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「人たらし」の極意 ~第一話~

「あなたはクビです」

私は勤めていた会社の社長から突然「クビ」を宣告され会社を辞めたことがある。ドラマや映画などでは見たことがあったが、まさか自分が「クビ」を言い渡されるとは思ってもみなかった。

これはいまから10年以上前の話しだ。
当時私は自分で起業した会社が上手くいかず、わずか一年で廃業させてしまい無収入になっていた。そのため人づてに仕事をもらって何とか生活費を稼ぐ暮らしをしていた。
そんな時にある女性と出会った。彼女は小さなコンサルティング会社を経営しており、社員数は15名程度のベンチャー企業の社長だった。

コンサルティング会社と言っても実際には社長と副社長の二人の女性が営業とコンサルティングをこなし、他のスタッフはそのサポート役で、社長が受託したコンサルティングの仕事を手分けして作業をしていた。しかし会社の規模を拡大するために社長は部下の管理をしてくれるマネジメントが出来る人を探していて、たまたま知り合った私に白羽の矢を立てたのだ。

私も直前まで行っていた仕事が終了するタイミングで次の仕事を探さなければいけなかったので、この話しは大変ありがたかった。また人を管理するマネジメントの仕事であれば、私の得意な領域でもあったので、それならお役に立てるのではないかと考え仕事を受けることにした。

入社してしばらくすると会社の様子が分かってきた。社長は一人で会社を立ち上げ、小さいながらも年商で数億円の売上を作っているだけあってやり手の経営者だった。特にクライアントの懐に飛び込むスキルが非常に高いのだろう。中小企業の「おじさま経営者」が彼女のオフィスにお菓子をもって遊びに来る姿を何度か見かけた。おそらく彼女は自分のファンを作り出す能力に長けていたのだ。

他の従業員に話しを聞くと社長は経営者仲間が集まる会合で仕事を受注してくることが多いのだと教えてくれた。私も自分で会社を経営しているときに若手ベンチャー起業家が集まる異業種交流会に参加していたので、そこで商談が進むことがあることは知っていた。社長は中小企業の社長が集まるいくつかの会合に参加し、そこで彼女のファンを作ることに成功していたのだ。

ところが社内にいる彼女は社員に対して別の顔を見せていた。社内ミーティングに参加すると、社長が一方的に話し、社長の考えにみんな頷き、誰も自分の意見を言う者はいなかった。たまに社長から促されて誰かが自分の意見を言うと「でもそれって、どうなんだろうね? 私は違うと思うわ」と社長からピシャリと反論され、それっきり黙ってしまった。

私は「なるほど、この会社では社長の意見に誰も反論してはいけないことになっているのだな」と察した。社長はいわゆるワンマン社長だったのだ。
しかしこれは当たり前のことだろう。社長はリスクを背負って会社を立ち上げここまで自分の力で会社を成長させてきたのである。この会社は社長のものであり、社長はこの会社の中では殿様なのだ。家来である部下は殿様に従うのは当然である。それは小さな会社であればあるほど、その傾向は強い。彼女はこの会社の「織田信長」だったのである。

第二話に続く

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