【2024年版】世界史教科書 消えた用語、増えた用語:山川出版社・帝国書院の比較編
この記事の要約
この記事は長い(約40000字)のではじめに要約を書いておきます。
以前、山川出版社の新しい世界史教科書の用語がどのように変化したのか記事を書いたことがあった。しかし、必ずしも単純に「増えた」「減った」と言えないのではないかという事実がみえてきた。
そこで今回は帝国書院の世界史探究教科書の収録語と、山川の収録語を比較することで、山川が収録しなかった用語とは何かをあぶり出してみることとした。
これによって、世界史の教科書にも多様な編集方針があり、その背後には教科書のユーザー(市場の反応)を見据えた複雑な力学が控えていることも見えてくるように思う。
用語の選定について帝国書院(以下「帝国」)と山川の世界史探究(詳説世界史。以下「山川」)を比べてみると、帝国は、概念用語(時代と地域を超えるキーワード)と個別の用語の階層関係を意識した選定となっているが、山川にはそのような配慮は感じられない。
帝国は用語を本文に明示し、登場する用語はほとんど索引に記載している。一方、山川は用語が抽象的・一般的な説明に代替される形で使われている箇所が多く、その場合索引にその記述に相当する用語は記載されない。また、山川は本文中にある語句であっても索引に記載がないものもある(靖難の役など)。
帝国の教科書にしかない用語を知りたい方は、下のほうの「検証」で★マークがついているものだけを見ていただきたい。それが、帝国書院の教科書の編集方針やオリジナリティを表しているとみることができる。
大学受験に関していえば、少なくとも今年度入試の水準でいえば、中堅以上の私大、国公立2次ともに山川のみでは対応するのは難しい(少なくとも「教科書レベルで間に合う」という指導は以前に増してできない)。
※この情報は2023年度刊の両者の世界史探究教科書(山川は詳説世界史)によるもの。一部、出版社による令和5年度訂正通知を参照した。
経緯と詳細は以下のとおり
以前、このような記事を書いた。
ここで、
…と書いたように、索引に載っていなくても実際にはその言葉が記載されているものも結構あることはなんとなくわかっていた。
で、1年間、山川の教科書を使って授業をした。
ユーザの人はわかると思うのだが、これがけっこう変わっている。
そんな中、思うところがあり、教科書を次年度は山川ではなくすことに決めた。
とはいえ、何がどう変わっていたのか?
1年経って、このたびもう一度検証しなおしてみることにしたわけである。
***
たとえば山川の教科書『詳説世界史探究』(以下、「山川」)で「アジャンター石窟寺院」と探してみる。
すると索引には記載がない。
しかし、パラパラとめくってみると掲載されていないわけではないのだ。
また、古代ギリシャの悲劇作家にアイスキュロスという人がいるのだが、彼の名前も山川の索引から消えた。明代の「靖難の役」という国は索引にはないが、本文中には記載がある(p.151。東書・帝国の索引・本文には記載あり)[※取消線・太字は2024/3/12訂正]。しかし教科書には従来通り記載が残っている。
本文中にこれまで通り残っているのに、索引から消えたとなれば、不便なのはもちろんユーザーである生徒である。
実際には用語数を減らしていないが、時流に合わせて索引の項目数を間引くことで、それをカモフラージュしようとしているのでは?と勘ぐりたくもなるが、ビルボ先生のおっしゃるような事情もありそうだ(下に引用)。
なお、同様の措置が他社教科書でみられるかどうかはチェックしていないのでわからない。そういう傾向がもしかしたら他社にもあるのかもしれない。
——というわけで、少なくとも言えるのは索引だけ見て、用語数が増えたとか減ったとか、言うことはできないということだ。
索引から消滅しても本文や欄外に残留したものもあれば、なかには本当に消滅した用語もある(山川では楊貴妃や三国志演義関係者がのきなみ粛清対象となった)。
その切り分けをしなければ厳密には判断できない。
しかし、すべての用語について本文を参照して…といったことなど、普通はやってられる場合ではない。
私も厳密にはやっていない。
そういうわけで結局、具体的にどのような変化が起きているのかつかみにくいというのが実情である。
帝国書院の索引と比べてみる
では、もう少し違う角度から山川出版社の『詳説世界史探究』の特徴をあぶりだすにはどうしたらよいか。おそらくもっとも手っ取り早いのは、他社の教科書と比較してみることであろう。
とはいえ、やってみればわかるのだが、これまたけっこうたいへんだ。
ひとつひとつ対照させて、これはある、ない…とやっていくのは骨が折れる。
しかし、やってみないことにはわからない、というわけで、今回は帝国書院の『新詳世界史探究』(令和4年文部科学省検定済)と比較してみることにした。
私のスタンス
どのような書籍であれ、十全な索引というのは、なかなかつくれない。
しかも教科書にはページの制約もある。
少なくともどれを索引に立項し、どれを立項しないかには、ある意味編者らのセンスや思いが反映されているとみることができよう。
「ニッポンの世界史」をたどってみると、2020年代の現在、世界史教科書は明らかに大きな転換点をむかえている。
これこそが正しい教科書だ!と「正典」にすがる姿勢は、歴史を学ぶ(=Doing History(歴史する))姿勢としては好ましくない。
世界史教科書にもいろいろあってよいし、これまでもそうだった。
そもそも教科書(教科用図書)は、授業の過程で使用する図書のことであって、社会人が自習用に使うことを目的として出版されたものではない。
授業を通して、日本全国のさまざまな高校2・3年生(あるいは大学受験準備をする既卒者)が使うものである。
近年の教科書には、ますます厳密な事実の羅列と精緻な解釈が要求されるようになっている。しかしそのような誌面が果たしてそれが歴史に関心を持ち、好きになる生徒を増やすことにつながるのかについても考えあわせるべきだ。
もちろんそのような厳密性を追求する教科書があってもよい。さまざまな試みが簇出し、そのなかで自分の用途にあったものを選び取っていけばよいのだ。
生徒に教科書は選べない。もっといえば出版社も、市場(=教科書を選択する教員)のコントロールはできないし、執筆者(大学教員や高校教員)が教科書記述を完全にコントロールすることも難しい。大学受験を出題する大学教員や、それへの適応を業となす予備校講師のポジションもある。
そういう多様で複雑な力学があることを踏まえて、現実主義的に考えれば、「完全な教科書はない」という姿勢をもちつつ、とくに教員にとっては、教科書の記述をどのように使い倒していけばよいかという態度と方策が試される。
その上で、「日本の高校生が学ぶに値する「世界史」(の理論)とは何か」「世界史にとって、重要な用語(あるいは考え方)とは何か」に関する未完のプロジェクトに対する視線を絶やすことのないようにしたいと思う。
***
帝国書院の教科書の特徴と背景
さて、前置きが長くなったが、索引の検証に入る前に、帝国書院の教科書の特徴や背景について確認しておきたい。
帝国書院の「特色」紹介によれば、『新詳世界史探究』には「因果関係を重視して書かれた本文や、「文化から見る当時の社会」、また特設「結びつく世界」により、世界史の流れや社会構造、文化の背景、世界のつながりが理解できる」という特色がある。
ここには、著作者の筆頭である桃木至朗・大阪大学名誉教授も関わった、高大連携歴史教育協議会の用語精選案の影響や、桃木ほか編『市民のための世界史』に結実した阪大史学の取り組みが、もっとも強く反映されているといえる。
教科書紹介のウェブサイトには次のようにある。
これについては、著作者の筆頭である桃木至朗が関わる『タペストリー』(帝国書院)の共編者である川北稔の「近代世界システム論」が積極的にとりあげられているのが特徴だ。イマニュエル・ウォーラーステインに師事した立命館大学教授の山下範久も編者に連ねている。
これにより、特に美術関係の語句や大衆文化(ポップカルチャー)に関する語句が多く立項されている。
山川の『詳説世界史探究』ではカットされていたものもちゃんと立項されているし、メアリー・シェリーや『ムーラン=ド=ラ=ギャレット』、村上春樹のような特色あるものもみられる。
カーネギーやロックフェラーなど、経済界で活躍するとともに慈善家としても活動した人物が盛り込まれていることも特徴である。
この方針を受けて、索引には2010年代の時事的な語句やビジネスやテクノロジーに関連する語句、日本史と関連する語句などが多く含まれている。
また、細かいところでは、以下のような特徴がある。
・日本史も立項している。
・日本語(現地語)の順番(山川は逆)
・人名は原則、フルネームで記載する。
では、これから個々の語句を確認しながら、全体のトレンドをつかんでいくことにしよう。
***
検証:山川の索引にはないが帝国の索引にはある語句
以下、山川出版社『詳説世界史:世界史探究』の索引にはなく、帝国書院の索引にはある用語をリストアップしていく。
単純な表記の違いにすぎないものは、リストから外してある。
別の形で説明されていたり、一般的な語句に置き換えられていたりもせず、純粋に帝国書院の教科書のみに記載のある語句には「★」マークを付けた。
つまり「★」のついている用語こそ、帝国書院の教科書ならではのセレクションということになる。
さて、さっそく検証していこう。
***
IS(「イスラム国」)
2010年代以降のトピックを、積極的に索引に盛り込もうとするのが帝国書院の特徴だ。「イラクとシリアで勃興したIS(「イスラム国」)を自称するイスラーム過激派やその支持者によるテロが…」と本文で説明されている。
山川にも本文に「イラクとシリアにまたがる武装勢力」とあり、側註に「IS(「イスラム国」)」とある。
アイスキュロス[2024/3/12訂正]
実は山川には今まで通りアイスキュロスの記載はある。
アイルランド問題
ただし帝国の本文をみても、この言葉自体はない。
アウステルリッツの戦い
山川には「オーストリアとロシアの連合軍に勝利」という記載はある。地図上には「アウステルリッツ 1805」との記載もある。
★赤絵
山川には染付はあるが赤絵は見当たらない。
★アカプルコ
握斧(ハンド=アックス)
山川には冒頭の「世界史のまなざし1 地中環境からみる人類の歴史」の囲み部分「「地球カレンダー」と人類の進化」内に、礫石器、剥片石器とともにイラストが掲載されている。
★アジア内貿易
「ヨーロッパの進出によってアジアの経済は衰退した」という考え方を揺さぶる概念用語。
実際にはヨーロッパ(特にイギリス)が各地に整備した交通インフラを利用しつつ、日本・東南アジア・インド・中国がそれぞれの強みを生かして「ものづくり」と「輸出入」と「消費」に邁進。こうした「連携プレー」が第二次世界大戦後のアジアの経済的な結びつきと経済的発展へとつながっていくのだという見方がとられるようになっているのです。
★アシエント
山川本文に「スペイン継承戦争によって、…スペインの広大な中南米植民地に黒人奴隷を供給する特権も獲得」とある。
アジャンター石窟寺院
山川には図版と地図に記載あり。
アッコ
これは十字軍最後の拠点であるアッコンのこと。
★アブデュル=メジト1世
山川には記載なし。
★アブドゥフ
ムハンマド・アブドュフ(1849~1905)。アズハル学院を修了しウラマーとなる。在学中にエジプト滞在中のアフガーニーに弟子入りし、改革思想に目覚め、反英闘争のアラービー運動に参加し、国外追放となる。パリでアフガーニーとともに、ウンマの改革と統一をめざす雑誌『固き絆』(1884刊。帝国では表紙図版がキャプション付きで記載されている(p264))。宗教と科学の融和を説いた穏健な改革派。共著のあるラシード・リダー(1865〜1935)はサラフ(初期世代)の純粋なイスラームへの回帰を説くサラフィー主義を広めた人物で、帝国の索引に「リダー」として立項されている。
★アーヘン条約
近世ヨーロッパの条約は、山川ではのきなみ立項されていない。
★アマースト
★アミアン大聖堂
山川は、ビザンツ様式はハギア=ソフィア聖堂、サン=ヴィターレ聖堂。ロマネスク様式は本文中に「シュパイアー大聖堂やピサ大聖堂」、欄外にサン=ピエール修道院附属教会(図版)。ゴシック様式はランス大聖堂、シャルトル大聖堂(ともに本文と図版)。
ほかに「ビザンツ様式から変容した、ロシア独特のドーム」が特徴とするモスクワの聖ワシーリー聖堂も図版に掲載。
★アメリカ的生活様式
社会構造、文化の背景を重視する帝国らしい語句。
山川では1920年代のところで「大量生産・大量消費・大衆文化を特徴とする対象社会」として、その特徴が本文中に記されている。旧版の山川にはあった1950年代の「豊かな社会」という項目は削除された。
アラブ民族主義
★アルファベット
令和5年度訂正で山川から、「フェニキア文字は22のアルファベットからなり」が「…子音字からなり」に訂正され、山川からアルファベットは消えることになった。
★アルメニア商人
ネットワークを重視する帝国らしい語句。
アルメニア人は後でふれるように、アジアとの貿易ネットワークを築いた商業民族として知られる。ユダヤ人同様、アルメニア人は11世紀に東ローマ帝国によって王国が滅ぼされ、散り散りになるも、東方に移住したアルメニア人は、オスマン帝国領内で保護され、17世紀にかけてサファヴィー朝の保護のもとで、海陸のシルクロードの交易で活躍した。
★アングル人
帝国では地図中に記載あり。山川ではアングル人とともに「アングロ=サクソン人」と本文中に太字表記、地図中には「アングロ=サクソン」と表記。
★アンコール = トム
★アン女王戦争
山川は側註に「第2次英仏百年戦争」とあるだけで、個別の戦争名の記載はない。
アントウェルペン
山川は地図中に記載あり。
★家(日本)
これは社会構造や家族史を重視する帝国らしい語句。一般に「イエ」とも表記される。
編者の桃木至朗がよく紹介する家族史の話で、本文ではなくコラムに登場している。
★イエメン革命
本文中ではなく「アラブ民族主義」の側註。1962年のイエメン革命が、52年のエジプト革命、58年のイラク革命、69年のリビア革命などとともに「王政打倒と民族主義の勃興」の文脈で紹介されており、一般的な動向の一例として例示されているから、やみくもに難しい語句がポンと置かれているというわけではない。ただ、このような語句が残されている限りは、重箱の隅をつつくような大学入試も依然として可能ではある。
硫黄
高大連携歴史教育協議会の発表した用語精選案に掲載されている、「モノ」系の語句。山川には本文中に記載あり。
★イギリスの商業革命
ネットワークを重視する帝国らしい語句。
帝国では見出しに「「イギリスの商業革命」と生活革命」とあり、本文に「航海法と植民地建設を背景に、イギリスは貿易を急速に発展させた。アジアからは綿織物や茶が輸入され、カリブ海の砂糖植民地や北アメリカ南部のたばこ植民地との貿易も発展した(「イギリスの商業革命」)。」とある。
また、側註には次のようにある。
★イギリス連邦経済会議
★イースター蜂起
山川には「1916年の蜂起」とあり固有名は避けられている。
イスラーム化
語句自体は山川にも多数使用されている。
イスラーム過激派
山川は「イスラーム急進派」を使用。
イスラーム銀行
帝国のコラムに登場。「2008年に、不当な利子・金利の扱いから世界同時不況が起き、世界的な経済危機となると、利子を批判するイスラーム銀行に大きな注目が集まった。」
★イスラーム帝国
★イスラーム=ネットワーク
ネットワークを重視する帝国らしい語句。
「結びつく世界:8〜9世紀 イスラーム = ネットワークの形成」において「アッバース朝時代の東西交易路」が図示されている。
この概念用語の普及は、わが国では世界史教師・教育研究者の宮崎正勝の紹介によるところが大きいが、ユダヤ人、インド各地の商人、アルメニア人などムスリム以外の担い手もいたことから、ムスリム商人以外の主体をまじえた「海域アジアのネットワーク」をとらえる動きが主流になっている。帝国はこの動きも踏まえた叙述になっている。
山川ではこの語自体はみられず、「東南アジアの交易とイスラーム化」の項目内に「このような交易ネットワークの広がりにともなって、東南アジアにもイスラーム教が広まっていった。」(p.109)、「アフリカのイスラーム化」の項目内に「アラブ系やイラン系のムスリム商人は季節風を利用してダウ船を操り、広大なインド洋海域を結ぶ交易ネットワークに参加していった。」(p109)とあり、他地域へのイスラーム化の拡大の要因として「交易ネットワーク」の拡大が関連づけられる叙述となっている。また「イスラーム=ネットワーク」の全貌は「ムスリム商人の交易とイブン=バットゥータの行程」(地図)のなかに「おもな商業ルート」がネットワーク的に図示されたものから理解できる(p116)。
★イスラーム復興(運動)
帝国では19世紀の「イスラーム復興の芽生え」という小見出しと、1979年のイラン革命に代表される動きの2つを指す。
イスラーム文明
山川ではイスラーム文「化」としている(p88)。
イタリア商人
★イダルゴ
帝国では本文に「カリブ海を除くラテンアメリカの大半が独立国となった」とあるのみで、註に「メキシコも聖職者イダルゴの影響下で、1821年に独立した」と補足。
他方、山川ではイダルゴなどの固有名詞をまったく排するものの、「(メキシコでは)インディオやメスティーソなどの被支配層が抑圧からの解放や独立を掲げて放棄したが、一部で白人の虐殺がおこるとしだいに過激化し、植民地政府軍によって鎮圧された。他方、本国で絵停止されていた1812年の憲法が復活すると、本国出身者やクリオーリョの支配層は、これが植民地にも思考されてみずからの地位を失うことを恐れた。このため、彼らは結束して本国と決別し、白人主導のメキシコ帝国を樹立した(1821年)。」と、社会構造の複雑性についてかなり踏み込んだ説明になっている。
社会構造の記述をうたう帝国だが、ラテンアメリカの独立運動については圧倒的に山川のほうが詳細である。
異端
市(中世ヨーロッパ)
一条鞭法
★一帯一路
2010年代以降の世界の動向に関する語。現在の諸課題とのつながりを重視する帝国らしい語句。
稲
「モノ」に関する語。
★イマーム
帝国ではシーア派についての側註「イマーム」のなかに「指導者を意味する言葉で、シーア派は「最高指導者」という意味で用いている」。「十二イマーム派」についての側註に「12番目のイマームの再臨を信じている」との説明がある。山川には見当たらない。
イラク王国
イラク革命
イラン立憲革命
山川ではたんに「立憲革命」。
★石見銀山
山川本文には「日本の銀」とあるが、石見銀山の記載はない。
★印僑
山川からは、東南アジアにインド系移民が流入した契機を確認できるところがみられない。
これに対し帝国では「マレー半島の人口構成の変化」のグラフがあり、「鉱山・都市などの労働力の多くは、インド・中国・日本などの人口過剰地域からの、女性を含む出稼ぎ労働者や移民によって賄われ…」とあり、東南アジアが19世紀以降に経験した開発と社会変容について理解する手立てが充実している。このへんは「歴史総合」でもカバーするところであり、これをさらに発展させる内容だ。さすがは桃木氏の手によるところである。
印章(インダス文明)
「印章」としての項目立ては山川ではなされていない。
★印章(中華王朝)
東アジアの印章文化に注目したもの。
インド貿易独占権
陰陽五行説(陰陽五行)
ヴァージニア
★ヴァンデーの反乱
山川のフランス革命の扱いはかなり薄いものとなっている。
★VR(ヴァーチャルリアリティ)
科学技術関係の語句。
ウィリアム王戦争
第二次英仏百年戦争の細かな語句は山川ではのきなみカット。
ヴォルムス大聖堂
山川に記載なし。
ヴォルムス帝国議会
★ウスマーン
山川では「アブー=バクルからアリーに至る4人のカリフ」と一括され、ウスマーンは落選。
宇宙開発
科学技術に関する語句。
ウルス
山川では単独での立項はなし。註に「ウルスは「国」を意味する」とあるが、説明はこれだけ。
帝国では註で「モンゴル語で「くに、くにたみ」の意で、領土そのものではなく、人間集団とそれによって形成される領域をさす」とのことわりがあり、騎馬遊牧民の国家観をていねいに説明している。
英印円卓会議
山川は「イギリスはインドの様々な勢力をロンドンに招集し、円卓会議を開いて」と、本文中に吸収。
映画
帝国は19世紀の文化の「近代大都市文化の誕生」の項目に「巨大なデパートや新たに映画館などの大衆商業・娯楽施設も増え」とある。また、1920年代のアメリカ合衆国の繁栄のなかに、「ラジオ・映画・スポーツ観戦などの大衆文化」がある。
発明者の一人であるエディソンの業績に「電灯・蓄音機・映画」とある。
山川はアメリカ的生活様式の一例として、映画・軽音楽(ジャズ)とプロスポーツ(野球)を挙げている。
エディソンの業績には「電灯」のみで、映画はない。
文化と社会との関連を重視する帝国は、さらに一歩進んで5部3章に「情報のグローバル化への胎動とサブカルチャーの隆盛」という項目を立てていうる。
従来の文字・音声メディアに比べ、テレビが台頭することが社会に与えたインパクトを述べる中で映画『博士の異常な愛情』や映画『マッドマックス2』が核戦争や核戦争後の世界の想像力とリンクしている点、あるいは『ゴジラ』『シン・ゴジラ』にもふれている。
★永嘉の乱
山川には「華北への移住を進めていた遊牧諸民族(五胡)が蜂起し、洛陽・長安を攻略された晋は滅んだ」とある。
英領マレー
「エジプトはナイルの賜物」
山川本文に記載あり。立項されていないだけ。
エジプト文明
立項されていないだけ。山川「おもな古代文明とそのお遺跡」に「エジプト文明」と記載あり。
★SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)
山川には「アラブの春」の箇所を含め、記載はない。
越南(ベトナム)
択捉島
山川はサンフランシスコ平和条約の註に、日露和親条約以降の経緯について記載あり。
エドワード1世
★エル=グレコ
バロックとロココは、帝国と山川でもっとも対応の分かれたところ。
バロック様式は「カトリック改革(旧版では「対抗宗教改革」)のなかに位置付けられ、註にベラスケスやルーベンス、図版は「聖ザビエルの奇蹟」のみとなった。「民衆の信仰心に訴えるためにわかりやすい題材に用いた」わけである(p182)。
ロココ様式は啓蒙専制主義のところに位置付けられ、例は建築のサンスーシ宮殿のみとなった(p198)。
LGBT
山川には「女性の平等化とジェンダー」の項目の本文に「加えて性的指向についても、本人の意思を尊重して、多様な性のあり方を受け入れるような社会が模索されている。」とあり、同じページに2016年ニューヨークの「プライドパレード」の図版が、その歴史的経緯の説明とともに掲載されている。「LGBT」は図版の説明キャプションのなかに記載がある。
★エルトゥールル号事件
日本史との関わり。
19世紀後半、イスラーム教を広めた預言者ムハンマドの代理人(カリフ)を皇帝とするオスマン帝国の国力はいよいよ衰え、地中海とインド洋を結ぶビジネスに進出しようとイギリスやフランスだけでなく、後から成長したドイツも進出を強めていた(東方問題)。
そんな中、当時の日本はオスマン帝国と友好関係をむすぼうと、使節を送っていた。
その「お礼」にとして、皇帝アブデュルハミト2世は日本の天皇宛てに使節を送り、日本側の大歓迎を受けている。
しかし、その帰路に軍艦が和歌山県の沖合で沈没してしまう。
これがエルトゥールル号遭難事件だ。
エルバ島
山川は地図には記載あり。
延安
山川では「最終的に陝西省に到達して根拠地を設け」とあり、註には「瑞金から陝西省への行軍」とあり、延安は排除された(p305)。地図には記載が残っている(p295)。
塩金交易
山川は本文内に記載あり。
円形闘技場
山川には図版のキャプションに記載あり。
円高・ドル安
オアシス国家
概念用語。山川では「オアシス都市は連合して大きな国家をつくることはなく」とあり、オアシス都市が国家(都市国家)ではない、とも読める叙述となっている(p39-40)。
オアシス地帯
帝国はこのように地理に関する用語も立項されている。
王
概念系の用語。高大連携歴史教育協議会の発表した用語精選案に含まれている。
★欧州債務危機
2010年代以降の出来事。
横断政策
山川では本文中に縦断政策の記載はあるが、横断政策の記載はない(→縦断政策)。
★王立協会
山川には本文中に「各種の科学協会やアカデミーが創設され、専門的な科学者が活動する場が整備されつつあった」(p199)とあるが、具体名は見当たらない。
★王立マニュファクチュア
山川はコルベールの政策を説明した本文のなかにもこの語句はみられない(p193)。
★大きな政府
山川には「小さな政府」はあるが、大きな政府は見当たらない。
★小笠原諸島
日本史との関連。山川には記載なし。
オーストリア
立項されていないだけ。
オーストリア帝国(ハプスブルク帝国)
山川にこの語句はみられない。
『落穂拾い』
山川は記載なし。
オランダ領東インド
山川は本文に記載がないが、地図に記載がある。
開化派
山川では「急進改革派」と表現(p257)。
★回教
★開元の治
山川には貞観の治とともに記載なし。
開港
概念用語。
階層分化
概念系の用語。高大連携歴史教育協議会の発表した用語精選案に含まれている。
海底電線
メディア、インフラ系の語。歴史総合のBパートで、その世界の一体化に果たした役割が積極的に採用されている。
ヨーロッパ諸国の行動範囲が世界に広がっていくにつれて求められたのが、遠距離間を短時間で結ぶコミュニケーション手段だった。そのために応用されたのが、19世紀に入って発明された電信技術だ。
当初は民間企業により整備されていったけれど、1870年以降は政府がインフラ建設に大きく関わっていくようになる。たとえば、海底ケーブルが敷設され、各大陸の植民地が次々に電信ネットワークでつながれていった。
迅速な情報交換を可能とする海底ケーブルはすなわち支配のための技術でもあったわけだが、こうした技術は基本的には必要な対価を支払えば、誰でも利用できた(国際共有財という)。だから逆に世界各地の植民地の人々が、地域を超えて貿易をおこなったり、独立に向けて協力したりするのに使われていくことにもなった。また、どんな国の船も入って取引ができる自由な港も、あちこちに建設されている。
世界の国々が活動するための交通と通信インフラを整備すれば、モノの貿易量や人々の国境を超える交流を増やすことができるよね。そうすれば、あとは黙ってみていればいい。イギリスの提供するインフラによって東アジアの工業化が活発化すれば、モノを運んだり決済したりする際の手数料やサービス収入で儲けることができるわけだからね。
同時に支配を受けている側も、完全に自立性を奪われてしまったわけじゃなく、イギリスの建設したインフラを、むしろうまく使い倒していった面もある。たとえばアジアの中で発達した貿易ネットワーク(→アジア間貿易)は、その代表例だ。この貿易は植民地支配されていた地域と、日本、中国、タイなどの独立国を結びつけ、成長率では対欧米向けの貿易を上回るほど活発だった。
たとえば19世紀後半の日本はイギリス領インドから原料の綿花を輸入していたのだが、当時のインドも特にボンベイを中心に植民地であるにも関わらず紡績業を発達させ、輸出量を増やしていったところだった。殖産興業を進めていた明治時代の日本にとってのライバルは、実はインドの紡績業だったのだ。
帝国にはこのような見方から、支配するヨーロッパ/支配されるアジアという単純な見方を解除しようとする記述が多くみられる。
なお、日本とインドで製造された綿糸は、競うようにして中国に輸出。中国では手織りの綿布が大量に生産され、東南アジアなどに輸出されていった。同時に綿糸の材料であるインドの安価な棉花も、日本の需要にこたえて大量に輸出されていった(→タタ商会の項目に続く)。
★開発主義
帝国では開発独裁のところに註がついて「開発主義政策の特徴」が補足される。開発独裁と開発主義政権は、ほぼ同じような意味合いで使われている。
山川は「開発独裁」のみ採用(p337)。
★『海洋自由論』
山川にグロティウスの著作の記載はなし(p200)。
★カウンターカルチャー(対抗文化)
山川には、記載のありそうなベトナム反戦運動のところに記載はなかった(p334)。現代文かのところには「ポップ=カルチャー」はあるが、カウンターカルチャーはない(p362)。
★科学的社会主義
山川には記載なし。フランスの社会主義思想の註に「フランスの社会主義者は、資本主義の先進国イギリスを意識しながら未来社会を考えたため、彼らの理論は急進化する傾向が強かった」とある(p223)。
核(兵器)
帝国は軍事史系の語を多く立項している。
★岳飛
秦檜とともに削除。
★ガスマスク
帝国は軍事史系の語を多く立項している。
合従策
山川は表のなかに記載あり。
★カニング
イギリスが「独立国との自由貿易に期待を寄せて」ラテンアメリカの独立運動を支援したと本文にある(p219)が、カニングは記載なし。
カーネギー
帝国はアメリカの資本家を多く立項している。
カリカット
山川は地図に記載あり(p159)。
★ガリラヤ地方
山川は記載なし。
★カール12世
山川は記載なし。
★カルテル
概念系の用語。山川には「巨大企業が市場を独占的に支配する傾向が現れた」とのみ(p258)。
枯葉材
帝国は軍事史系の語を多く立項している。
桓公
韓国統監
山川本文には「統監府」が、註に「韓国統監」がある。
カンザス-ネブラスカ法
山川本文には「カンザス・ネブラスカの両準州」についての法の記載あり。
監察官
漢字文化圏
山川にはこの語はないが、「漢字」といった表現が漢王朝の歴史的影響力を物語るとの記載があるほか、唐代では「唐と近隣諸国」とあるだけでことさら「漢字文化圏」の語は使用されない。
完新世
山川本文に「約1万年前に氷期が終わる」とあるのみ。
関税自主権
山川には、本文に東アジア各地に開港場がもうけられ、「低関税の自由貿易がおしつけられたことにより、海上貿易は急速に拡大した」との記載があるほか、やはり別の箇所の本文にアヘン戦争のところで「協定関税制(関税自主権の喪失)」(p253)がある。
感染症
山川は感染症の記述が薄い。
関東州
山川には1920〜1930年代の中国地図に「関東州」の記載あり。
機械製綿糸★
機械製綿布
山川本文中には記載あり。
機関銃
帝国は軍事史系の語を多く立項している。山川は南北戦争と題する欄外図版に「巨砲や機関銃なども用いられた」とある(p236)。
基軸通貨
山川本文中には記載あり。
魏志倭人伝
日本史との関連。
★旗人
山川の八旗の註には記載なし。
貴族(ギリシア)
貴族院(上院、イングランド)
山川はp228側註に「上院(貴族院)」の表記あり。
貴族政
絹
モノ系の用語。高大連携歴史教育協議会の発表した用語精選案に含まれている。
キャフタ条約
山川は清代のアジアの地図(p171)、ロシアの領土拡大の地図(p196)、ロシアの東方進出(p254)の3箇所に地名の記載があるが本文にはない。
★キャラコ
帝国でも山川でも産業革命がインド産綿布の刺激を受けておこったという説明が積極的に採用されているが、山川には「インド産綿織物」とあるのみ。
★キャラバンサライ
★ギュイエンヌ地方
山川には地図に「ギエンヌ公国」がある。
球戯場の誓い
山川で消えてしまいさびしい感じがしたが帝国では生き残っている。
★仇教運動
山川では「反キリスト教運動による衝突事件(教案)」とある。
牛耕
山川には図版にも本文にもある。消えたわけではない。
休戦条約
山川では本文に「1609年の休戦」とある。
義勇兵
概念用語とみることもできる。
キューバ
山川では立項されていないだけ。
★ギュルハネ勅令
山川では「官僚の主導による」とあるのみで、勅令に関する記載はない(p244)。
教会
概念用語。
★強制移住法
山川は本文に「ジャクソン政権は狩猟経済を営む先住民の土地を安価で購入し、白人入植者に売却して農地に転換させた。さらに、これに応じない先住民には、新たに獲得した領土に保留地を設けて強制移住させる政策をとった」(p234-235)と詳細に説明がなされているが、「強制移住法」の語句はない。
協調外交
山川では「国際協調」と表現(p288)。
共和政(ローマ)
山川も記載あり。
★魚鱗図冊
山川は本文に「農村では人口調査を全国的におこなって租税や土地の台帳を整備した」とあるが、固有名詞は避けた(p151)。
慶州(キョンジュ)
山川も地図には記載あり。
★ギリシア正教圏
山川は本文に「東ヨーロッパではビザンツ帝国がギリシア正教とギリシア古典文化を融合した独自の文化を築いていた」(p93)とあるが、「-圏」についての記載はない。
ギリシア-トルコ戦争
山川は本文に「侵攻してきたギリシア軍を1922年に撃退」(p297)とあるが用語はない。
『キリスト教綱要』
山川は記載なし。
キリル文字
★ギルガメシュ叙事詩
山川は記載なし。
★『金瓶梅』
山川は記載なし。
勤勉革命
概念系の用語。帝国らしい用語。
速水融による語であり、イギリスの産業革命(Industrial Revolution)に対して、なぜ日本をはじめとする東アジアで「奇跡」(東アジアの奇跡)といえる巻き返しが起きたのか。それを説明するための道具立てとしてつくられた「勤勉革命(Industrious Revolution)」概念だ。
ここでは速水に影響を受けたヤン・ド・フリースの概説を引用しておこう。
「勤勉革命(Industrious Revolution)といえば、日本の速水融が資本集約的なイギリスの産業革命(Industrial Revolution)に対して、江戸時代の労働集約的な経済発展を指す言葉として提唱したものだが、本書でいう勤勉革命はだいぶ趣が異なる。その性格付けはむしろ最後の第6章で論じられる近年の第二次勤勉革命に近い。それは、妻や子供などが外で働いて稼ぐようになり(複数稼得世帯化)、その稼いだ金で衣服や音楽を購入し、自宅で食事を作るよりも外食が増えるといった事態を指す。これに先立つ時期は第5章のタイトルのとおり、大黒柱と内助の功(Breadwinner?Homemaker Household)の時代であったわけだが、そういう男性稼ぎ手モデル確立以前の社会のありようを、今日の第二次勤勉革命のイメージを逆照射する形で描き出したのが本書である。
なので、「勤勉」革命という標題は読者をまごつかせる。一世帯からの総労働時間数が増えることを指して「勤勉」と言っているのだが、その主たる動機は消費なのだ。懐中時計、蒸留酒、コーヒー、白パン、陶磁器などさまざまな魅力的な商品を手に入れたい、そためにもっと稼ぎたい、という欲望に牽引されて、妻や子供たちも外で働くようになったというのだ。男性稼ぎ手モデル時代の経済理論である低所得多就業のように、貧困ゆえに家族まで働きに出ざるを得なかったというわけではないという逆転の理論である。
そのモデルは長い18世紀のオランダである。イギリス産業革命に先立つ時期に、オランダでは消費主導の勤勉革命が進行していたというのは、これまでの経済史観をひっくり返すものだ。消費という目的を達成するために、より多くのモノやサービスを市場から調達するようになり、市場向けの労働、とりわけ女性の子供の労働が拡大していったというのだ。著者はこれまでの通説である抑圧された労働者、栄養失調の労働者といったモデルを実証的に批判する。
やがて19世紀半ば以降、工場立法によって妻や子供たちが労働から隔離され、男性稼ぎ手モデルが確立していくが、その背景にあるのも消費願望の方向性の転換-購買不可能性だったという。かつては悲惨な女子年少労働者の保護として(左右両派から)賞賛され、近年は家父長制的な女子年少者の労働市場からの排除として(フェミニストから)批判されたこの動きを、市場で購入可能な財をより快適に消費するための世帯内行動パターンととらえるのだ。」
フリース,ヤン・ド(吉田敦、東風谷太一・訳) 2021 『勤勉革命―資本主義を生んだ17世紀の消費行動』筑摩書房、第4章。
「今日、かつての長い18世紀と同様、妻や子供たちが再び外で雇われて働くようになった。その原動力も新たな個人消費への欲求であった。家で家事を作るよりもレストランで外食をし、家で衣服を作るよりもファッショナブルな既製服を購入する。音楽や演劇などエンターテインメントにもお金がかかる。そのためにも、妻や子供たちはますます長く働き、たくさん稼がなければならない。消費主導の勤勉革命再び、である。」(フリース,ヤン・ド(吉田敦、東風谷太一・訳) 2021 『勤勉革命―資本主義を生んだ17世紀の消費行動』筑摩書房、265-303頁)。
金融資本
グアテマラ
山川には「51年、中米のグアテマラでは左翼政権が成立して土地改革に着手したが…」と記載あり(p331)。
クウェート占領
山川には本文に「1990年8月には、フセインの指導するイラクが、係争地を抱える隣国クウェートに侵攻した。」と説明がある(p347)。
★空想的社会主義(→科学的社会主義)
★グージュ
山川は近年注目されているオランプ・ド・グージュのいわゆる「女権宣言」に関する記載はない。
オランプ・ド・グージュ(1748〜93)という女性は、もともと劇作家・役者。「人権宣言」の中に女性が含まれていないことを不満とし、1791年に人間を女性に、そして市民を女性市民に置き換えた「女性と女性市民の諸権利の宣言」という請願書をマリ・アントワネットに宛てて執筆する。女性の権利保障は、王妃にふさわしい仕事であることを主張し、手を貸すように求めたわけだ。
内容は人権宣言と対象させるとこんな感じだ。
●人権宣言(「人および市民の権利宣言」) 1789年8月26日
○女性の権利宣言(「女性および女性市民の権利宣言」)1791年9月 グージュ
●第1条 人は、自由、かつ、権利において平等なものとして生まれ、存在する。社会的差別は、共同の利益にもとづくのでなければ、設けられない。
○第1条 女性は、自由なものとして生まれ、かつ、権利において男性と平等なものとして存在する。社会的差別は、共同の利益にもとづくのでなければ、設けられない。
●第3条 あらゆる主権の淵源は、本来的に国民にある。いかなる団体も、いかなる個人も、国民から明示的に発しない権威を行使することはできない。
○第3条 あらゆる主権の淵源は、本来的に国民にあり、国民とは女性と男性との結合にほかならない。いかなる団体も、いかなる個人も、国民から明示的に発しない権威を行使することはできない。
●第13条 公的強制力の維持および行政の支出のために、共同の租税が不可欠である。共同の租税は、すべての市民の間で、その能力に応じて、平等に分担されなければならない。
○第13条 公的強制力の維持および行政の支出のために、女性と男性の租税の負担は平等である。女性は、すべての賦役と役務に貢献する。したがって、女性は、(男性と)同等に、地位・雇用・負担・位階・産業に参加しなければならない。
(ともに辻[★1点しんにょう]村みよ子䢏村みよ子訳)
しかしこの宣言は、議会で布告されることを想定したものだったけれど、それは結局かなわなかった。
【資料】1789年7月21日、シェイエス(『第三身分とは何か』の著者)の発言 「すべての市民が〔公権力の形成に能動的役割をはたす〕能動的市民であるわけではない。少なくとも現状では、女性や、子ども、外国人、さらに公共施設の維持に貢献していない者は、公的問題に対して能動的な影響を与えるべきではない。…公的組織のために貢献〔納税〕する者だけが社会的大企業の真の株主とでもいうべき者である。彼らのみが真の能動的な市民、社会の真の成員である。」
このように1791年の憲法のなかでは、市民は政治に参加できる「能動市民」と、参加できない「受動市民」にわかれていたんだ。その後も彼女の訴えは実現せず、1793年の憲法においても、参政権は「受動市民」に含められていた貧しい男性に拡大されるにとどまり、結局1793年に処刑されてしまった。フランスで女性参政権が認められるのは、1946年のこととなる。
★クック
帝国はオセアニア史も充実している。
グーテンベルク
メディア系の用語。
グレートブリテン-アイルランド連合王国
クレマンソー
山川には調印式を描いた絵画の中の人物として説明されている(p284)。
黒シャツ隊
山川には写真が掲載されているが、キャプションに「制服の着用(この場合は黒シャツ)」とあり、慎重である(p289)。
★軍戸
山川には記載なし(p151)。
軍閥
★「君臨すれども統治せず」
山川はからは削除された。
軽工業
概念系の用語。
経済開発協力機構(OECD)
山川にはOSCEはある。
毛織物工業
概念系の用語。
毛皮
モノ系の用語。
帝国はオコジョやクロテン、ビーバー、ラッコを取り上げている(p146)。
毛皮の取引の拡大は、同時にそこで暮らす人々の生活にも影響を与えた。たとえば、1930年頃にサン、ピグミー、イヌイット、オロチョンなどの先住民たちが、世界経済に組み込まれている(池谷和信 1999 「狩猟民と毛皮交易―世界システムの周辺からの視点」、『民俗学研究』64(2)、199-222頁)。下山晃は「毛皮獣の絶滅や先住民の生活圏の壊滅など毛皮交易史に関わる諸問題は、今日のエコクライシスが内包する数々のグローバルな問題の、最も典型的な先例であったと考えることが必要である」とも指摘する。毛皮をめぐるグローバルヒストリーから、新たなつながりが見えてくる(下山晃 2007-2009 「幕末開港期の欧米毛皮会社資料の調査:エコシステムと海獣毛皮猟」科学研究費助成調査報告(調査番号:20520561)、http://simoyama.saibunsya.com/kenkyu_2008.html#index5)。
開城(ケソン)
山川は地図にはある。
解脱
山川は目次に立項されていないだけ。本文内に記載あり(p54)。
羯
山川は目次に立項されていないだけ。註に記載あり。
兼愛
思想系の用語。山川には「血縁をこえた人類愛」と言い換え。
★原水爆禁止世界大会
山川は「核兵器廃絶と平和を訴える運動も世界各地に広がった」と本文にあるが、側註には科学者による運動のみ詳説され、市民運動に関する記載はみられない。
権利の宣言
★業
カルマのこと。思想系の用語。山川には註に「生前の行為によって…」とあるのみ。
★硬貨(コイン)
モノ系の用語。
なお、中国古代の青銅貨幣は、個々の種類については立項されていない。
令和5年度訂正で、山川は円銭の説明をより厳密化させ、図版も追加した(方孔のものだけでなく円孔のものもあるという訂正。しばらくおなじみだった図版に、円孔の円銭が加わったので混乱必至かも)。
★五経博士
山川からは消滅。本文に「董仲舒の活躍などにより儒学の影響力が強まり」とあるのみ。
★胡錦濤
★国際石油資本
帝国には石油戦略のところでこの語を本文内に「国際石油資本(石油メジャー)」として使用している。成立の事情にはふれられないが、この語があったほうがわかりやすいだろう。
他方、山川で該当しそうな箇所を拾ってみる。
まず、イラン石油国有化のところで「欧米系の石油企業」(アングロ・イラニアン石油会社のこと)とある。
また、「ドル=ショックとオイル=ショック」の項目の石油戦略の註に「他国やその資本」とあるが、この語はない。
★黒人国家
帝国では奴隷貿易の文脈で「ベニン王国など西アフリカの黒人国家」と使用。これが拾われている。
なお、クシュ王国が「最古の黒人国家」と呼び慣わされてきたきたわけだが、帝国も山川も、そのようには書いていない。
山川は「オリエントの統一と分裂」のところに「クシュ王国は、エジプトを除けばもっとも古いアフリカ人の国として知られている」とあり「黒人」とはいっていない。クシュ王国は、以前はアフリカのイスラーム文明のところにあったのだが、こちらに引っ越した。
帝国はもっと抜本的で、古代文明のところに「アフリカ大陸の古代文明」をもうけている。クシュ王国は「エジプトを除く最古のアフリカの国」と説明される。
アフリカを叙述に含めるようになった日本における世界史の文脈については、こちらを参照。
コークス製鉄法
山川も発明者ダービーとともに表に記載あり(p207)。
国民国家
山川も本文中に記載あり。概念系の用語。
★国民史
山川には記載なし。
帝国には19世紀後半の社会科学として「史料館の整備と史料週の刊行が各国で進み、ナショナリズムの風潮と相まって、「国民」の実在を前提にその成立・発展を叙述する国民史の流行につながった」(p244)とあり、かなり丁寧な説明。
国民政府(中国)
山川は本文中に記載あり。立項されていないだけ。
★護国卿
山川には記載なし。
★『古今図書集成』
山川は本文に「大規模な編纂事業」(p174)とあり、『四庫全書』『康熙字典』を例示するが、『古今図書集成』は落選。
互市
山川には「明は従来の交易統制政策を緩和し、モンゴルとのあいだに交易場を設けるとともに、海禁をゆるめて民間人の海上交易を許した。」とある。
★乞食党
オランダ独立戦争における「ゴイセン」の訳語。
胡椒
モノ系の用語。
『五体清文鑑』
立項されていないだけで、図版とともに掲載されている(p171)。
★古朝鮮
山川は衛氏朝鮮を地図に記載するが、古朝鮮の語句はない。衛氏朝鮮は漢からの亡命者が建てた、実在の確認できる「朝鮮」とよばれた古代の王朝(古朝鮮)である。
『国家』
プラトンの著作。
★国境なき医師団
★古典派音楽
公行(コホン)
山川は「行商」という「特定の商人たち」(広州外国貿易商人)に管理させたと本文で説明。結果、「公行制度」の名称は消えた。
★コミュナリズム
概念系の用語。
インドにおける宗教的な対立が、植民地期以降に「つくられた」ものであることを考える際に有用な概念である。
ただし帝国では1990年代以降のインドの情勢を追うことはできない。
ゴム
モノ系の用語。高大連携歴史教育協議会の発表した用語精選案に含まれている。
★固有の学問
山川からこの語句は消滅。「インド・イラン・ギリシアなどの文化的な伝統が融合し」てできた学問と、「イスラーム教の信仰に対する関心」が高まった結果できた学問が、それぞれ本文内で説明されているので、外来の学問/固有の学問を対照させる叙述はそのまま残っている。「融合性」を重視するために、二項対立的な用語を避けたのかもしれない。
孤立主義
山川では立項されていないだけで、p219、p291にそれぞれ記載がある。
★コルネイユ
古典主義は註に記載があり「モリエールら」とくくられ、ラシーヌ、コルネイユは落選(p193)。
コレラ
感染症の歴史に関する用語。
ゴローウニン
日本史との関連。
コロンブスの交換
グローバル・ヒストリー関連の用語。山川にはこの語句はないが、交換されたモノは本文・註に説明・列挙されている(p161)。
コンツェルン
概念系の用語。山川には「巨大企業が市場を独占的に支配する傾向が現れた」とのみ(p258)。
★西域都護
山川には「タリム盆地一帯にまで勢力をのばした」とあるが、語句は使用されない。
★西域文化(→晋唐文化)
★在華紡
日本史との関連。
債権国
概念系の用語。
財政革命
概念系の用語。帝国らしいセレクト。
「議会の承認を得て政府が発行する借用証書(国債)を発行し、これが金融市場で取引されるようになった。」
財政軍事国家
概念系の用語。帝国らしいセレクト。「財政軍事国家と国債」というコラムが建てられている。
なお、p189の註にイギリスの帝国と題して「重商主義政策は、原料の供給源や製品の市場などの獲得に役立ち、産業革命の前提となる条件を整えた。そのためこのころのイギリス本国とその植民地は、「重商主義帝国」とよばれる」とある。
★「最大多数の最大幸福」
山川は「近代社会に生きる市民に指針を与えるベンサムの功利主義」とあるのみ(p240)。山川はクリシェ的な名言、フレーズはのきなみ削除する方針。
★債務国
概念用語。
★蔡倫
山川はカット。
★ザクセン選帝侯フリードリヒ
山川はカット。
冊封
山川は漢代に「皇帝を中心に多様な地域が統合されるとする理念のもと、漢は近隣地域の首長を臣下として封建するようになった。」(p44)と本文にあり、註に「この仕組みは、のちの冊封体制の原型となった。」(p44)とある。
さらに「中国王朝も、南朝と北朝、あるいは北朝と遊牧諸民族のあいだの対抗関係のなかで優位に立つため、積極的に近隣の勢力に官位や称号を与えて、自国の影響下に取り込んだ」(p47本文)ことを通して形成された「中国王朝を中心とした理念上の秩序を、冊封体制と呼ぶこともある」(p47註)とする。
★左宗棠
山川は回教蜂起の箇所にも、洋務運動の箇所にも記載なし。
雑劇
山川は本文に記載あり(p143)。
★サティー
亡くなった夫に妻が命を捧げる寡婦殉死という風習。山川は記載なし。
なお、帝国・山川ともに、ラーム・モーハン・ローイの記載はない。ローイは近代インドの宗教・社会改革運動の指導者。ベンガル地方のバラモンの家に生まれたが、キリスト教の影響を受け、カースト制度や寡婦殉死などの悪習に反対し、インド社会の改革を目指すようになる。亡くなった夫に妻が命を捧げる寡婦殉死(サティ)という風習を廃止する運動を起こしている。
ただしこれは必ずしも一般的な風習ではなく、植民地化がすすむ中、18世紀にベンガル地方の司祭者階層のあいだで広まったようだ。イギリスの植民地当局はこれを問題視し、「ヒンドゥー教の野蛮な風習」をやめさせようとした。これに対しラーム・モーハン・ローイは、そもそもそんな決まりはヒンドゥー教の聖典にかかれていない」と主張し、サティの廃止に貢献した。ローイはサティを推進する祭祀階級のみならず、イギリス人の考え方に対しても厳しい目をもっていたのだ。伝統と近代の二項対立。これをときほぐし、実際の複雑なあり方に気づかせることのできる事例でもある。
★サティヤーグラハ
山川は記載なし。
砂糖
モノ系の用語。山川は冒頭「世界史へのまなざし」に記載あり。
さとうきび
モノ系の用語。山川は冒頭「世界史へのまなざし」に記載あり。
サブカルチャー
文化と社会の関係を重視する帝国らしい語句。
更紗
モノ系の用語。歴史総合では多くの教科書でとりあげられている。
産業資本家
産業資本主義
サンクトペテルブルク
『三国志』
山川は『三国志演義』はある(p155)。
サンスクリット文学
山川には「サンスクリット語の二大叙事詩」とある。
★3世紀の危機
「○世紀の危機」シリーズ。
山東半島
山川は立項されていないだけ。
★三美神
三部会
サンフランシスコ講和会議
山川は「サンフランシスコ平和条約」はあるが、会議名の記載はなし。
★サン=マルティン
山川は記載なし。ボリバルとルヴェルチュールの二本立てになった。
市(中国)
山川は「草市」。
★シェアクロッパー
山川は「多くは小作農として貧しい生活を送った」とのみ(p237)。
★ジェントルマン階級
ジェンナー
表には記載あり。
資源ナショナリズム
山川は註に記載あり。
★四国借款団
山川は「外国からの借款を得て」のみ(p273)。
★自国第一主義
2010年代の世界の動向。
山川は「トランプは…グローバリゼーションから距離をおく姿勢を強調した」が、これにあたるか(p356)。
『自省録』
山川は「ローマ文化一覧表」に記載あり(p82)。ローマ文化はほかには、ウェルギリウス、ホラティウス、オウィディウス、ポリビオス、リウィウス、カエサル、タキトゥス、プルタルコス、ストラボン、キケロ、セネカ、エピクテトス、マルクス=アウレリウス=アントニヌス、プリニウス、プトレマイオス、トリボニアヌス。
ローマ、ギリシアの文化事項には、精選をすすめようとする山川においても、ほとんど変化が見られない。
持続可能な開発
山川は本文に記載はあるが、SDGsしか例示されない(p360)。
持続可能な開発目標(SDGs)
山川には側註に説明があるのみ。帝国は裏表紙の裏(表3)で全目標を解説。
★自尊意識
概念用語。
「国風文化」をアジアに拡張させた「アジアの「国風文化」の時代」(10世紀以降)のなかで使用されている語句。具体的な事例の一つが「小中華思想」である。
★私拿捕船
山川には註に「(アルマダの)海戦で活躍した軍人たちは、国王から特許をえて、スペインの中南米植民地やそこから銀を運ぶ船を襲う海賊としても活動していた」とある(p186)が、私拿捕の用語はない。
七王国(ヘプターキー)
山川は本文には「アングロ=サクソン七王国(ヘプターキー)」、地図中には「アングロ=サクソン七王国」記載があるので立項されていないだけ。
自治・独立
概念用語。
自治法案
山川は「アイルランド自治法案」(p228)。
実権派
帝国は文化大革命の記載が詳細。山川は「資本主義の復活をはかる修正主義者」と記載。
★実存主義
山川には個々の哲学者とともに記載なし(p360〜の現代思想・文化の動向から消滅)。
シティ(ロンドン)
★史的唯物論(唯物史観)
山川には記載なし(p224)。
★自転車
山川には記載なし。
自動車
山川は19〜20世紀初めの自然科学・技術・探検の箇所に自動車の記載がなくなった。本文には「実用工業では、化学・電気通信・交通部門における発明や技術革新は、日常生活に直結するものが多く、人々の生活スタイルや移動方法を大きく変容させた。」とあるが、個々の事例は本文内には記載なし(p240)。1920年代アメリカにはフォード車の記載あり。
市民(ギリシア)
市民権(ローマ)
★ジム=クロウ法
山川には「州法などにより黒人の投票権を制限」との記載あり(p237)。
★ジーメンス
社会主義思想
山川には「社会主義思想の成立」という見出しがあるので、立項されていないだけ(p223)。
ジャクソニアン=デモクラシー
山川には本文で「白人男性すべてに選挙権を与える州が増え」とあり、註に詳細なジャクソンの意義が述べられている。
社隊工業
プロレタリア文化大革命の側註。
借款
山川は「アメリカ合衆国の繁栄」の箇所に記載あり。
★『シャー=ナーメ(王の書)』
★ジャハーンギール
帝国は2つもの図版の中で使用。山川はなし。
★シャム
記載なし(p297)。
シャンデルナゴル
山川は地図に記載あり。
重化学工業
山川は第二次産業革命の本文内に記載あり。
宗教協約(コンコルダート)
山川は「政教協約」という用語を用いている(コンコルダートの記載はない)。
★重金主義
山川は重商主義はあるが、重金主義は見られない。
★衆愚政治
山川では不使用。橋場弦氏がこの語の使用に批判的であるため(衆愚政は「極限状況に置かれた彼らが犯してしまった1つのエピソード」に過ぎない)。
★重商主義帝国
社会構造を重視する帝国らしい概念用語。
★従属理論
世界システム論を扱う帝国らしい語句。サミール・アミンやアンドレ・グンダー・フランクの理論。山川には記載なし。
集団安全保障
縦断政策
「縦断政策」は本文に記載があるが、「横断政策」は本文に記載なし(p266)。図版には「フランスの進出」「イギリスの進出」の矢印は示されている(p265)。
★重農主義
山川では「重農主義」を古典派経済学に包含する立場をとったため、重農主義が消えた(経済史のテキストではよくみられる)。重農主義=農業重視という通俗的な誤解を避ける意味もあるだろう。
ともなってケネーは消えたが、テュルゴは残った。
「人間の幸福を増やす手段の1つとされたのが物質的な富の増大であり、フランスのテュルゴや、…イギリスのアダム=スミスらは、…農耕を中心とした自給自足的な段階から、分業と交換が世界規模で発達した商業段階へ移行しつつあると考え、古典派経済学を創始した。」(p200)
★自由・平等・基本的人権
山川はこの用語を一括しては使わないが、近代の合理主義の価値として扱っている(p199)。だからこそ「現代思想・文化の動向」では「1970年代以降…経済成長による進歩を際限なく続けることへの疑念を引きおこすとともに、合理主義に対する全面的な再検討が始まった。まず、理性や進歩、またそれと結びついていた自由や人権といった観念は、あくまで相対的な価値をもつにすぎないとするポストモダニズムが台頭した」とし、そこに近代の終わりをみる(p361)。
14世紀の危機
「○世紀の危機」シリーズ。山川には「14世紀に入ると、西ヨーロッパの封建社会の仕組みはしだいに衰退に向かった」のみ。
重量有輪犂
山川には『フランドルの時祷書』の図版キャプションに記載あり。
★儒教批判
山川は『儒林外史』は記載なし(p175)。文学革命では「中国社会の革新と旧弊の打破を訴えた」のみ(p292)。プロレタリア文化大革命でも「党幹部や知識人を迫害した」とのみ(p337)。
★シュタイン
山川は本文に「フランス支配に抵抗するナショナリズムが生まれていたドイツ」(p216)とあり、同ページの註にシュタインとハルデンベルクらの改革が記されている(「プロイセン改革」という用語はない)。
★ジュート人
山川は「アングロサクソン人」のみ(→アングル人)。ジュートは不記載。
★ジュネーヴ4巨頭会談
山川はカット。
シュマルカルデン同盟
山川は「諸侯のうちのルター派は、修道院の解散などの反カトリック政策を領邦内でとりつつ、同盟を結んで皇帝に対抗した」(p181)と本文に記載。
主要国首脳会議(G8)
山川は註に記載(p354)。
★貞観の治
山川は記載せず。
★蒋経国
山川は記載せず。
上京竜泉府
山川は地図中に記載あり(p50)。
象徴主義
山川は「象徴主義」の記載はないが表にボードレールはある。記載されている19世紀の代表的作家は、以下の通り。
・ゲーテ
・ハイネ
・グリム兄弟
・ディケンズ
・ユゴー
・スタンダール
・バルザック
・ボードレール
・ゾラ
・ドストエフスキー
・トルストイ
・イプセン
常任理事国(国際連合)
山川も本文に記載あり。
常任理事国(国際連盟)
山川も本文に記載あり。
昭和天皇
山川は本文に特記なし。
植物園
概念系の用語。帝国主義との関係から植物園をとらえる視点が重要だ。
★植民地近代化論
概念系の用語。経済的にみると、台湾は米、砂糖、樟脳、朝鮮は米の供給地とされ、大豆粕の供給地として繁栄した満洲の大連とともに、帝国内の経済的な結びつけが強められた。とくに台湾の製糖業には日本企業が積極的に進出した。産業の振興のために鉄道や港湾、ダムなどのインフラが整備されていった。うした、植民地化された状況下における近代化(植民地近代)をどのように考えるべきか、議論が続いている。
★女性および女性市民の権利の宣言(女性宣言)
山川は記載なし。
女性選挙権
概念用語。
庶民院(下院、イングランド)
山川はp228に「下院(庶民院)」の表記あり。
シリア内戦
山川では「シリアでは内戦が発生して」と本文中で説明。立項されていないだけ。
★仁
思想系の語句。
★秦檜
山川では岳飛とともにカット。
新型コロナウイルス(COVID-19)
感染症に関する語。2010年代以降の動向。
★辰韓
山川はカット。
★『人口論』
山川はカット。
★神国思想
日本史との関連。
審査法
審査法廃止
臣従礼
人種主義
「新大陸」
神殿
概念系の用語。高大連携歴史教育協議会の発表した用語精選案に含まれている。ただし、教科書冒頭にしかページが割り当てられていない。ほんとうは、神殿のあるすべての箇所に紐づけられていたほうがよいように思う。
★晋唐文化
帝国は魏晋南北朝の文化と隋唐の文化の位置付けを、次のようにみて「晋唐文化」として一体的に扱っている。
南北の文化が融合し、「さらにソグド文化やインド系・イラン系文化などの入り混じった西域文化が流入・融合したのが、隋唐の文化である」とする(p42)。
新文化運動
山川は本文に記載あり。立項されていないだけ。
人民憲章
山川は「労働者階級は、男子普通選挙制や議員の財産資格撤廃を要求に掲げて」とあるが、それが人民憲章の一部であることについての記載なし。
森林地帯
地理、生態系に関する用語。
人類
山川は立項していないだけ。
★水上交通網
帝国の「東南アジア社会の特質」で「東南アジアでは、海や川を利用した水上交通網が発達し…」と使用。
水道橋
山川はガール水道橋の写真を掲載している。索引に立項されていないだけ。
★ストラヴィンスキー
山川は現代音楽・文学は大幅カットされている。20世紀の文学者の選定については下記を参照。
★スペインかぜ
感染症に関する語。山川に立項なし。
スペイン領ネーデルランド
帝国は「ラン”ド”」、山川は「ラン"ト"」の表記。山川は別段立項はせず。
スワヒリ文化
「スワヒリ」「スワヒリ語」のほかに「―文化」も立項。
★斉(南朝)
山川は戦国期の斉のみ立項。山川は「4つの王朝」(本文)、「南朝の4王朝」(註)とあるだけで、王朝名は、宋・梁・陳を特記せず。隋の箇所でも「南朝を滅ぼし」とぼかされている(p47)。
性悪説
山川は表のなかに記載があるのみ。
聖画像(イコン)
山川は「ビザンツ文化」の項目にイコンの図版が掲載されている(p123)。
聖画像(イコン)禁止令
山川は「聖像禁止令」の表記(p95)。
生活革命
山川は記載がなくなる(p161)。ヨーロッパの受けた生活上の変革のみを「生活革命」とするのは、さすがにヨーロッパ中心主義的だからだろう(→コロンブスの交換)。
政教分離
山川は「1905年に政教分離法を発布して」とある。
西周
立項されていないだけ。
性善説
山川は表に記載があるだけ。
製鉄技術
山川にはこの語の特記はなし。
正統
山川では立項されていないだけ。
靖難の役
本文中にがっつり記載あり。さすがにこういうのは索引に記載がないと、ユーザー(生徒)の使い勝手がわるいのでは。
聖ピエトロ大聖堂
青苗法
政府開発援助(ODA)
政府栽培制度
山川は「強制栽培制度」という用語。
生命倫理
西洋の衝撃
セイロン島
世界システム論
★世界終末時計
★世界商品
世界システム論を扱う帝国らしい用語。
★世界帝国
世界システム論を扱う帝国らしい用語。
★世界の銀行
赤十字
山川は「国際赤十字組織」の表記。
石油(産業)
モノ系の用語。
★積極的平和
2010年代以降の世界の動向。
「また、平和という概念も、戦争や内戦が起こっていないことを意味するだけでなく、貧困・抑圧・差別など社会構造に起因する構造的暴力が解決された状態を指すものへと広がってきている(積極的平和)。」(p327)
★浙江財閥
山川には記載がみあたらない。
★セリム3世
本文外。軍の近代化路線を進めた君主として記載されている。
前漢(漢)
★禅譲
山川には特記されず。
★銭大昕
山川には記載なし。
扇動政治家(デマゴーゴス)
山川にはなし。著作者の橋場弦氏が、この見方に批判的な立場をとっている(→衆愚政)。
セントヘレナ島
地図には記載あり。
1791年憲法
1793年憲法
山川にはこの語句での記載はなく、前者は「1791年にはフランス史上最初の憲法」とある。
千人隊(千戸)
山川は千戸制。
全琫準
山川は記載なし。
★宋(南朝)
山川は南朝の具体名なし。
草原地帯
地理的な用語。
宗主国
概念用語。
宋銭
山川では「宋代には商業の活性化にともない、銅銭が大量に発行され」…「銅銭は日宋貿易を介して日本にももちだされ…」とある(p141)。
★曹操
山川では三国志演義関係は粛清。
★総督(サトラップ)
★曹丕
山川では三国志演義関係は粛清。
租借
概念用語。
染付磁器
山川は元代に「染付」の写真あり。
★ソモサ家
山川は記載なし。
租調役制
山川は租調庸の表記。
「均田制や租調庸制はなかった」という議論があります。当時の史料に見える言葉ではなく、後の時代の人が記した言葉にすぎず、しかも実態を把握していないというのです。
渡辺信一郎氏によれば、身分や官品などにもとづき給田面積を規定することが「均田(均給)」の本来の意味であり、百姓に給田することのみをとりあげ、それと租庸調制を組み合わせたのは、北宋の司馬光の記述によるのだということです。
また、唐代の租税の基本は「働くこと」により支払う税(正役・兵役)が基本で、租や調による代納は基本ではありませんでした。「働くこと」というのは、租税を輸送することが主な任務で、兵站も兼ねられていました。そしてたくさん働けば、日数に応じて、 租・調が免除されるしくみになっています。
しかしこれもまた、司馬光など宋の人が「唐の頃はこうだった」と勝手に記したことで、 租・調が基本という話になってしまった。したがって、唐代の税制は租調庸制ではなく、租調役制と呼ぶべきとの了解がひろまっているようです。
しかし山川教科書では、「小家族を単位とする穀物・布の納入と労役への従事( 租・調・庸)を税制の基本とした」とし、あくまで租・調と庸(労役)を並列させて記載されているのが特徴です。
なお、「租庸調」は、司馬光の「均田租庸調の法」という表現が元ネタで、やはり当時の史料中の言葉ではありません(以上、下掲書を参照のこと)。
他社の教科書をいくつか参照すると、租税と労役・兵役の関係性の記述が微妙に異なることがわかると思います。
「…戸籍をもとに民衆に土地を支給し(均田制)、負担として租税・労役(租調役制)と兵役(府兵制)を課すという土地制度・税制・兵制が一体となった制度をしいた。」(帝国書院)
唐もまた隋の均田制を継承し、大土地所有に一定の制限を設けようとした。土地を貸与された農民は租・調と役(もしくは庸)・雑徭を負担し、軍府のある州では府兵制によって徴兵された。(東京書籍)
「さらに、これらの制度の基盤として、成人男子に均等に土地を支給(均田制)し、それに対して均等な税役(租庸調制)と兵役(府兵制)を負担させるという原則をたてた。」(実教出版)
「税・労役(租調庸)や兵役(府兵制)を課した」(第一学習社)
https://www.amazon.co.jp/dp/4004318041?tag=note0e2a-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1
ソ連解体
山川には「ソ連は消滅した」との記載はあり(p348)。
★ソロモン王
山川は旧約聖書(ヘブライ語聖書)関連の記載を極力排除。
孫権
山川は三国志演義関係者を粛清。
大義名分論
山川では「華夷・君臣・父子などの区別が強調されるようになった」との説明によって代替(p142)。
大元ウルス(元朝)
山川は本文中では「元(大元)」、地図中では「元(大元ウルス)」。
https://www.amazon.co.jp/dp/4004318041?tag=note0e2a-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1
大航海時代
山川は「ヨーロッパの海洋進出」という項目名に変更し、「大航海時代」は註に退いた。いちおう記載はのこされているが、これを含む第9章は「大交易・大交流の時代」に組み込まれ、従来のようにルネサンス・大航海時代・宗教改革のパッケージはこれによって崩れることとなった。グローバルな近世の同時性を重視する構成である。
大航海時代という用語は、『大航海時代叢書』シリーズを編んだ増田義郎によってつくられた用語であって、西洋における「発見の時代」という用語に対するカウンターの意味があった。
しかし「大」航海という名称自体に、まだまだ西洋中心主義的なスタンスがのこされているとの観点や、ヨーロッパ勢力は海域アジアの従来のルートに乗っかったにすぎないとの見方から、教科書によって「大交易時代」を導入するところも増えていた。山川もこの流れをとったものだ。
★大衆運動
概念用語。
隊商(キャラバン)
山川にも記載あり。
大秦
山川にも記載あり。
大西洋三角貿易
山川にも記載あり。
大西洋奴隷貿易
山川にも記載あり。
★大セルビア主義
山川には記載なし。
★大仙(大山)古墳
日本史との関連。
タイソン(西山)反乱
山川は「西山の乱」の表記(p251)。
★ダイムラー
山川ではディーゼルは残ったが、ダイムラーは消えた。
大陸部
地理的な用語。
★ダヴィデ王
山川は旧約聖書(ヘブライ語聖書)関連の記載を極力排除。
『ダヴィデ像』
山川にも図版あり。立項されていないだけ。
★タタ商会
2か所(特集「結びつく世界」19世紀後半~20世紀初頭:世界大戦前夜の世界システム」と民族資本の側註)で使用。
1868年にボンベイでゾロアスター教徒によって設立され、当初は原綿を積出す事業をおこなっていた。しかし1870年代になると綿紡績工場を経営するようになり、原綿のみならず綿糸を中国をはじめとするアジア各地に輸出して利益をあげるようになる。
他方、日本でも日清戦争後(1895〜1897年)、第2次企業勃興期(第1次は1885〜89年)にあたり、紡績・鉄道・銀行企業が多数設立されていた。
しかし、蒸気船による航路は、当時はイギリスの船会社が独占し、輸送量がコストを圧迫していた。
そこで日本の渋沢栄一は、インドのタタとかけあって、共同でボンベイ〜神戸路線を就航させることに成功した。そして価格競争の末に、イギリスの船会社に対して優位に立つことに成功したのである。
タタ商会はインド独立後に製鉄や電気事業にも進出し、現在は自動車やIT産業にも携わり、タタ・グループを形成している。
多文化主義
山川は「文化多元主義」(p362)。
★ダホメー王国
山川には特記されず。
達磨(ダルマ)
アショーカ王の理念「ダルマ」は索引にはないが、側註には記載あり。
逆に山川ではアショーカ王の理念「ダルマ」は立項されているが、達磨はない。
★団結(結社)禁止法
★団結(結社)禁止法廃止
山川には記載なし。
タンジール
山川には地図に記載あり。
★耽美主義
山川には記載なし(→象徴主義)。
★団練
山川には記載なし。
小さな政府
山川には本文中に記載あり(p341)。
チェロキー
山川には図版とともに記載あり(p235)。
茶
モノ系の用語。
★チャップリン
大衆文化関連。『モダンタイムス』も索引に立項されている。
★チャモロ人
帝国はオセアニア史関連が充実している。
★チャンドラ=ボース
日本史との関連。
★中印国境紛争
山川には記載されていない。
中華
山川には立項なし。
中華文明
山川には立項なし。「東アジア文化圏」はある(p47)。
中華民国憲法
中間航路
★チューリップ
モノ系の用語。帝国ではチューリップ時代をとおして、ヨーロッパとオスマン帝国のつながりを考えるコラムがある(p228)。
★チョイバルサン
山川は「1911年に外モンゴルが独立を宣言し」とあるのみ(p274)。
朝鮮出兵
山川は本文に説明があるがこの用語はない。
朝鮮通信使
山川には本文に「対馬を通じての朝鮮の関係」とあり、図版に朝鮮通信使行列絵巻がある。
長老派(プレスビテリアン)
山川はカルヴァン派が「イギリス」に伝わったとのみ記載(p182)。
直轄領
概念用語(とりわけ清代に関する語句)。
★陳(南朝)
山川は南朝の王朝名の記載なし。
賃金労働者
概念用語。
★陳勝・呉広の乱
ディアスポラ
ディケンズ
山川には表に記載あり(→モーパッサン)。
帝国
概念系の語。
鄭氏
本文中には「鄭氏の財源を断ち、83年には降伏させて、台湾を領土に組みこんだ」とあるので、立項されていないだけ。鄭成功は立項されている。
ディズニー
大衆文化関連の語。山川は記載なし。
ティルジット条約
山川は地図に地名の記載あり。
ディーワーニー
山川は記載なし。
★デヴシルメ
山川は本文に「帝国は支配地域のキリスト教徒から人材を登用し「スルタンの奴隷」として厚遇した」とあるが、この用語はない(p162)。
★適者生存
山川に明示はない。
鉄鋼業
概念用語。
★鉄と穀物の同盟
山川にはこの語句も、ビスマルクのとった保護関税法の記載・説明もない(→保護関税法)。
電機工業
山川に記載あり。立項されていないだけ。
天京
地図に記載あり。本部には「南京を占領して首都とした」のみ(p254)。
電磁誘導の法則
山川は一覧表に「ファラデー(英):電気化学・電磁気学」とある。
天津
山川も本文・地図に記載あり。
電信
メディア、技術に関する用語。
★天台宗
★天然痘
★「ドイツ国民に告ぐ」
山川には、プロイセン改革などナポレオン占領下のプロイセンに関する記載は註にシュタインとハルデンベルクがあるが、フィヒテがみあたらない(→シュタイン)。
ドイツ再統一
山川は本文に記載あり。
★ドイツ社会主義労働者党
山川は「マルクス主義的社会主義運動(のちの社会民主党)」(p232)とし、註に「ドイツの社会主義運動は2つの党派が併存していたが1875年に合同した。その後マルクス主義を受け入れて、弾圧に屈せず勢力を増大し、1890年に党名をドイツ社会民主党とした」とあるように、「ドイツ社会主義労働者党」の名称は避けられている。
ドイツ十一月革命
ドイツ領南洋諸島
問屋(といや)制
東京オリンピック(1964)
日本史との関連。
洞窟絵画
唐詩
陶磁器
モノ系の語。
陶潜(陶淵明)
唐宋変革
同盟市戦争
山川本文では「イタリア半島の同盟市がローマ市民権を求めて反乱をおこし」という説明は残されている。
トゥルゲーネフ
土器
時は金なり
コラム「工業化でかわる社会」よりフランクリンの言葉。
★独占資本主義
概念用語。語句としては山川にはない。
★独立協会
朝鮮の開化派のつくった団体で1896〜98年まで、立憲君主制導入を目指して、大韓帝国と改称して中国との対等関係を目指そうとしていた政府を批判した。
★独立労働党
イギリスではフェビアン協会と社会民主連盟、さらに労働組合があわさって労働代表委員会が結成されるのだが、山川では「フェビアン協会や労働組合が…」と本文にあり、独立労働党はない。
都市(中世ヨーロッパ)
都市国家
概念用語。
★都城制
山川には記載なし。
中国を中心とするユーラシア東部に特徴的な政権所在地の計画都市プランを指すものだ。
少し解説しておくと、都城制は「碁盤の目」状の都城プランを特徴とし、遊牧民の世界と農耕民の世界、さらにはオアシス民の世界の交わる地点にもうけられた。
★トスカーナ方言
山川にはダンテの『神曲』についての解説はない。
土地改革(中国)
山川の本文に記載あり(p317)。
土地調査事業
★突撃隊
「秘密警察(ゲシュタポ)や親衛隊(SS)」のみで、突撃隊は消滅。
特権身分
山川は立項していないだけ。フランス革命のところの本文に記載あり。
★ドミノ理論
★トラスト
概念系の用語。山川には「巨大企業が市場を独占的に支配する傾向が現れた」とのみ(p258)。
★トルコ-イギリス通商条約
山川には「各国はカピチュレーションを拡大した通商条約を結んで権益を拡大し」とあり、註に「1838年のイギリスとの条約が最初のもの」とある。これが帝国の「トルコ-イギリス通商条約」である。
この条約と同じものが間もなく中国に適用されることになる点にも言及があり、「強制された自由貿易」の文脈から書かれたものであることがわかる(が明示はされていない)。
★トルコ化
山川は、10世輝のカラハン朝建国以後、「こうして中央アジアにはトルコ語を話す人々が数を増し」と記載があるが「トルコ化」の用語はない(p107)。「西アジアへのトルコ人の進出」(p111)の箇所も同様。
★ドル=ブロック
山川は記載なし。
奴隷制プランテーション
山川は本文内に説明あり。
奴隷貿易
山川は本文内に説明あり。
奴隷貿易廃止
★ドレーク
山川は記載なし(→私拿捕船)。
★ナイジェリア内戦
山川には「部族相互の対立による内線やクーデタ」の事例は、コンゴ動乱や1990年代以降の事例を除いてまったく例示されない(p330)。
★ナイティンゲール
山川には見当たらない。
★ナイマン部
山川では「中央アジア・イラン方面の侵攻国家ホラズム=シャー朝を倒した」(p144)とあり、ナイマン部についての言及はない(中央アジアにナイマン部が含まれるとも読める?)。
★ナチズム
山川に言及はない。
★ナポレオン戦争
山川にこの語句はない。「ナポレオンの(ヨーロッパ)支配」とある。
涙の旅路
山川には図版に記載あり。
南海郡
山川には始皇帝が「南方では華南に進出した」(p41)とあるのみ。
南下政策
山川にはたとえばp263本文に記載あり。
★南沙群島(スプラトリ諸島)
2010年代以降の動向。
★南巡講話
★南進論
★南部10州
西インド諸島
山川はコロンブスの箇所では「カリブ海の島」と表記。
西ウイグル王国
帝国では地図のみに記載されており、本文にはなし。中央ユーラシア型国家の例。阪大の森保孝夫氏の研究の成果によるところが大きい。
山川にはない。
★二重基準(ダブルスタンダード)
概念用語。註に「たとえば欧米がイスラエルとアラブ諸国では全く異なる基準を当てはめること」との例示がある。
歴史的事象についても、この用語を観点として用いるとおもしろいかもしれない。
★二聖モスクの守護者
山川にはこの語句はないが、本文に「それまでマムルーク朝が保持していたイスラーム教の両聖都メッカとメディナの保護権も獲得した」とある(p163)。
二大政党制
概念用語。
日独防共協定
山川は本文に「日本とドイツは防共協定」を結びと入れ込まれている(p307)。
★日華平和条約
★日清修好条規
日宋貿易
日本史との関連。山川は日宋貿易の記載は註にあり(p141)。その拠点である博多をおさえた平氏が精力を伸ばした点が記されている。
ただし、12世紀に留学僧(るがくそう)が増加した点については記載あり。
なお、日元貿易は太字ゴシックで記載があり、大量の銅銭が日本に輸出されたことが交鈔の発行と関連づけられて記されている。
日ソ国交回復
日本史との関連。
日中共同声明
日本史との関連。山川には「田中角栄首相が北京を訪問して国交を正常化し」とあり、日中平和友好条約のみ記載がある。年表でも「72 沖縄復帰/日中国交正常化」とされている。
★ニヒリズム
日本人移民
日本史との関連。
ニューイングランド
ニューファンドランド
ニュルンベルク国際軍事裁判所
人間の安全保障
★「人間は万物の尺度である」
★年季契約労働
世界システム、ネットワークを重視する帝国らしい語句。
★農家
山川ではマイナーな諸子百家はのきなみ削除されている。
農村共同体(中世ヨーロッパ)
農地改革(韓国・台湾)
農民保有地
★ノビレス
★ノーフォーク農法
★ハイデガー
20世紀の思想家の多くは削除されている。
★バイデン
2010年代以降の世界の動向。
★ハイドン
山川には17・18世紀の音楽家はバッハを除いて見当たらない。
★バイロン
19世紀の文学者の多くは精選(→モーパッサン)。
博多(→日宋貿易)
★馬韓
山川には記載なし。
★白軍(反革命軍)
山川は「旧ロシア軍の軍人」と表記しておりこの語はない(p283)。
★パクス=アメリカーナ
★博物学
山川本部に「世界各地の実情に関して多くの情報を得た」という説明はある(p241)。
ハーグ密使事件
山川は本文中で説明されている(p272)。
覇権(ヘゲモニー)国家
近代世界システム論関連。
★ハーシム家
クライシュ族とのみ表記(p86)。
★バシリカ様式
8か国連合軍
★客家
山川では特記はされず。
パナマ地峡
★ハノーファー選帝侯
山川は「血縁関係にもとづいてドイツから新王を迎えて」とある(p192)。
バーブ教徒の乱
山川では「バーブ教徒の乱」はないが、「バーブ教」は立項されている。
本文に「19世紀半ばには、社会不安や経済的な苦境を背景に、農民や承認、職人などからなるバーブ教徒がガージャール朝の専制に対して各地で蜂起したが、政府軍によって鎮圧された」とあり、側註には「社会的弱者の保護や両性の平等のほか、租税や私有財産の廃止もとなえた」と充実している。
★バブーフ
★バブル経済
★『ハムレット』
バルト海貿易
ハーン
反英闘争
ハンガリー革命
山川は本文で「1919年に革命によって社会主義体制が成立したものの」とある(p289)。
ハンガリー反ソ暴動
★反グローバル化
★万国博覧会(大阪)
★万国博覧会(上海)
万国博覧会(パリ)
万国博覧会(ロンドン)
反穀物法同盟
半周辺国家
近代世界システム論関連。
反米左派政権
バンヤン
反ユダヤ主義
反連邦主義
非営利団体(NPO)
山川にはNGOはあるが、NPOはない。
★東アジアの奇跡
帝国では「東アジアの奇跡」だけで1ページ使っている。
ビキニ環礁
山川には立項されていないだけで、「ビキニ環礁での水爆実験」はある。
非攻
非公式帝国
山川ではラテンアメリカ諸国の従属と発展(第15章)で、「南米ではイギリスの経済的影響が大きかった」とあるが、公式/非公式という表現は見当たらない。
ピット
非同盟主義
山川は「非同盟運動」。
ヒトラーユーゲント
2箇所とも本文外のコラムで使用。
1928年にムッソリーニがローマ市民名義で寄贈した記念柱を、1938年に文化交流目的で来日したヒトラーユーゲントが訪れた逸話を紹介している。なお、この記念柱は会津若松市内の白虎隊墓地にいまでも残るが、戦後にファスケス部分が撤去されている。
一人っ子政策
非暴力・不服従
秘密外交
百日天下
ヒューマンライツウォッチ
ピューリタン文学
閔氏(閔妃)
武韋の禍
フィヒテ
フイヤン派
フィラデルフィア
フィリピン
フィンランド
封じ込め政策
フェアトレード
賦役黄冊
フェルビースト
フェルメール
福沢諭吉
日本史関連
福島第一原発事故
山川には「東京電力福島第一原子力発電所の事故」の図版・キャプションがあるが、索引には立項されていない。
武昌蜂起
山川では本文に「武将で新軍のなかの革命派が蜂起して辛亥革命が勃発し」とあるので、内容としては存在する。
★ブーシェ
ロココ様式はサンスーシ様式以外は削除。
★プーシキン
山川は19世紀の文学者はのきなみカット。ロシア枠はドストエフスキーとトルストイの2人だけとなった。
★部族
概念用語。
★フッサール
山川は近現代の哲学者も軒並みカット。
腐敗選挙区
山川は立項されていないだけ。
プファルツ継承戦争
ファルツ継承戦争。山川には旧版には註にルイ14世時代の侵略戦争が列挙されていたが、新版には見当たらない。
★ブライト
山川は穀物法・穀物法廃止については本文・註に説明があるが、コブデンとブライトは削除。
★フランクリン
山川には記載なし。
★フランス革命戦争
帝国では「フランス革命」とは別立てされている。
★フリードリヒ2世(神聖ローマ皇帝)
山川はプロイセン王のみ。山川本文には「シュタウフェン朝」についての記載はある。
★フリードリヒ=ヴィルヘルム1世
兵隊王。伝統的な領主層であるユンカーを官僚や将校とする絶対王政をつくりあげ、軍事力の強化に努めた君主(位1740〜86)。
彼の代わりに山川にはフリードリヒ=ヴィルヘルム(大選帝侯)が絶対王政化に乗り出した人物として掲載されている(p196)。
★プルースト
山川はカット。
★フロベール
山川はカット。
プロレタリアート
概念用語。山川は「賃金労働者」とあるだけ。
プロンビエールの密約
山川は「王国はナポレオン3と支援の密約(1858)を結び」と本文に記載(p229)。
文永・弘安の役
山川は本文に「日本…に送った遠征軍」とあるだけ(p146)。
文化
概念系の語。
文明
概念系の語。
文明化の使命
概念系の語。
山川は19世紀の文化のところに「1880年代以降になると、欧米諸国は世界各地の実状に関して多くの情報を得たが、それは各地の理解を深めただけでなく、欧米のみが近代化に成功し、先進的地位を占めたとの自負を強めることになった」(p241)とある。
また帝国主義のところに、キプリング「白人の責務」の引用と風刺画(白人の責務をあらわしたもの)があるが、「文明化の使命」の語は明治されていない(資料から読み取る形になっている)。
文禄・慶長の役
山川本文に「豊臣秀吉はさらに領土の拡大をめざして朝鮮に侵攻した」との記載あり(p156)。この語句は不使用。
★米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)
NAFTAの後継。2010年代以降の動向。
★米中新冷戦
2010年代以降の動向。
平民(プレブス)
平和十原則
山川は本文に「十原則が採択された」とある(p329)。
ベネルクス3国
ベルリン-ローマ枢軸
山川は本文で「ドイツとイタリアがフランコ側に軍事支援をおこなった」とあるのみ(p307)。註には「国際連盟から経済制裁を受けたことをきっかけに、イタリアはドイツに接近した。」(p306)とある。
ヘンデル
山川は17・18世紀の文化をなくして、「科学革命と啓蒙思想」に代替。それ以外の絵画・建築・文学は、それぞれ関連する箇所にふりわける方式をとった。それはそれで文脈のなかで文化史を学ぶことができてよいのだが、探すのが大変だ。ヘンデルがあるかもしれないと探しても、索引には記載がないし、実際にはない。モーツァルトやベートーベンもみあたらない。
音楽家としてはバッハが、フリードリヒ2世に招かれたとして本文内で説明されている(啓蒙専制主義の箇所、p198)。
ホイットニー
封建制(ヨーロッパ)
山川は封建社会のみ
封建地代の無償廃止
山川は側註に「領主裁判権や賦役、教会による十分の一税が無償廃止された。地代(小作料)は有償で廃止とされたが、この条項ものちに改められ、農民の多くが無償で土地を手に入れた」とある。「ジャコバン派が封建的特権を無償廃止した」という誤った記載ではないことに注意(いまだに入試問題に用いられる受験的知識として残っているが)。
紡績業
概念用語。
★法治主義
諸子百家の表「法家」に「法による厳格な統治(法治主義)を実践した。」とある。
★放伐
山川の易姓革命に関する註のなかにこの語句はない。
法幣
山川本文には「中国の国民政府は、1928〜30年にかけて関税自主権の回復を達成して財源を確保するとともに、中国統一を進め」との記載のみ。註に「国民政府は銀にかえて四代銀行が発券する銀行券を法定通貨(法幣)と定め、貨幣の統一を推し進めた」とあり「法幣」の記述はある。
北緯17度線
北緯38度線
北元
山川は本文に「明朝の北方では中国本土から退いたモンゴルが勢力を保っていた」(p150)。地図の記載も「モンゴル」。
北斉
山川は註に五代すべての王朝の記載あり。
北部7州
山川は「ネーデルラント各州」「北部のオランダ」との記載のみ(p186)。
★保護関税法
帝国はビスマルクが1879年に制定した「保護関税法」を本文内に明示している(「鉄と穀物の同盟」)。山川には記載なし。
保護国
帝国はこうした概念用語に逐一説明を与えている。
保護主義
概念用語。
保護領
帝国はこうした概念用語に逐一説明を与えている。
★ボシュエ
ポタラ宮
山川は図版を清代に掲載している(p.170)。
北海・バルト海交易圏
山川は「北ヨーロッパ商業圏」と呼ぶ。
ポツダム会談
山川は「ポツダムで会談し」と本文中に吸収し、用語化していない。
北方領土
山川はサンフランシスコ平和条約の註に、日露和親条約以降の経緯について記載あり(→択捉島)。
★北方ルネサンス
山川は記載なし。
ボードレール
山川は表に記載があるのに、索引には載せていない(→象徴主義)。
ボヘミア反乱
山川は「ベーメン(ボヘミア)におけるプロテスタント貴族の反乱」と本文に記載あり。
★ホルティ
山川は本文に「権威主義体制」と記載があるが、ホルティは明示されず(p289)。
★ホルバイン
山川は記載がないが、エラスムスの肖像は図版あり(説明なし)(p178-179)。
ホルムズ
香港返還
山川では「香港が…変換され」と本文にある(p349)。
★マオリ戦争
帝国はオセアニア史が充実。
マクドナルド
山川は立項がないだけ。
マクドナルド挙国一致内閣
山川は立項がないだけ。
★『枕草子』
山川は記載なし。
マゼラン海峡
★マネ
山川は、印象派はモネ、ルノワールの2人のみ。
★マハティール
山川は記載なし。
★マフムト2世
帝国の本文外に記載あり。イェニチェリを1826年に廃止し、セリム3世による軍の近代化路線を継承して西洋式の常備軍「ムハンマド常勝軍」を建軍した君主として記載されている。
★マララ=ユスフザイ
2010年代以降の動向。
満漢併用制
山川では本文に「中央官制の要職の定員は満・漢同数とし」とある(p173)。
★マンスール
★三木武夫
日本史との関連。
★南オセチア
2010年代以降の動向。
★ミナレット(尖塔)
山川ではハギア=ソフィア聖堂のキャプションに、「聖堂の左右に立つ塔(礼拝への呼びかけに用いられれる塔)」のように「塔」とする記述がみられる。
ミハイル=ロマノフ
山川では「ロマノフ朝が成立し、新国王が選出されて」とあるのみ(p196)。
★ミュンヘン一揆
記載がみあたらない。
民主政(ギリシア)
民族差別
概念用語。
民族資本
概念用語。
民族文化
概念用語。近代の東南アジアで、「近代文明の流入が、西洋崇拝とは反対の効果を発揮」し、「古典文化など伝統的な価値を再発見する知識人が出現」した現象についての記載がある。「伝統の創造」(この立項はない)の文脈である。
註には「新しい民族文化」として「マスコミやショービジネスの発展、先進国での東洋趣味や海外旅行ブームに刺激されて18〜19世紀の文化が洗練させられ、また新しい芸術・料理・ファッションなどが創作され流行した。そのなかで定着したものが、現在では民族文化とみなされている」とある。
無為自然
山川は本文内には記載がある。
無条件降伏(ドイツ)
無条件降伏(イタリア)と無条件降伏(日本)は立項されていない。
ムハンマド=アリー朝
山川は註に記載あり。
★ムハンマド=ブン=アブドゥル=ワッハーブ
山川では本文に「ワッハーブ派」のみ記載。
★ムラヴィヨフ
山川ではカット。
★村上春樹
文化と社会の関係を重視する帝国ならではの語。大衆文化関連。
★『ムーラン=ド=ラ=ギャレット』
文化と社会の関係を重視する帝国ならではの語。大衆文化関連の語。
室町幕府
日本史との関連。山川には記載あり(p152)。
★メアリー=シェリー
フランケンシュタインの作者。
★名家
山川ではマイナーな諸子百家はカット。
★メイフラワー号
山川では建国神話である「ピルグリム・ファーザーズ」とともにカット。山川では神話的な要素はのきなみカットされているが、現実の世界では、歴史は「神話」化されて記憶されていることがしばしばだ。何が神話で、何が事実なのか、そのこと自体が共有されにくくなっている状況にあるなかで、ひとまず世界には、どのような国民的「神話」があるのか、言説として知っておくことも大切ではないか。「神話」化されたのだから排除するのではなく、「神話」として受容されていることそのものを問うには、たんに事実ではないからといって隠すのはうまくないと思う。その「神話」の影響力が大きければ大きいほど、である。
メキシコ出兵
山川は本文に「メキシコ遠征に失敗した」とある。
綿織物
モノ系の語句。
綿花
モノ系の語句。
沐浴
山川でも本文中に記載あり。
文字改革
山川でも、ケマル=アタテュルクの写真と本文に記載あり(p298)。
★モダンタイムス
大衆文化をとりあげる帝国らしい用語。コラム「文化から見る当時の社会」のなかに、20世紀前半の科学と文化を配置。このなかにチャップリンは映画枠でディズニーとともにとりあげられている。
史料として「チャップリンとガンディーの対話」がとりあげられているのも興味深い(p289)。
★モーパッサン
山川は19世紀の文学者を以下の通り精選した。
ゲーテ、ハイネ、グリム兄弟、ディケンズ、ヴィクトル=ユゴー、スタンダール、バルザック、ボードレール、ゾラ、ドストエフスキー、トルストイ、イプセン。
つまりモーパッサンは落選。
アダム=スミスはスミス、トマス=マンはマンとするのに、ユゴーはなぜヴィクトル=ユゴーなのだろう?(私は一律の省略には反対の立場である)。
★森有礼
帝国では資料中に登場。
モンケ
山川には系図に記載あり。
モンスーン交易
モンテネグロ
門閥貴族
山川では単に「貴族」(p45)。
モンロー
立項されていないだけ。
モンロー主義
立項されていないだけ。
★ヤークーブ=ベグ
山川には記載なし。2024年度京都大学で出題された。
★山田長政
山川に記載なし(p156)。
ユーゴスラヴィア連邦
山川は「ユーゴスラヴィア」表記。
★輸入代替工業化
概念用語。用語としては山川にはない。
★楊貴妃
山川からは消滅。
傭兵
概念用語。
預言者
概念用語。山川に立項されていないだけ。
横浜
山川では立項されていないだけ。
ヨルダン王国
山川では、地図には「トランスヨルダン」時代までしか記載なし。
★ヨーロッパの没落
★四大奇書
★ライスワイク条約
ラインラントの非武装化
山川は本文に記載あり(p284)。
★ラクスマン
山川では「日本にも使節を送った」とあるだけ(p196)。
★ラシーヌ
古典主義は註に記載があり「モリエールら」とくくられ、ラシーヌ、コルネイユは落選(p193)。
★ラシュタット条約
★ラ=マルセイエーズ
リヴァプール
山川は地図には記載あり。
六朝
註に記載あり(p45)。
六朝文化
山川は「魏晋南北朝の文化」。
陸の道
山川は「オアシスの道」(p39-40)。
リダー
帝国にはリダーを、アフガーニーやアブドゥフの主張を国外にも広めた人物と紹介。サラフィズムとの関連づけはしていない。
「イスラーム原理主義者」「イスラーム過激派」とくくられる思想を、イスラーム世界の経験した近代の実相を通して歴史的にあとづける上では、けっこう重要な人物ではある。
立憲君主政(制)
概念用語。
立体派
山川には本文に記載あり(p361)。立項されていないだけ。
リトアニア-ポーランド王国
山川には本文に記載あり(p125)。立項されていないだけ。
リビア革命
2010年代以降の動向。山川では「民主化運動がエジプトやリビアに波及し、各国で独裁政権が倒れた(「アラブの春」)」と固有名詞を極力なくして説明(p355)。
★劉備
山川では三国志演義関係者は粛清。
★林邑
山川には「チャンパー」としか記載なし。
累積債務
山川はラテンアメリカにおける累積債務の増大は、山川本文に記載あり(p342)。アフリカに関する記載はなし。
ルーマニアの政変
山川には「チャウシェスクの独裁体制が続いてきたルーマニアでも、反体制運動が勝利をおさめた」とある(p346)。
★ルーム=セルジューク朝
山川は記載なし。
★ルール工業地帯
レオポルド2世
★歴史学派経済学
山川にはリストは記載があるが、この語句はない。
★歴史時代
山川にはこの語句はなく、文字を発明して歴史を記録にのこすようになるまでを「先史時代」と呼ぶことの説明はある。
なお、その直前には「歴史は、人間の活動だけによってつくられるものではないのである」とあり、読み方によっては混乱する生徒もいるかもしれない(ようするにビッグヒストリー的な書き方を採用しているわけだが)(p4)。
★歴史的シリア
山川にはこの種の説明はない。
★歴史法学
山川にはサヴィニーも含め記載はない。
レキシントン-コンコードの戦い
山川は地図には記載がある。
レギスタン広場
山川には記載はなく、ティムール廟の写真はある。
★暦法
概念用語。
★レーテ
★レニングラード
山川には記載なし。
★レバノン杉
山川には記載なし。帝国では「SDGsを考える歴史」コラムに記載。山川にはこういうテーマ史的なコーナーを記したコラムがないので、こういう語句は盛り込まれにくい。
★錬金術
★連合国共同宣言
連衡策
山川は欄外の表に「張儀(連衡)」とある。
★六月暴動
山川は「パリの労働者はこれに反発して蜂起したが、制圧された」とあるのみ。
★ロコモーション号
★ロシア共産党
★ロシア連邦
山川ではどの箇所でも「ロシア」と表記されている。
★ロスチャイルド
山川には記載なし。帝国は資本家・実業家の動向にも注目する。
★ロックフェラー
山川には記載なし。
倭
山川には金印に関する註に「倭人(日本人)」とある(p44)。
ワシントン海軍軍縮条約
山川は本文に「海軍軍備制限条約」。
★ワスプ(WASP)
山川には「伝統的な白人社会の価値観も強調され」とあるのみ。
★ワトー
山川はロココ様式は「サンスーシ宮殿」以外はカット(→エル=グレコ)。もちろんフラゴナール、ブーシェもカット。
なおロココはシノワズリ(中国趣味)の影響をもろに受けており、こちらは歴史総合で扱う話題である。
★倭の五王
山川は記載なし。ヤマト政権に言及あり(p47)。
★ワフド党
山川は「戦後に全国的な反英国独立運動がおこり(1919年革命)」とあるが、政党名はない。
★「われ思う、ゆえにわれあり」
山川では本文に「全能の神から生まれつき与えられた人間の理性が明晰に正しいと認めるものであれば、すべて真実とみなしてよいとした。」とあり、「われ思う、ゆえにわれあり」の記載はない。
このように、これまで”教養”的に扱うことになっていた知識を、山川はクリシェに過ぎないとして、容赦なくカットする。
★湾岸協力会議(GCC)
山川には記載なし。
なかなか込み入った作業ですので、遺漏はあると思います。ご指摘がありましたら訂正し、以下に追記します。
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