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『BON-NOU』の終わりの後について考えるための道具とは【FREEPARK】

春の訪れとともに
新しい生活がはじまる4月

FREEPARKでは
ぜひ知って欲しい
アーティストの
ポップアップを開催します。

開催期間は
4月5日(金)~19日(金)

その名も『BON-NOU』
いろいろと想像してしまう
アーティスト名からして、
BON-NOUさんの話を伺うと
どんどんと惹きこまれてしまいました。

ロングインタビューを
お読みいただき、
ポップアップまでに
BON-NOUさんの魅力に
どっぷりハマってください!

やっぱり最初に伺いたいのは
BON-NOUさんのお名前。

『BON-NOU』は
「ぼんのう」ってお読みして
いいのでしょうか?

■ BON-NOUさん:
ぼんのう(煩悩のイントネーション)で問題ありません!

では、BON-NOUさんと
お呼びさせていただきます。
由来はやはり「煩悩」からでしょうか?

■ BON-NOUさん:
その通りです!
「煩悩」という字面が少し偏ったイメージに見えたのと、
表現していることとしても、
あんまり血の通った雰囲気を見せたくなかったので
BON-NOU(英語表記)としました。

本名を明かしていないのには
何か意味があるのでしょうか?

■ BON-NOUさん:
人間としての生活をしている自身との差別化や、
全く別の何かをしようと思ったときに
切り離せるよう本名を伏せて活動しています。

ちなみにブランド名も
『BON-NOU』なのでしょうか?

■ BON-NOUさん:
ブランドという意識はないのです。
ややこしくてすみません・・

WEBサイトを見てそう思われたのかなと見ていますが、
WEBサイトはポートフォリオというか、
BON-NOUというアーティストが何をしてるのかなどを
取りまとめるための場所として使っています。

そうでしたか、すいませんでした。
確かにアーティストの作品に
ブランド名ってないですよね。
これからは『BON-NOU』の
作品集を楽しむように
インスタにもお邪魔します。

では、次に『BON-NOU』を
はじめたきっかけを
それ以前の活動を含めて
お聞かせくださいませ。

■ BON-NOUさん:
BON-NOUの前身がいくつかあっての今ではありますが、
コロナ禍の頃に展示の予定もなくなり
創作意欲も失せてしまったころに
自分の表現って何だ?
何がしたいんだ?
という自問自答の日々が続いていました。

表現自体は好きでも、
本質的にやりたいことは表現のための表現ではなく、
考えることそのものだと言う結論に落ち着きました。

結論に至った。というより、
現時点で言語化できることは
「哲学がしたかった」というレベルですね。

元々常に色んなことが頭の中で渦巻いている質だったので、
この飽くなき欲求の権化は煩悩だなということで、
BON-NOUになりました。

BON-NOUより以前は最初にレザークラフト、
その後はストリートフォトをやったり、
平行してイラストレーションや3Dなどなど。

今もイラストレーションや3Dなどは続けていますし、
レザーも写真も作品に生きているので、
統合されて今があると思ってますね。

なるほど。
コロナがあったことにより
いい意味で自分自身と
向き合うことができたのですね。

もともとの表現活動と
思想がつながることによって
BON-NOUという
アーティストが誕生したことは
とても興味深いです。

作品へ込める信念が
確立してきたことにより
表現の方向性が定まって
きようにも思います。

BON-NOUさんは2023年より
「終わりの後について考えるための道具」を
制作していると提示していますが、
具体的な活動を伺えると嬉しいです。

■ BON-NOUさん:
まず「考える(哲学する)ための道具」
というテーマが根本にあります。

この時点で意味が分からないかもしれないんですが、
命や物、こと。といった万物には
必ず終わりがあると私は思っているんです。

どうあがいても自分はいつか死ぬし、
死後の世界はきっと無い。
でも死後も世界は継続されていく。
その継続されていく世界を私は観測していきたい。
そんなことを考えているうちに
あらゆるものごとが終わった後。
という時間や世界を知りたいと思いました。

実際に知ることは叶わないことは自明ですが、
私には幸い考えるということが出来る。
砕いてしまえば妄想を延々と続けるための
道具(作品)を作る活動です。

積極的ニヒリズムという言葉が
比較的私自身の考え方に
当てはまるような気がしています。

深いです。
すごく考えさせられます。

はじめて
「終わりの後について考えるための道具」
という言葉を見たときは
頭の中が疑問でいっぱいになりました。

でも今はお話を聞いて
少しだけ理解できるように
なってきました。

どんなものにも人にも
終わりがあり、
その先に思いを巡らすための
道具がBON-NOUの作品だと考えると
見方が変わってきそうです。

インスタを見ていると
BON-NOUの作品には立体作品と
平面作品があるようですが、
それぞれのコンセプトやこだわりなどを
お話くださいませ。

■ BON-NOUさん:
立体作品については
「object」という一つのコンセプトを
共有している作品群になります。

展示の際に不定期でver.〇.〇と打って
モチーフのヒントを公開したりしていますが、
正式名はすべて「object」で統一しています。

objectのコンセプトは「形骸化」です。
食べ物、植物、概念的なもの、ことなど

すべて「object」という物体や物を指す
形骸化された機能を持たない物として表現しています。

材質にセラミック(素焼き)やブルーシートなど、
比較的壊れやすいものなどを中心に使用することで
あえて壊れやすく、風化により朽ちやすい物を
取り入れています。

例え作品がどんな姿形をしていても
「物」という定義を与えた作品は
永続的存在であるという前提の元

実際に壊れたり朽ちたりしたとき、
物という永続性は失われていなくても、
ある程度復元が可能だとしても、
我々は何かを失うと私は考えています。
この失ったものは何か。
感情的に解釈することは簡単かもしれませんが、
作品を手にした人にランダムに起こる
ハプニングをもって初めて作品と
「終わりの後を考えるための道具」という機能、
価値が生まれる作品だと考えています。

作家側としては作品が完成した段階で
作品の物語は終わっています。

制作の最中で作品に架空の過去
(劣化具合や傷、ステッカーなどの他人による破壊)
を故意に作ります。

これによって展示に作品を出した段階で
作品としては時間の経過があり、
何かの事後から始まる物になるように表現しています。

作品が人の手に渡った時、
私自身の眼や感覚から離れてしまいますが、
作品を手にした人の世界で
終わりの後の物語が続くことで、
間接的に終わりの後を観測してくれる
道具として機能してくれるのではないかと思っています。

平面作品についてはテーマとしてはobjectと同様ですね。

ただ、昨年の展示を最後に平面というか、
絵画というジャンルから離れることにしたため、
今は立体作品のobjectを中心に制作に
取り組んでいるので詳しいところは割愛させていただきますが

平面作品でも
「終わりの後を考えるための道具」という
テーマに対して様々な終わりの瞬間、
間際を描いてきました。

立体作品との違いは、
時間が止まっているものが多いことだと思います。
一時停止、或いはループ映像のように
ずっとその瞬間を映しているような絵を意識していました。

BON-NOUさんが作品を
制作している時間、
お客様が作品を手にし
共に暮らす時間、
終わりを迎えてからの時間、
それらの長い時間があってこその
作品ということなのですね。

作品の持つ意味や役割を
理解することにより
「終わりの後を考えるための道具」
としての作品を味わうことができます。

立体作品でも平面作品でも
表現方法の違いはあれど、
BON-NOUさんのコンセプトは
同じであることが分かりました。

「object」の作品群の中には
「object」という文字のステッカーや
割れ物シールや大入袋が貼ってあるのが
気になったのですが、どのような意図が
あるのでしょうか?

■ BON-NOUさん:
「object」という文字の多用は
意図的にこれでもか!と
物であることをアピールをするために
取り入れていたりします。

ストリート、と聞くと
スケートボードやグラフティといった
文化をイメージされると思いますが、
特に幼少期〜少年時代は私にとっての
ストリートが家から外の全てでした。
極端に言えば家の中ですら
そうだったかもしれません。
自分を取り巻く時間が勝手に動いている様が
面白かったのかもしれません。

一人の時間が必ず欲しいタイプだったので、
子供の頃からよく一人で散歩をして
知らない場所へ行って迷子になってました。

そういった場所で見るストリートの痕跡は
かっこいいだけじゃなくて
汚かったりダサかったりするんですが、
そういうダサさや小汚さもひっくるめて
ストリートであり、美しさや面白さを感じています。
なのでステッカーの中にはAmazonや
ヤマトで使われるシールのオマージュや
大入袋をオマージュしたダサかったり
生活に馴染んでいるものも意図的に混ぜています。

幼少期に感じていたことが
現在のアーティスト活動にも
影響しているのは興味深いです。

現在に至るまでの
BON-NOUさんが見てきたもの
感じてきたものが
作品の一部として表現されたのが
あのシールたちだったのですね。

作品に失礼なく貼られているシールを見て
何でだろうと思っていた疑問が解けて
すっきりしました。

意図がわかると、逆に何も貼っていない
つるっとした作品だったら、、、?!
しっくりこない気がしますw

作品の中にパロディ的要素を感じたのですが、
この辺りもこだわりなのでしょうか?

■ BON-NOUさん:
強く意識はしていませんが、
なるべく人がわかるものを
モチーフにはしていますね。

ギリギリまで抽象化することもありますが、
風刺的な意味というよりも
既視感があるけど全く異なるもの。
という部分を大切にしています。
自分が存在しない世界線の物とか時間、
或いは視認できないものを形にしたりなどです。

言われてみれば確かに!
ハンバーガーを面白おかしく
風刺的に表現しているのではなく、
いつものハンバーガーだけど
絶対本物とは違うって思えるのが
BON-NOUさんのハンバーガーの
作品ってことなんですね。

今回のポップアップに並ぶ作品についても
ご説明いただけると嬉しいです。

■ BON-NOUさん:
既存が9割ですが、 objectの新作数点を含めて
30点前後置かせて頂こうと思っています。

テーマやコンセプトは先に長々と書いてしまったので、
いくつかの作品の見た目や表現について少し補足します。

真っ黒なものは植物をモチーフに
葉の部分を黒い牛革で表しています。
革を植物のように使うことが比較的多いかもしれません。


ハンバーガーのチーズの部分も
牛革を使って表現していて、
エイジングによって徐々に茶色くなることで
物理的な時間の変化が現れるようにしたりしています。


ピースサインの作品はボルトが貫通していたり、
傷だらけだらけですが背面は意図的に綺麗にしたりと、
objectとしては珍しく風刺が
分かりやすく入っているものになります。

写真と一緒にご説明いただけると
すごく分かりやすいです。

どの作品もやっぱり
心くすぐられる魅力があります。
つい手にしたくなるような
馴染みやすさと裏腹に
朽ちていくことを恐れてしまう
不安な気持ちが混在して。

BON-NOUさんのお話を
聞く前と聞いた後だと、
作品の見え方が変わってくるのが
不思議です。

より深く奥行きを
感じられるような気がします。

BON-NOUさんの
今後のビジョンや夢などがありましたら
お話くださいませ。

■ BON-NOUさん:
大したことを言えず申し訳なくなるんですが、
活動を長く続けることです。

長く続ければもっと私の哲学を掘り下げられるし、
作品がいろんな場所に行くと思います。

終わりの後も言い換えれば
未来への希望みたいな部分もあるので、
ずっと先のことを考え続けたいですね。

最後の言葉が刺さりました。
「終わりの後」が
「未来への希望」であると。

話しを聞きながら
終わりのことを考えていましたが
「終わる」とはこれからのこと。
ネガティブに思うこととは違いますね。

暗い森で考え込んでいたところに
一筋の明るい光が差し込んできたような
そんな明るい気分になりました!

長く長くお話いただき、
本当にありがとうございました。
最後にFREEPARKへいらしてくださる
お客様へメッセージをお願いします。

■ BON-NOUさん:
今回のポップアップでは
立体作品の「object」のみですが
他の活動もしています。

展示の予定があれば
インスタグラムで告知を出すので、
objectをきっかけに気になっていただけたら
是非フォローしてください!

・イラストレーション、3Dなど
@bonnou_ronge

・立体作品など
@bonnou_object

今回のポップアップを開催するにあたり、
BON-NOUさんにたくさんのお話を伺いました。

芸術作品の持つ根本的な意味は
作家の哲学や思想、考え方によるものだと
改めて考えさせられました。

BON-NOUさんの哲学は
確実に作品い表現されており、
作品を買うということは
価値や意味を理解し伝えていくこと
なのかもしれません。

完成した作品を
我が家に持ち帰り
共に時間を過ごす。
その先にある
作品の終わりから
未来を考えるきっかけと出会う。
そのときにこそ
BON-NOU作品の魅力を
味わえるのでしょう。

今回のポップアップでは
BON-NOUさんの作品と出会える
特別な機会なので、
是非ご覧いただけると幸いです。







いつも最後までお読みいただき、
本当にありがとうございます。

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いただけると光栄でございます。

いつまでも幸せな日が続きますように。


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