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【答え方に迷う】応用情報技術者試験R06春システムアーキテクチャの解説

このNoteでは「応用情報技術者試験R6春午後1問4(システムアーキテクチャ)」の解説をします。

2本立てです。

  • 各設問を「どう正解まで至るか」の解説

  • ネットワークへの考察、計算問題を選ぶ注意点


今回の問題は、記述問題の難易度が人に依って大きく違う印象です。

「設問の意図の捉え方」「解答の書き方」の波長が合わないと戸惑い、なかなか5~6割を超えるのが難しいです。一方で数値評価・計算問題は解きやすいのです。


2本目について。

この問題のネットワークにある違和感について考察しました。問5ネットワークにも通じる解釈なので、学びになります。

また計算問題を含む問題を選ぶ時に注意すべき「芋づる失点」についても書いておきました。問題を選ぶ基準の参考にしてくださいね。


このNoteには、私がIT以外の学生時代にAPに独学合格した経験と、大学・IT専門学校で応用情報技術者試験の対策授業を担当した経験を詰め込んで作りました。

それでは始めましょう!


※このNoteは後日有料になります。お早めにお読みください。その後はマガジンに追加されます。マガジンも値上げしますので、お早めにご購入ください。



設問1 | 対比に注目する


正答はイ(余分な改行コードやコメントを削除する)、エ(画像を、PNGやSVGなどにする)。


下線①周辺より「UIの表示速度を上げるために、ファイルの最適化をする」とのこと。

アのパイプライン処理とは、複数の処理を一連の流れにすること。ある処理の出力を次の処理の入力にして…とつなげていきます。少なくとも表示速度を速くする施策ではありません。

イは人間でも同じですね。改行やコメントがたくさんあると解釈に時間かかりますから。


ウとエは対比してるので「どちからが正解かな」と疑います。両方正解・不正解にするほどイジワルではないでしょう。

  • ウ:BMPは各ピクセルを非圧縮で保存するので最も重い

  • エ:PNGはWebで使うために開発されたGIFの拡張版。よって軽い。

  • エ:SVGはベクター形式(始点, 向き, 大きさ)で保存するので軽いです。ベクトルと数式で描画します。画像をピクセル単位で保存するのではなく、描画する手順を保存するというイメージです。


最後。オのバイトコードとは、Java言語などプログラム言語と機械語の中間状態にある言語です。Webブラウザはテキスト形式のHTML, CSS, スクリプトを読み込むため、不適切です。


以上より、イとエ。

選択肢が5つあって「全て選べ」なので、2~4個が目安です。1個はイジワルですし、5個は理解を計測できませんから。




設問2(1) | 数値を重視する


正答はウ(スマートフォンのメモリでのデータ加工処理)。


下線②「スマホのCPU負荷が大きい」ので、処理するデータが多い、処理する時間が長いんですね。

選択肢を見ていきます。

  • ア:データの送受信:800ミリ秒は長いけど、CPU負荷ではなく通信速度の所為。

  • イ:レンダリング(描画):6(  500)であり得るけど、軽い画像ファイルを採用する意外に対策がない

  • ウ:メモリでのデータ加工:3(1,200)で最長

  • エ:ユーザの判定:判定するだけの処理。編集ボタンの表示まで合わせても200ミリ秒。

アはシンプルなデータ送受信、エは単純な処理。となるとウしかないかなと。一番時間が掛かっていますし。

ゲームをしていると描画の高負荷の印象が強いですよね。私もそうなので、なかなかイ(レンダリング)を切れませんでした。

ただ表1を見ると、データ加工に1,200で描画に500。2倍以上違うので覆す理由もありません。数値を信じましょう。




設問2(2) | 困ったら当たり前のことを書く


模範解答は「日誌の繰り返しデータ」。


「どのようなデータを表現するものか」と言われても、「図2に表示するデータでしょ」としか思わないから、答え方に困りますよね。

私の解答は「日誌一覧表の各項目の内容」12文字。

表内の内容と明記はしました。取引先名は、α~βに含まれてませんからね。

模範解答の「繰り返し」がないと失点なのかは分かりません。そもそも「繰り返し」なんて出てくるわけないし、正解に重要なのかも分かりません。

正直、作問者が何の理解を測りたいのか意図が分からない問題です。「当たり前のこと」を書いて、切り替えて次の問題へ進みましょう。




設問3 | 文書と表を見る


正答は以下(順番を変えました)。

  • 応答データの転送量が削減されるから

  • 応答データの加工処理をサーバ側で行うから


データの転送量は正解してください。

【Webアプリの見直し】の②。「Webブラウザに描画するデータだけを返す」より、データ量が少なくなっていると分かります。

私の解答は「表示するデータだけ転送するから」15文字。文字制限の半分。まぁOK。

少ないと思ったら「表示するデータだけ転送するので、表1-2が改善するから」27文字。


もう一つは処理するハードウェア性能の違いによる改善。

表2を見ると

  • Pのデータ加工はWebブラウザ:レスポンス✖

  • ②のデータ加工はAP:レスポンス○

よって「データ加工をAPで行うから」と思い至ります。

作文をします。

「データ加工処理をAPで行うから」15文字。制限の半分。

少し短いと思ったら、踏み込んでみます。「データ加工をスマホより高性能なAPで行うから」22文字。

性能については問題文に書かれてませんが、スマホよりサーバが高性能なのは当然なので大丈夫でしょう。




設問4 | 計算問題は確実に


正答は「200ミリ秒」と「500ミリ秒」。

どちらも正答しましょう。


aについて。

表1-2から800ミリ秒について、データ量が1/4になるので、800/4=200ミリ秒。


bについて。

表1:Pでの処理時間(性能):②での性能:②での処理時間。

  • 3:1,200(スマホ 10GIPS):DB 40GIPS:300ミリ秒

  • 4:   300(スマホ 10GIPS):AP 20GIPS:150ミリ秒

  • 5:   200(スマホ 10GIPS):AP 20GIPS:100ミリ秒

以上より、300 + 150 + 100 = 550ミリ秒。




設問5 | 困ったら当たり前のことを書く2


模範解答は「WebAPIを介してCRMシステム以外の社内システムとも連携する拡張性」。


設問に「拡張性」があるので、問題文から探し出します。

  • 24頁:CRMシステム以外の社内システムと連携できるように拡張性を

  • 26頁:将来的な拡張性については各実装方法を設計するタイミングで検討

これだけの情報で「拡張性とは何か」と問われても困ってしまいますよね。

ひとまず「CRMシステム以外の社内システムと連携できる拡張性」25文字。15文字余り。

私はここ止まりでした。当たり前のことを当たり前に書いて、さっさと次の問題に取り組みたいので。

「WebAPIを介して」に考え至るには、②はWebAPIを導入した方式なので「WebAPIを生かすんだな」というポジションになっている必要がありました。


設問2(2)も設問5も、何を重要視して問われているのかイマイチ分からない印象がしました。文章を書く人と読む人の個人差かも。

まず、問題文の語句を使いましょう。深読みはせず、自分の分かっている範囲で、当たり前のことを書きましょう。

次に問題演習では「こういう風な解答を求められているんだな」と心に留めておきましょう。いつか作問者と文章の波長が馴染んでくると思って演習を続けましょう。




考察 | ネットワーク図の違和感


問題を選ぶ前にネットワーク図は必ず見ます。

どんなことが問題になりそうか、解けそうなネットワーク構造がか一目一瞬で見積もれますからね。

私は違和感がありました。

サーバの配置は問題ありません。

  • WebサーバがDMZにある:外部からアクセスされるので

  • DBサーバが社内LANにある:大事なデータがあるので

  • APサーバを設けている:利用者が直接DBにアクセスしないようにワンクッション

しかし、WebサーバとAPサーバを分離しているのが違和感でした。

Webサーバ上でアプリを走らせ、Webサーバ(DMZ)→DBサーバ(社内LAN)が王道だからです。


問題を解き終えてから考えて、少し分かりました。

APをWebサーバ上で動かすと、システム拡張して社内システムからAPIを利用する時に不都合が出るからと。

社内システムが使うAPI及びAPIの出力は外部に出たら困るものが多いと推測できます。APをWebサーバ(DMZ)に置くと、インターネットから社内システム用APIを悪用されるリスクが出ます。

わざわざ社内LANに置くということは、守る理由があるんですね。


また、もし社内システム用APIがDBへアクセスする場合、大変です。

社内システム→(FW)→Webサーバ→(FW)→DB→(FW)→Webサーバ→(FW)→社内システム、とFWを4回通過します。

DBへアクセスしなくても、社内システム→(FW)→Webサーバ→(FW)→社内システム、と2回通過します。

通信帯域・FWへの負荷になります。


ネットワーク図を一瞬で判断するには、サーバの王道配置を知っておくのが効果的です。
>応用情報技術者試験のサーバ配置Note




計算問題 | 芋づる失点しないか見る


選ぶ問題の候補を決める時に、もし用語問題と計算問題があった時は、もう少し深く見積もります。

用語問題は知らなかったら失点。答えられそうか、選択肢の用語で知っている用語も割合を見て考えます。


計算問題も計算できなかったら失点。

設問文を見て計算できそうか見積ってください。

さらに注意点があります。

計算問題が2問以上続く場合、1問目の答えを2問目の計算で使うか、必ず確認して下さい。

もし1問目も計算を間違えたら、自動的に2問目も失点してしまいます。例え2問目の計算式が正しくても、1問目の値が間違っていたら2問目も自動失点(芋づる失点)です。

今回の問題は、1問目と2問目が独立していました。

1問目でデータ量の簡単な計算をしてジャブ、2問目で複数の処理時間の計算で本腰。作問者の優しさが窺えます。




まとめ


お疲れ様でした!


「質問意図の捉え方」と「答えの書き方」に迷う問題が多かった印象でした。一方で性能の定量評価などは分かりやすかったです。

合う合わないがピーキーで、得点できるかできないかは個人に依りそうです。

あとは、この問題を選ぶかどうかの判断ですね。それはまた、感想戦Noteにまとめようと思います(未定)。


宜しければ、他のNoteもどうぞ!
>APR05秋問4(システムアーキテクチャ)の解説Note


p.s. 普段は >> 専門学校とIT就職のブログ << をやってます。
でわでわ(・ω・▼)ノシ


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