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変革を起こすには、常識を破ることが必要。パリ五輪マラソン代表に大迫選手が内定。「積極的な待ち」の選択で最後の3枠目をつかむ

変革を起こすには、常識を破ることが必要なのかも。陸上競技の大迫傑選手(32)のことだ。今夏に行われるパリ五輪マラソンの最後の枠に内定した。前回の東京五輪に続く2度目の代表となる。大迫選手は4年前の選考とは異なる選択をした。いわば「積極的な待ち」といえるだろう。「同じルート」を歩まない。それが進化につながると信じているはずだ。

昨年10月のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)で大迫選手は3位だった。2位までに入れば、パリの出場権をつかむ。3位は代表入りの可能性はあるものの、確定はしない。

その後に行われる「ファイナルチャレンジ」と称される3つのマラソン大会で2時間5分50秒の設定記録を破る選手が出た場合、そのランナーが代表入りとなるからだ。

昨年12月の福岡国際マラソン、今年2月の大阪マラソン、そして3月の東京マラソンだ。そして大迫選手は、いずれの大会にも出場することはなかった。結果的に、3つの大会で設定タイムをクリアする選手が出なかったため、大迫選手の内定が決まった形だ。

前回の東京五輪をめぐっては、大迫選手は4年前のMGCで今回同様に3位だった。そして東京マラソンに出場し、2時間5分29秒の日本記録を更新する好タイムで五輪出場権を手にした。

今回も五輪切符のために、東京マラソンへ出場するだろう。周囲の期待をよそに、大迫選手は1月に東京マラソンに出場しない方針を発表した。そして、驚くことに4月に行われる米国のボストンマラソンへの挑戦を表明したのだ。

ファイナルチャレンジに出場せず、五輪選考に直結しないボストンマラソンに臨む。驚きの選択だ。

しかし大迫選手のこれまでの陸上人生を振り返ると、当然の選択のようにも思える。敷かれたレールの上を走りはしないのだ。

大学卒業後、2014年に日清食品グループと所属契約。ここでナイキ・オレゴン・プロジェクトにも入り、日本を離れて活動した。翌年には日清との契約を解消して、ナイキ一本とした。

日本のチームに所属するのが常識とされる中で、大迫選手は自らに変革を起こすために、通常のルートを飛び出た。

今回のマラソン代表をめぐる選考でも、MGCから東京マラソンに出場するのでは、同じ歩みとなる。それでは変革を起こせない。

3つのファイナルチャレンジに出場しないことは、ほかの選手の結果待ちとなるが、むしろ代表選考の規定通りに進まずに4月のボストンを走る方針は、「積極的な待ち」ともいえるのだ。

前回の東京五輪で、大迫選手は6位に入賞した。出るからには、それ以上の結果を出したいはず。同じルートで五輪に臨めば、前回を上回る成績を出せないと思ったのだろう。

4月のボストンマラソンから8月のパリ五輪までは4カ月しかない。間隔としては短い。「いばらの道」とも言えそうだ。

しかし大迫選手は常識を破って、ここまで駆け抜けてきた。変革を起こすには、常識破りの道のりにワクワク感が高まっているのかもしれない。

常識破りの先の変革へ。大迫選手の走りに注目したい。

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