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戸田和幸取材のちょっとした「ウラ」話

2002年ワールドカップ日韓大会で、初のベスト16入りを果たしたサッカー日本代表で、影のMVPと言われた男。

戸田和幸。

彼を題材にした記事が今朝、東洋経済オンラインにて掲載された。

赤いモヒカンヘアーと荒々しいプレーで相手のエースを潰し、中盤に立ちはだかる姿に、大きな安心感を覚えたことを今でも思い出す。

その戸田和幸が、最近「裏解説」を始めたと知り、大きな関心を持っていた。

裏解説とは

普段、多くのサッカー専門家は、地上波やCSなどで解説を行なっている。これを「表の解説」とするならば、戸田さんの「裏解説」とは、地上波やCSでの解説ではなかなか言及することができないことを徹底的に言語化して、大真面目にサッカーを語るというものだ。実際、この「裏解説」は、熱心なサッカーファンに好評を博し、最終的には、有料化して販売したにも関わらず、有料の壁を乗り越えて、多くの人が視聴したという。

ホンモノの実力を持ち、オモテの解説と同じ、もしくはそれ以上の覚悟で、ウラの解説を試みたからこそ、大きな結果を生み出すことに成功したのだろう。

僕自身も、クリエイター向けのプラットフォームとして、noteに大きな可能性を感じており、戸田さんのように「裏」の活動を行なって勝負してみたいと思っていたところだったので、この取り組みに大きな関心を持ったのだった。

取材実現のきっかけ

きっかけは、先日僕が書いた太田雄貴さんの記事を、戸田さんがツイートしてくれたことから始まった。

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この記事は、自分でもびっくりするほど多くの人に届けることができ、僕のライターとしてのキャリアにおいては、ある意味で大きなターニングポイントになったのだが、さらにこのように戸田さんが、僕の記事に興味を持ってくれた以上、このチャンスを逃すわけにはいかなかった。

僕は、ダメ元で、すぐさまアポイントを試みた。なんとか連絡を取ることまではできたが、初めはきっと、僕のことを怪しいヤツと思ったに違いない。

伝えた熱意

いずれにせよ、アポイントを取ることに成功した僕は、戸田さんの解説へ共感があること、もし取材させてもらった場合は僕なりの独自の視点で書くこと、そのテーマの内容はどんな内容かまでを事細かに話した。きっと、彼はその熱意を汲み取ってくれたのだろう。忙しいにも関わらず、後日、快く取材に応じてくれることとなったのだ。

こうして晴れて取材が実現したのだが、いざ取材となると、あの戸田さんが、自分の目の前に座っていることに、とても不思議な感覚になったのは間違いない。

そんな不思議な感覚を抱きながらも、僕は冷静になるようつとめ、記事をイメージしながら、あらかじめ用意していた質問をしていく。すると、彼も、とにかく冷静に、大切に言葉を選びながら、アツイ話をしてくれた。

戸田さんの口からは、

「誰がなんと言おうと、サッカーはチームスポーツであり、戦術の話は避けて通れない」

「現役時代から、ずっと言葉で伝えることにはこだわり続けてきた」

「サッカーは前のめりになって観るスポーツ」

「自分の色を出すことは、現役の頃から常に考えてきた」

「扱う事象は独自性を出すが、言葉は平坦に」

といったように、刺激的な言葉が、ポンポン飛び出してくる。最初の数分で、「サッカーというチームスポーツをわかりやすく言語化し、いかにしてサッカーの本質的な魅力を伝えるか」ということに、常日頃からチャレンジしていることは容易に想像できた。

戸田和幸という一流の素材を通じて、僕が選んだテーマ

僕も、一端の表現者として、記事を書く際には「誰に対して伝えるか」「何を伝えるか」「どうしたら伝わるか」ということは常に意識している。解説者として戸田さんがこだわっていることと、僕が意識していることは、本質的には全く同じであり、解説者としての戸田和幸の姿勢には強く共感した。

その結果、スポーツファンよりもビジネス層の読者が多い東洋経済オンラインという媒体に寄稿するテーマとして、僕が選んだのは、以下の3つだった。

(1)赤いモヒカンからのリブランディング
(2)今のスポーツ解説のあり方を問う
(3)レッドオーシャンの中でのチャンスの見つけ方

つまり、この話は、サッカーファンだけに向けたものではなく、むしろビジネス層に向けたものだった。確かに、彼のサッカーの話はもっと聞きたかったし、今考えても本当に惜しいチャンスを逃したと思うが、それでも、僕は、解説者・戸田和幸という素晴らしい題材を、いかにして多くの人に伝えることができるかということを念頭に入れて取材し、記事に書くことに徹した。

こうして出来上がった記事は、戸田和幸という男のサッカー解説者としてのこだわりと、僕の表現者としてのこだわりが詰まったものになっているものと思いたい。

それでもヤフトピには掲載されなかった

これまでの記事でも書いたように、個人的には、太田雄貴さんの記事と同じか、それ以上の熱量を持ち、そして多くの人に届けるための視点や考察をもって書いたが、結果的にはヤフートピックスに掲載されることはなかった。SNSでは広く拡散されたようなので、実際の数字は現段階ではわからないが、ヤフトピに掲載されていないので、アクセス数の面では太田さんの記事のようには伸びなかったはずだ。

いくら「良い記事」であっても、アクセス数が伸びるかどうかは別問題ということなのか、僕の視点が世の中の読者の感覚とズレているのか、ビジネス寄りの視点にしたためにサッカーファンには届かなかったのか、タイトルや写真に工夫が足りなかったのか、そもそも良い記事ではなかったのか、はたまた別の要因なのか。

ヤフーをはじめ、各媒体でピックアップされる記事をみると「こんな記事を表に出すくらいなら、俺の記事を取り上げてくれ!」って思ったりもするが、こればかりは、各媒体の編集部の判断だから、こちらではどうしようもない。

僕はアクセス数だけを追うことをするつもりはないが、良い記事を書いてたくさんの人に届けたい、という想いは変わらない。むしろ、もっと多くの人に届ける力をつけたい、という欲求はさらに強くなった。

いつかまた、戸田さんの取材をして、次こそは、もっともっと多くの人に届けられるようにしたい。


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