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強引な「ポジティブ思考」があなたのメンタルを崩壊させる
あなたの周りに、もしかしたらこんな人がいるかもしれません。
いつも周りに気を使ってくれる
自分のことよりも相手を優先してくれる
話しの聞き役に回ってくれる
辛いことがあっても前向きな言葉を言っている
(もしくは大変そうでも大変と言わない)
こういう人いないでしょうか?
一見、とても良い人に見えるのですが、実は自分の感情を抑え込んで無理やりポジティブに振舞おうとしているのかもしれません。
今回はポジティブ思考の功罪について考えてみます。
自分の本音に隠さず向き合う
以前私の職場に、40代のママさん社員がいました。
彼女はいつも朗らかな笑顔で、周りの人の話しをよく聞いてくれて、たとえ自分のせいではなく周りの人が原因で自分に嫌なことが起こったとしても
「自分もやっちゃうことありますからね」と相手を責めることなく、前向きにとらえていました。
私も最初は「この人は人間が出来た人だな」と思って、スゴイなあと関心していました。
ある日、たまたま彼女とミーティングをしているときに、ご家族のお話しになりました。
すると彼女から意外な過去が出てきました。
・実はシングルマザーで、子供を一人で育ててきた
・ご両親から子供のころはかなり厳しく躾けられて育った
・休みの日はご両親の世話をしに遠くの実家まで行っている
・過去出産した時に仕事の役職を外されて、戻ってきても主要なポストには就けてもらえなかった
これまで彼女はかなり大変な人生を送っていたのです。
それでも子供を養わなければいけないし、暗い顔を子供たちに見せてはいけないと明るく振舞っていたのです。
私は彼女の話しを聞いた時に
「これだけ大変なことがあって、辛くないのかな?」
と疑問に感じました。
そして彼女に「本当に辛くないんですか?」と聞いてみました。
彼女は最初「でもネガティブに考えても仕方ないですから」と答えましたが、私にはその言葉が「無理やりポジティブに思い込もう」としている
ようにしか感じませんでした。
そして、またしばらく話している中で、ふと彼女から
「本当は私ももっと自由に生活してみたかった」
という言葉が出てきました。
そのとたん、彼女の目から涙が溢れ、その場に泣き崩れてしまいました。
私はこれが彼女の本心なんだと思いました。
本当は小さい時から両親から厳しく躾けられ、自分の感情を出すたびに叱られ、次第に自分の感情を押さえつけるようになりました。
そしてその押さえつけた感情は自分の中でも制御できない形で、前のご主人との間に亀裂を作り、離婚してしまいました。
そして子供たちを育てながら仕事をしなければいけない中で、その押さえきれない感情を子供たちにぶつけてしまったこともあったそうです。
それを強く後悔し二度とそんなことをしないと、また自分の感情を押さえつけ、そうしているうちに自分の感情を表に出すことが出来なくなってしまったのでした。
私は彼女に「一度自分の感情を全部書き出してみてはどうですか?」と提案しました。
「誰にも見せる必要はないので、あなたの中にあるどんな汚い言葉でも良いから、本音の感情を書いてみてください」と依頼しました。
彼女は「分かりました、やってみますね」と快諾してくれました。
それからしばらくしてまた彼女と話したときに、その成果を教えてくれました。
彼女は自分が小さい時からの思い出せる限りの出来事に対して、その時の感情の言葉を本音で書いたそうです。
「怒り」「悲しみ」「恐れ」「不安」
といったネガティブな感情をリアルな言葉で書いたそうです。
そうして書いてみると、彼女は
「自分の中でこんなにも激しい感情があったのか」
「こんなにも自分の心に嘘をついていたのか」
「こんなにも自分で自分を苦しめていたのか」
と気づいたそうです。
そしてその時に彼女はこれまでに感じたことがない
「解放感」を感じることができたそうです。
と同時に、過去に対して「けじめ」を付けられた気がしたと話してくれました。
これは彼女が産まれて始めて「自分はこうでなければならない」という「have to」の状態から、「本当は自分はこう感じたい」という「want to」で感情を感じることができたのです。
それからの彼女はこれまで以上に仕事に前向きになりました。
そして言葉も以前よりもポジティブな言葉が増えました。
しかしそこには自分の心にふたをしているような言葉ではなく、本音で話しているんだなと感じるような言葉に変わりました。
人は世間体とか、周りの目とか、教えられたことに従順になり過ぎて、自分自身の考えや感情が分からなくなってしまうことがあります。
そんな時は一度全部を吐き出してみることがとても重要だと思います。
「ポジティブシンキング」は出来るだけした方がいいと思いますが、自分の本音に嘘をつき続けると、むしろ自分を苦しめる可能性がありますので、
一度冷静に自分の「本音」に向き合うことはぜひやってみてください。
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