【考え改める】応用情報技術者試験R06春経営戦略
このNoteでは「応用情報技術者試験R06春午後問2(経営戦略)」の解説をします。
2本立てです。
各設問を「どう正解まで至るか」の解説と別解の考察
今後も出るであろう4つの知識 | PEST分析・ファイブフォース分析・コモディティ化・3PL
今回の問題は文章同士の連結・構造を捉えれば7割は取れる問題でした。
そこそこ時間をかけて丁寧に紐解くのが重要です。流し読みや速読は却って遠回り。5分の予備タイムを投入しても良いです。>AP時間配分Note
またPEST分析・ファイブフォース分析・コモディティ化・3PLなどの専門用語もありました。
よく読めば問題文に説明はあるのですが、本番で複雑な文章と合わせて「よく分からん用語が出て」と不透明さが出て、揺さぶられる印象も受けました。
また調べると、既に午後問題・午前問題に出題実績のある用語ばかりでした。
私は正直「技術系問題以外は過去問とのつながりはない。その場で理解して答える問題。専門知識なしで正解できる問題。国語の問題。」と油断していました。
しかし今回で考え改めました。
そこで解説の後に4用語の補強を書くことにしました。過去問も引用しています。
「午前問題に出てたけど、何となく正解してた」「午後問題に出てたのなら、今後も出るんだな」と思った方は、最後の方もぜひ読んでくださいね。
このNoteには、私がIT以外の学生時代にAPに独学合格した経験と、大学・IT専門学校で応用情報技術者試験の対策授業を担当した経験を詰め込んで作りました。
それでは始めましょう!
※このNoteは後日有料になります。お早めにお読みください。その後はマガジンに追加されます。マガジンも値上げしますので、お早めにご購入ください。
設問1(1) | 日常知識のレベル
正答は「労働基準法」「価格」「代替」。1つ2つ失点するかもですが、全部正解しておきたいです。
ITパスポートからの資格で労働系は、労働派遣法が出ていましたね。>派遣と委託(請負)の解説Note
今回の話はいわゆる「働き方改革」や労働条件の類なので「労働基準法かな」と勘で答えて良いです。他に知っている法律があるとしても、分からないなら代表的な法律で超えてましょう。
bの価格は、問題文より「b競争の渦中にあり、減収減益となっている」より、お金関係だと分かります。
cの代替は、表2-3に「代わるものではなく」より思いつきます。日本語として知っておいてください。
別解として「代わりになる」などと書いても正解にしてくれると思います。文字数や言葉の種類などの具体的制限がないので。
設問1(2) | 書かれていないことは不正解
正答は、ウ(ドライバーの賃金上昇に伴く調達コスト増加の脅威が大きい)。必ず正解してください。
ア:ITの活用による省力化:
問題文に記述なし
表1-4のSNSは省力化というよりは、購買チャネルを増やす意図が強い
表2-3より自動運転やドローン配送の脅威は小さい
イ:運賃料の値上げ
表1-2より運送料上昇の許容の旨あり
ウ:ドライバーの運賃上昇
表1-3よりドライバー確保が必要
表1-3より良い待遇の提供が必要
エ:新たな輸送方法の脅威が大きい
表2-3より自動運転やドローン配送の脅威は小さい
以上より、消去法でウ。
また表2-4, 5の売手・買手について分からない場合、5の買手=顧客から、売手=提供側(B社)と分かります。ビジネス用語なのでこれを機に覚えて置きましょう。
設問1(3) | 文章と表の対応
正答は「マクロ的視点」。正解しないと合格は難しいですが、安定するには国語的なスキルが必要です。
12頁の話の流れを整理すると。
外部環境分析(マクロ, ミクロ)と内部環境分析
外部環境分析から実施するよう指示があった
->表1と表213頁に「これらの外部環境分析の結果を踏まえると」
以上より外部環境分析のうちマクロ的な視点。大局的な政治や経済などについて分析しています。
「外部環境分析」では不正解でしょう。何故なら表1がマクロ、表2がミクロに対応しており、問われているのはPEST分析(表1)なので。
このNoteの末尾で、PEST分析とファイブフォース分析を補強しますね。
設問3(4) | 文章と表の対応2
正答は「内部環境分析」。正解しないと合格は難しいですが、安定するには国語的なスキルが必要です。
設問3(3)の通り、論理構造から、自社についての内部環境分析と分かります。
しかも分析結果は「好立地にある営業と倉庫をもっているにも関わらず~」と、自社についてだな、と確認できます。
なお次節の「顧客情報の定性的分析」が別解になれるかは微妙です。「B社が業界内で競争優位を確立するための分析」は、特定の分析手法を指してはいませんので。
設問2(1) | 選択肢は、正答一発・消去法の二重で確認
正答はエ(市場調査を行う、顧客ニーズを満たす物流サービスを提供する)。必ず成功してください。
「マーケットイン志向の物流サービスに転換(13頁最後)」するために、「数値だけでは捉えきれない顧客の要望を把握する分析」をすることになりました。
ア:新たな市場へ:問題文に書かれていない
イ:低価格:数値
ウ:優位性をもつ技術:問題文に書かれていない
エ:顧客ニーズ:問題文と一致
「顧客ニーズ」に反応した正答一発でも、消去法でも二重に確認できます。
なおこの後の流れも「荷物の検品やタグ付け」や一括配送のサービスを付けて付加価値をつける旨に結論しています。
分からなくても、後で修正すれば良いですね。
マーケットインとプロダクトアウトは、ビジネス用語です。IT用語ではないので、詳しくは参考サイトへ。インバウンド、アウトバウンドのように使うかもしれません。
設問2(2) | 分からなければ遡りながら紐解く
模範解答は「顧客の事業に関するテキストデータを分析の対象とする」。25文字。
下線④から遡って紐解いていきましょう。
選別するテキストデータは「ドライバーからの回答」「自由形式のテキストデータ」。
なぜドライバーから聴取しようとしたのかは、「ドライバーのもつ顧客の事業に関する気づきを把握するため」。
ドライバーからの回答には「顧客の事業に関する情報とそれ以外の種々の雑多な情報が混在」。
ドライバーからの回答には以下の情報が含まれています。
顧客の事業に関する情報
「顧客の事業に関する未知の情報」
それ以外の種々の雑多な情報
「B社に対する期待やクレーム」
「顧客に対する感想」
「相対する顧客社員への好悪の感情」
混在しているからこそ、選別してから分析したいという意向。
よって「顧客の事業に関する未知の情報」。
何となく「未知の」が既知と未知を区別する手順が加わり、問題文に詳しくは書かれていないので違和感を感じます。「顧客の事業に関する情報」とします。
「顧客の事業に関する情報を選別する」16文字。35文字の半分を切っていて、19文字も余っているので不安になります。
しかしこれ以上、問題文に情報がないので蛇足はしません。
私が細かいのか、個人差かは分かりませんが、設問文が「どのようにテキストデータを選別するのか」よりは「どのようなテキストデータを選別(抽出)するか」の方が、伝わる気がします。たった一文字ですが。
設問の意図を汲むのも難しいですよね。「難しいことを問われていると思ったら、浅いことだった」なんてことはよくあります。
設問3(1) | 意外と序盤が有効なときがある
模範解答は「好立地にある営業所と倉庫」。
15頁の話の流れは
「B社の営業所と倉庫を作業所として~業務提携をR社と」
E課長がR社と協議をして
R社は作業所が手狭になった
荷物の受け入れと発送をスムーズに行えるのが重要
作業所を自前で持つのは負担が大きいので避けたい
以上より、「営業所」と「倉庫」が経営資源と分かります。
「B社の営業所と倉庫」で、私が採点者ならギリ正解にします。
ただ作問者としては、なぜ「魅力的なもの」と写ったのかまで答えて欲しいのです。
文中から魅力を拾います。国語の問題的に下線部から近い順にしてみます。
初期費用の負担を回避できる
荷物の受け入れと発送をスムーズに行える
作業所が手狭でスペースが欲しかった
施設の拡張を検討していた
B社の営業所・倉庫内のレイアウト変更でスペースに余裕あり
そして問題文の最初「高速道路や幹線道路へのアクセスの良い立地に複数の営業と倉庫を構えている」。
別解は受け入れてくれると思います。
「受入・配送に適した倉庫と営業所」:15文字
立地が優先です。作業スペースの拡充、費用負担の軽減は、文脈から優先順位が劣ると判断できます。
設問3(2) | 連想連結ゲームだった
模範解答は「一括委託することでコア業務に集中したいという要望」。
14ページのテキストマインニングによる定性的分析結果は2点。
「コア業務」「一括委託」が頻出単語
「コア業務」と「集中」が同一文章中に出現
以上より、一括委託→コア業務に集中したい、流れが組み立てられます。
ただし「コア業務」が、「自分がメインとする業務」という認識がないと解けないですね。「本業」とか「メインタスク」ならまだしも。。。
別解も考えましたが、設問条件「テキストデータの分析結果の字句を用いて」を満たすには不十分でした。
例えば「検品・タグ付け・一括発送などの作業」。17文字。問われているのは「作業に対するどのような要望」であり、作業そのものではありません。作業から得られる成果が「要望」です。
コア業務・一括・集中から、考え至らねば失点せざるを得ないキビシイ問題でした。
知っておくべき用語 | 考え改めるべきイメージ
今回の問題を解いて私は考えを改めねばと思いました。
今までは、技術系問題(SC, NW, DB, 組込)以外は、その場で理解する文章問題、という認識でした。過去問演習はしましたが、前回次回へのツナガリを意識していませんでした。
しかし今回のPEST分析。R02秋にも出ていて、しかも今回と同じ「マクロ視点の外部環境分析」を問うていました。
以下では、今後も出題されるであろう知識を、4つまとめました。
PEST分析:マクロな外部環境分析(R06春, R02秋も出題)
ファイブフォース分析:ミクロな外部環境分析(R06春、AMにも出題)
コモディティ化:R06春の文中、AMにも出題。今後メインテーマになる可能性あり
3PL(3rd Party Logistics):R06春の文中、AMにも出題。物流業務の基本用語として今後出題される可能性あり
私と同じで「午前で正解できる程度の何となく理解だった」方は、ここで心に焼き付けておいてくださいね。
PEST分析 | マクロ視点の外部環境分析
今回のPEST分析は知っておきましょう。
ITパスポートにすでに出題されていました。
正答はエ。マクロとは「大局」を意味します。企業単位の話ではありません。市場全体・日本・世界規模と思ってください。
応用情報技術者の令和2年秋問2にも出ています。
しかも前回も「マクロ」が問われていました。今回と同様です。今後も出題される可能性大。
解説は 過去問道場さん へ。最近は広告表示をする設定にしないと、全文は見られなくなったんですね。
ファイブフォース分析 | ミクロ視点の外部環境分析
PEST分析が再出題されたので、ファイブフォース分析も今後に再出題しますね。
今回の表も覚えておく必要がありますね。今後も出題される可能性大。
応用情報技術者の午前問題に出題されています。
問われているのはバリューチェーンでしたが、今後正答になってくるかもしれません。
ア:ファイブフォース分析
イ:バリューチェーン:FEレベル
ウ:アンゾフの成長マトリクス:Iパス・FEのレベル
エ:プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM):Iパスレベル
応用情報技術者平成22年春午前問66では、選択肢(不正答)に出現したぐらい(過去問題道場さん)。ITパスポートの用語辞典にも掲載されています(過去問道場さん)し、オリジナル予想問題2にも登場しています(過去問道場さん)。
コモディティ化 | 差別化ができない状態になること
コモディティとは、日用品・必需品のこと、転じてビジネスでは「一般化」、投資では貴金属やエネルギーを指します。
何にでも使えるし、誰が作っても差がないというイメージ。
例えば鉄鉱石。オーストラリア産だろうが、ブラジル産だろうが、鉄は鉄ですよね。違いは価格だけ。
以上より、IPA国家試験では「価格以外では差別化ができない」こと(商品・市場・状態)を指します。
午前問題で出題されていました。
正答はウ。
ア:プロダクトイノベーション:プロダクト(製品)・イノベーション(革新)
イ:破壊的イノベーション:技術革新で従来製品を駆逐している点より
ウ:正しい
エ:ブルーオーシャン戦略:コアコンピタンスに似ていますね
他にもITパスポート平成27年春問17にも出ています(過去問道場さん)。
3PL(3rd Party Logistics)
3PLは問題文の説明の通り。
3PLは、午前問題に用語として既に登場しています。
正答はエ。
ア:SCMの説明。>キーワードで覚える解説Note
イ:物流管理システムとのこと(過去問道場さん)。物流に特化せずに資材管理のみならMRPですね。
ウ:EMS(Electronics Manufacturing Service)。
エ:3PL:物流業界における、荷主に対するアウトソーシングなので。
まとめ
お疲れ様でした!
落ち着いて時間を少しかけて紐解けば「まぁ7割かな」という問題でした。
しかし本番での緊張で流し読み・速読をしたり、専門用語に浮足立つと、途端に難しく感じる問題でした。
テキストデータの選別方針・単語から要望を言語化は、「何を問われているのか分からない」「どう答えるべきか分からない」と思った瞬間もありました。
今回の設問文と模範解答から少しでも「こんな感じに答えて欲しかったのね」と分かれば、次第に設問文とご自分が馴染んでスムーズに解答できるようになりますよ。
宜しければ、他のNoteもどうぞ!
p.s. 普段は >> 専門学校とIT就職のブログ << をやってます。
でわでわ(・ω・▼)ノシ
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