、
必ず光を見せてくれる。
例えそれが、
どんな時代であっても。
※ ※ ※
初めて出逢ったのは何時だろう。まだ私が小さな小さな稚魚だった頃かもしれない。
あなたは水面に揺れる光。
ふわふわと漂うだけの私。
言葉なんて知らない。
多分、それが最初。
近くに居るだけで幸せを感じていた事だけは、確か
短編小説: 初夏色ブルーノート
初夏の陽射しに眩しい白いビル群。その中にぽっかりと口を開けたように黒く映える入り口があった。地下へと続く階段。その前にはの黒板看板が立っていた。
喫茶:ジャズ・ハノン
チョークで殴り書きされた文字に、何故か惹かれた。いや、店名の懐かしさに惹かれたのかもしれない。通りすがった私は吸い込まれるようにして、ほの暗い階段を降りた。
少し古びた感じのドアを押すと、ドアベルがカランとアルトの音を