さすらいのインド人

エッセイのつもりのつもりくらいで書いてます。社会人1年目のラジオリスナーです。沢山読ん…

さすらいのインド人

エッセイのつもりのつもりくらいで書いてます。社会人1年目のラジオリスナーです。沢山読んでくれたら嬉しいです。

マガジン

  • エッセイのつもりのつもり

    エッセイのつもりのつもりと思って書いていた文章たちが積もりましたので、纏めました。読んでくださると嬉しいです。

  • 誰かの話

    誰かの話を書いてみました。読んでくださると嬉しいです。

  • 歌詞(歌にならない詞)

    歌詞を書いています。音楽の知識がないため、歌にはならない詞です。似ているものがあっても故意ではありません。

最近の記事

#51 湿度

 父親から特に連絡は来ない。母親からは、それこそ最近は頻繁に連絡を取り合っているが、まだどうしても突然電話が来ると、身構えて、何かあったのではないかと考えてしまう。  母も父も、もう若くはない。  先月には母の日が、今月には父の日があった。小学5年生の時、友人何名かと近くのホームセンターに行き、母のために花を買った。おそらく僕を含めみんなが、「母の日には何かしたいけど、一人では恥ずかしい」と思っていただろう。みんなですればちゃんと「イベント」のようになるし、誰々がやろうと

    • #50 エッセイのエッセイ2

       やっと50まできました。これを書きながら確認をしたところ、noteを始めたのが2019年4月2日だったので、およそ2年くらいかかりました。2年で50は少ないのかもしれませんが、継続力のない僕にとっては、途中期間が空いたりしながらも、ここまで続けてこられたのは頑張った方だと思います。めちゃくちゃ褒めてください。  #10の時に「エッセイのエッセイ」と題してその時までの振り返りを書きました。それに倣って、きりの良い数字の時には振り返りを書こう、いつか書こう、早く書こうと思って

      • 優しさについて 『手すりほしい女』解説

         「優しさ」が印象的だった。  本当にどうしようもない時、優しい人がふらっと登場する。それが好きな人であろうと、詳しく知らない人であろうと、優しい人が、目の前や横にいる。  この頃、「優しさ」について考えることが多い。特定の相手のことを思って、その人が喜んだり、笑ったり、相手まで優しい気持ちにさせるために、自分の中で考えたり、行動することが優しさなのだと考えると、特定の相手を意識的に、または無意識的に傷つける優しさも存在することになって、僕を苦しませる。「優しい」というこ

        • #49 永く、怖く

           題意も知らずに聴く「オンブラ・マイ・フ」、窓を閉めていてもすぐ頭の上からゴウゴウと鳴る飛行機。冷蔵庫を開けた時の甘いのもしょっぱいのも混ざった臭さ、そして、洗ったばかりのタオルに顔を埋める。  何だか眠れずに映画を観た。泣いた。何だか、ではなくて、何かが怖くて眠れなかった。目を閉じればきっとそのうち眠ることができる。でも寝てしまうことが怖かった。綺麗な自分になってしまうと思ったから。呼吸を呼吸として意識すると次第に息が苦しくなってくる。生きるために必死に吸って、次の酸素を

        マガジン

        • エッセイのつもりのつもり
          51本
        • 誰かの話
          2本
        • 歌詞(歌にならない詞)
          1本

        記事

          #48 食べること

           口から入れて、お腹で吸われて、肛門から出る。食べたものは体の中をぐるっと冒険する。頭の良い人がそのメカニズムを解明しなければ、単純なものだったと思う。  僕たちは毎日、何かを食べている。僕は今日、カレーを食べた。味噌汁も。昨日はマックのハンバーガーとポテト。一昨日は忘れた。なんとなく、食べたいものを食べたい分だけ食べているけど、一人暮らしになってから、何を食べようか、いつ食べようか、どんな風に食べようか、など色々気にするようになった。  1ヶ月ほど前に、西加奈子さんの『

          #47 忍者になれる

           壁が薄い。耳を澄ますと笑い声やテレビの音が聞こえてくる。右の部屋も、左の部屋も女の人が住んでいる。  見たわけではないけど、確かに女の人の声がするのだから女の人が住んでいるんだと思う。知らずに入居して、知ってしまったその時から生活に緊張してしまう。アパートの近くには専門学校が多いらしく、通話と思しき声や、なんとなくの寝る時間からおそらく学生であろうということも、おそらく分かった。  お風呂に入ることも、ゲームをすることも、窓を開けることも、歩くことも、座ることも、寝るこ

          #47 忍者になれる

          #46 2020

           色々ありすぎた一年だった。忘れないとは思うが、忘れないように書き残しておく。  世界が、そして日本が、このような状況になったのはいつからだったのか、覚えていない。三月の初めの段階では普通に旅行に行っていたし、カメラロールを見ると四月の上旬頃まではまだまだ異国の物語くらいで、五月にはもう既に、という感じだった。  僕にとって去年の日々のほとんどは、普通を目指して過ごしていたように今は思う。誰しも損はしたくないもので、それでも楽して手に入る得は少なく、リスクのある得よりは、

          #45 ストリートピアノでドレミのうたを弾く

           前髪と似合わない髭が伸びて見窄らしい自分。引っ越したばかりで新しい美容院に行くことへの不安があり、前髪を自分で切ることにした。文房具のはさみで。鏡の前に立ち、1cmかそこらを切っただけだったにも関わらず、「切ってやった」という悦に浸り、笑みが溢れた。  恥ずかしいことがとにかく嫌だ。間違っていないという自信がないと答えることを躊躇してしまうし、周りの人と同じように歩けているかを確かめるためにショーウィンドウの自分を見てしまう。髪型や服装も最低限のラインは超えるように綺麗に

          #45 ストリートピアノでドレミのうたを弾く

          #44 明後日から

           「朝ごはんは時間なくて食べないけど、昼は軽く食べて、夜に一日分まとめて食べるから大丈夫だよ」  強がる気持ちのまま声に出してはみたものの、出した瞬間から「このままだと心配されてしまう」と思い始め、そして案の定心配されてしまった。出来るだけ心配をかけたくないと思いつつも、どこかで心配されたいと願っているのだろうか。  春休みから実家に戻り、オンラインで授業を受けている。夏休みは特にダラダラとしていたから、常に冷たい視線を向けられている様で居心地が悪かった。早く! とにかく

          #43 あんなツイートしなきゃよかった

           僕には何の影響力もないので、基本的にツイートして後悔することはない。ただ、Twitterに、Twitterばかりしてる自分に気持ち悪くなって思わずツイートしてしまった。  「僕には何の影響力もないので」と少なからず謙遜をしておかないと、文字列だけでは意図していることの全てが伝わらなくて、もうどうしようもなく気持ち悪い。どこまで丁寧に書けばちゃんと伝わるのか分からなくて嫌気が差す。誰かの目に入っている時点で影響を及ぼしているので、影響力はある。それでも僕が思っている以上の意

          #43 あんなツイートしなきゃよかった

          #42 頬Good

           自分でもあまり意識しないままに耳Goodをした。  説明するのも野暮だが「耳Good」とは、天竺鼠の川原さんのギャグで、右耳のあたりで耳の代わりとなるようにサムアップをするというものである。  そんな「耳Good」を、僕はした。  ご飯を食べ終わり、窓からは涼しい風が吹く夕方。Zoomを使って会議をしていた。両耳にイヤホンをして、パソコンの画面を見つめる。その時は音声のみの会議で、割と真面目なものだったため、僕も真面目に臨んでいた。  会議は中盤。突然、ドアがコンコ

          「グッバイまた明日」

          庭に入ってきた知らない猫の 名前を あれがいいね これがいいね って決めあった すぐにそんなこと忘れちゃって また二人で寝転んだ 僕は昨日仕事を辞めたよ どうも向いてないみたいだった いつ言おうか悩んでいたら朝になっちゃったよ これからも君とこうしていたいけど 多分無理だよね 空に浮かんでいた知らない雲の 名前を あれにしよう これにしよう って言い合った すぐにそんなこと忘れちゃって また二人で抱き合った 君は昨日何してたんだろう どうも気になってしまったんだ いつキ

          「グッバイまた明日」

          #41 この一週間

           だらだらと終わる八月。だらだらと始まる九月。そんな二ヶ月が怖くて、八月最後の三日間と、九月最初の三日間にnoteを更新しようと決めた。いつもと違う八月にどうにか別れを告げるために、九月には初速をつけるために、書きたいことと向き合った。いざ書き始めてから、プラス一日で一週間じゃん!、と気づき、今これを書いているという訳である。  誰かに強いられたルールというのは効力がない。どうやってずるをしようか、どうやって破ってやろうか、やってやろう精神の僕はそんなことをばかり考えてしま

          #40 ソウルイーター中村

           高校生の時の話をしたいと思う。僕の通っていた高校は、男女比が4:6くらいで、女子の方が多い学校だった。その4割の男子の中に、中村という男がいた。  ソウルイーターという漫画をご存知だろうか。僕は知らない。その名前とぼやっとした輪郭しか知らない。その中村はソウルイーターがとても好きだった。みんなに布教するくらい好きだったので、ソウルイーターというあだ名になったこともあったくらいだった。  高校最後の春。行事の全てに「最後の」とついてしまう悲しさと、だからこそ楽しんでやろう

          #40 ソウルイーター中村

          #39 サンキュー

           こんなにも居心地の良さと居心地の悪さを同時に感じる場所は他にないと思う。  およそ一年くらい一人暮らしをして、大学二年の春休みから今日も実家で過ごしている。一人暮らしをしていた時は、もちろんご近所付き合いなんてものはないし、ましてや隣の部屋の住人の名前や顔すら知らないまま生活をしていた。僕の漠然とした東京のイメージが、冷たさを感じるようなものだったので、そこに落胆や喪失感はなかった。実家になるとそのコミュニティの狭さを改めて感じる。良い意味では仲間のように温かいし、悪い意

          #38 好きな音楽について

           男女の声が1つの音楽から聴こえる曲が好きで、よく聴くことが多いです。#35で書いた、ネコの絵文字プレイリストの中から最近聴いている何曲かを紹介していきたいと思います。『🐈』は、夜と一緒に聴きたくなる、個人的に心地の良い曲を集めたプレイリストになっています。  米津玄師さんの声に、池田エライザさんのコーラスが心地良いです。霧が立ち込めて前にも後ろにも動けない様子が、夜の暗さで目の前が見通せずに、立ち往生しているようで、まさしく夜にぴったりだと思います。  全男、いや全人類

          #38 好きな音楽について