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【珈琲と文学】

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珈琲×読書のご案内。 本の紹介文と、お供におすすめの珈琲を載せています。
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#読書感想文

【珈琲と文学】太宰治『津軽』

【珈琲と文学】太宰治『津軽』

本日の文学案内は、
太宰治『津軽』
です。

あらすじ

解説1944年に刊行された太宰治の紀行文風小説。

第二次世界大戦の末期。
戦争の中で、“死”を強く意識した太宰は、故郷の青森・津軽への旅へと出発します。

旅の中で彼は、旧友や生家の家族、育ての親との再会を果たしていきます。

彼らとの懐かしく楽しい交流を通して、津軽の人々の温かい人情を再認識すると同時に、自己の存在を見つめ直すことにも繋

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【珈琲と文学】川上弘美『真鶴』

【珈琲と文学】川上弘美『真鶴』

本日の文学案内は
川上弘美『真鶴』
です。

あらすじ

解説主人公の京には母親と一人娘の百、そして新しい恋人の青茲がいて、日々暮らしを営んでいるが、12年前に失踪した夫の礼を忘れられずにいた。

「真鶴」という言葉を残して失踪した礼。
彼の痕跡を探すため、京は東京と真鶴の往復を繰り返す。

そんな京に、どこまでも憑いてくる「女」がいた。
「女」は京に何を伝えようとしているのか。
そして、礼はなぜ

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【珈琲と文学】坂口安吾『堕落論』

【珈琲と文学】坂口安吾『堕落論』

本日の読書案内は
坂口安吾『堕落論』
です。

あらすじ
解説⁡安吾の代表作といえばこれ。
冷徹な視点と逆説的な言葉で時代の倫理観をぶった切り、混迷する戦後日本社会の人々に対して、生きる指標を示した歴史的批評文。


これは冒頭文。
要約すると、

“戦争において若者の多くは特攻隊として華々しく散ったが、同じ立場だった生き残りの帰還兵は闇屋となった。戦地へ赴く夫をけなげに見送った未亡人たちは、次

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【珈琲と文学】小川洋子・堀江敏幸『あとは切手を、一枚貼るだけ』

【珈琲と文学】小川洋子・堀江敏幸『あとは切手を、一枚貼るだけ』

本日の文学案内は
小川洋子・堀江敏幸『あとは切手を、一枚貼るだけ』
です。

あらすじ

解説いまは遠く離れてしまった恋人同士の、
14通の手紙のやり取りのみによって構成された物語。
女性パートを小川洋子さん、男性パートを堀江敏幸さんが手がけている。芥川賞作家の二人による、美しく哀しい物語。

手紙に綴られるのは、詩のように美しくて抽象的な言葉と、膨大な質量の「知識」。
その融合が、幻想的かつ独創

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【珈琲と文学】サマセット・モーム『月と六ペンス』

【珈琲と文学】サマセット・モーム『月と六ペンス』

本日の文学案内は
サマセット・モーム『月と六ペンス』です。
(訳:金原瑞人)

あらすじ
解説1919年に発表された英文学の歴史的名作。
ポール・ゴーギャンをモデルに、芸術に取り憑かれて全てを捨てた男の生涯を、彼の友人である「私」の一人称視点で綴った物語。


平凡で安定していた生活を送っていたチャールズ・ストリックランドは、ある日突然家族の前から姿を消す。
彼の夫人から捜索依頼を受けた「私」は

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【珈琲と文学】宮本輝『道頓堀川』

【珈琲と文学】宮本輝『道頓堀川』

本日の文学案内は、
宮本輝の『道頓堀川』
です。

あらすじ解説舞台は高度経済成長期の大阪、ミナミの歓楽街、道頓堀川界隈。
主人公は両親を早くに亡くし、喫茶店「リバー」に住み込んでアルバイトをしている学生、邦彦。絶賛就活中だが、書類選考で落ちる日々が続く。
金なし、コネなし、彼女なしの彼の生活は、孤独と哀愁を帯びている。

そんな彼を優しく見守る「リバー」のマスター武内が、もう一人の主人公。
温和

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