見出し画像

人やチームの成長はじっくりと見守っていきたい。ラグビー日本代表が強豪イングランドに完敗。8選手が代表初出場。この試合が今後の躍進の礎となるはずだ

人や選手の成長はじっくりと見守っていきたい。結果ばかりを焦って求めずに。ラグビー日本代表が強豪のイングランド代表と対戦した。エディー・ジョーンズさんが2度目の日本代表監督となって初めての試合。代表初出場となる8選手をピッチに送り込んだ。試合には大敗したが、初出場の選手はきらりと光るプレーを見せた。この試合が躍進の礎になるはずだ。

22日に国立競技場で行われたリポビタンDチャレンジカップ。4万4029人の大観衆が熱戦を見守った。

日本はこれまでイングランドに11戦して未勝利。昨年行われたワールドカップ(W杯)でも苦杯を喫した。今回のゲームで、日本の歴史的な勝利を見たいと期待する人が多かったはずだ。

エディー監督が掲げる方針は「超速ラグビー」。プレーでの速さだけでなく、判断力での速さが求められる。これを強豪相手にいかに見せるか。

キックオフ後、日本はこの方針で勢いを見せた。相手が反則を犯した後に、すぐさまプレーを再開し、相手陣へ突き進んでいく。

前半17分には相手の反則を奪うと、エディー監督から「GO!GO!」と叫び声が響いた。相手の守備陣形が整わないうちに攻め込めという意志が伝わる。

この戦法は日本ラグビーの強化の理にかなっている。1996年度から東芝府中(現・東芝ブレイブルーパス東京)が日本選手権で3連覇した。

この時の合言葉は「PからGO」だった。審判が相手の反則で「ピー」と笛を吹いたら、すぐさま「GO」と戦いを再開して勢いをつかむ。このスタイルを貫いて、東芝は一時代を築いたのだ。

この戦いを貫くには、あらゆる場面で優位に立たなければいけない。特にラグビーで重要なプレーとなるスクラムで相手に互角以上の戦いをすることが重要だ。

この試合、スクラムの最前列となる第一列の選手3人は、キャップ(出場)総数がわずかに3だった。相手のイングランドは3人の合計が207。圧倒的に経験値で日本は劣っていた。

しかし、この日、スクラムで互角の戦いを繰り広げて、大きな収穫となった。第一列の左プロップ茂原隆由選手(静岡ブルーレヴズ)、フッカーの原田衛選手(東芝ブレーブルーパス東京)は代表初出場だった。先発で迎えた代表デビュー戦で活躍した。

日本は前半20分までは、勢いに乗った「超速ラグビー」を披露したが、その後は失速。相手に計8トライを奪われて、17-52と大敗した。

それでもエディー監督の掲げる方針を信じたい。彼にはチームを飛躍的に成長させた実績がある。

日本代表を初めてW杯で指揮した2015年大会で、日本は優勝候補の南アフリカを破る大金星を挙げるなど3勝を挙げた。この健闘が、後の日本代表に自信を植え付けた。

またエディーさんは弱体化していたイングランド代表の指揮官となった際には、チームを立て直して、2019年に日本で行われたW杯で準優勝へと導いた。

エディーさんは、いずれの代表強化にも、逸材を抜擢し、猛練習を課して結果を残した。この試合で初出場した選手は8人もいる。新戦力がこれから先、代表の中心として成長していけば、日本の躍進につながるはずだ。

人やチームの成長はじっくりと見守っていきたい。指揮官の方向性は正しい。目先の勝利にこだわらない。大目標はオーストラリアで3年後に行われるW杯。今回の試合は未来の躍進へ向けた礎になるはずだ。チームの成長に温かいエールを送りたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?