見出し画像

大事な場面で小さい選手が大きな一発。東京六大学野球。早大が7季ぶりⅤ。172センチの2選手が値千金のアーチ

大事な場面で小さい選手が大きな一発。東京六大学野球で、早稲田大が7季ぶり47回目の優勝を決めた。伝統の早慶戦であと一つ勝てば優勝という試合。身長172センチと野球選手としては大きくない打者2人。大きな一発を放って、優勝へと導いた。野球は選手のサイズで決まらない。だからこそ、面白い。

2日に神宮球場で行われた早慶戦。2勝すると勝ち点が得られるリーグ戦。早大は前日に慶大を下し、あと1勝すれば勝ち点5となり優勝が決まる展開だった。

早大は優勝へ王手をかけたが、ライバル慶大には意地がある。この試合で先取点を挙げたのは慶大だった。

清原正吾選手が初回に右中間を破るタイムリー二塁打を放った。清原選手は高校野球、プロ野球で活躍した和博さんの息子。父親のスイングに似たライト方向への強い当たりだった。

早大はすかさず二回に逆転。そして2-1で迎えた四回に、小沢周平選手が左打席に立った。カウント1-1からの3球目。小沢選手は右足を大きく上げ、振り抜いた。打球はライトスタンドへ。小沢選手は打った瞬間にホームランを確信して、ゆっくり走り出すほどだった。

172センチ、74キロ。決して野球選手としては大きくない。それでもコンパクトに振り抜き、大きな一発を放った。ライトスタンド中段への一発は早大に流れを引き込んだ。

これはチーム助監督の金森栄治さんの指導の賜物だろう。金森さんはプロ野球の西武などで活躍した。現役時代は身長175センチ、72キロと、プロとしては小柄な方だ。それでもプロで15シーズン活躍した。自らが体現したコンパクトな振りを選手に伝授し奏功した。

早大は直後に1点差に詰め寄られるが、慌てない。五回表。この回先頭の尾瀬雄大選手が左打席に入る。カウント1ストライクからの2球目。変化球をすくい上げると、ライトスタンド中段へのホームランとなった。

尾瀬選手も172センチ、80キロ。小沢選手同様にサイズとしては大きくないが、重要な場面で大きな一発を放った。このホームランが号砲となり、この回、早大は計6点を奪うビッグイニングとした。

小さな2選手のホームランが、粘る慶大を突き放す原動力となった。試合は早大が12-2と大勝。慶大から勝ち点を奪った。これで今季すべての大学から勝ち点を奪う完全優勝を果たした。

小沢選手も尾瀬選手も、今季第1号のホームランだった。重要な場面で早大に流れを加速させる快音を響かせた。

選手のサイズで試合の結果が決まるなら、野球の面白さはなくなるだろう。小さな選手が大きな当たりを放つことが、このスポーツを面白くさせる。

小さな選手が放ったホームラン。早大は大きな、大きな優勝をつかんだ。

この記事が参加している募集

#スキしてみて

526,418件

#野球が好き

11,093件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?