#43 あんなツイートしなきゃよかった

 僕には何の影響力もないので、基本的にツイートして後悔することはない。ただ、Twitterに、Twitterばかりしてる自分に気持ち悪くなって思わずツイートしてしまった。

 「僕には何の影響力もないので」と少なからず謙遜をしておかないと、文字列だけでは意図していることの全てが伝わらなくて、もうどうしようもなく気持ち悪い。どこまで丁寧に書けばちゃんと伝わるのか分からなくて嫌気が差す。誰かの目に入っている時点で影響を及ぼしているので、影響力はある。それでも僕が思っている以上の意味を持たせないために、何度も何度も謙遜をしなくてはならなくて、誰の為に何をしているんだろうという気になる。

 日によってはSNSに平気で5時間とか6時間とか時間を費やしている。一日の1/4ってやばいのかな。少ないのか多いのかは分からないけど、iPhoneのバージョンアップで「スクリーンタイム」という、何のアプリにどれくらいの時間を使ったかのかを知ることができるアプリを一目で分かるようにホーム画面に追加し、実際にその時間を可視化した時に、自分自身に引いてしまった。

 そのくらいTwitterをしているから、沢山のツイートを目にする。それだけでは判断できないと分かっていても、そのツイートをしたスマホを操作しているのはどんな人間なのだろう、と考えてしまう。面白いツイートは、飛び抜けて面白くない限り、他の多くの面白いツイートの中に埋もれてあまり印象には残らないけど、文脈がおかしいツイートだったり、ネタではない芸能人批判系のツイートやアイドル系のツイートが特に頭に残ってしまう。写真付きのツイートだったら、写真に写る指や腕を、紹介したいものの背景の部屋の散らかりだったり、個人情報への配慮の無さが、見てて勝手にむずむずしてしまう。本人の目で確認した上でツイートボタンを押しているのだから、わざわざ本人に言うことでもないけど、人の目に触れるツイートに対してあまり考えずにゴーサインが出てしまう、なんとなくそういう人なんだろうなと思ってしまう。ツイートだけで人を判断するのは僕だけではないと思う。


 めちゃくちゃな数のツイートを見ている以上、ほとんどストーカーみたいな行為を黙っておくのも罪で気持ち悪いような気もするし、ただそれを敢えて言うのも気持ち悪い。人間じゃない第三者から全ての人間に向けて、「こうやってTwitterを見ている人もいますよ」といちいち共通認識を与えて欲しかった。


 また、同じように僕も判断される側にいる。賢くみられた方が徳なのでそれっぽいツイートをしてみるし、面白くみられたいので、それっぽいツイートをする。接しやすくてお茶目な一面もみせたいのでそれっぽいツイートもする。ますます何のためにやっているのか分からない。ほとんどが顔も本名も知らず、Twitterを辞めた瞬間に関わりが途絶える人ばかりだ。でも、いいねとフォロワーが欲しい。もうこの呪縛からは逃れられない。比喩とかではなくて、本当に呪いである。

 結局のところ、Twitterなんて誰が何を呟こうが自由だし、それを外野がとやかく言う必要もない、というところに帰着する。誹謗中傷の類でなければいい、そんなことは分かっている。だから、あれをツイートしなきゃよかったと思うのも違う。むしろツイートしたものは、してしまったものは一度迷うと、ずっと迷いが生まれてしまうので、これでよかったと自信を持つことでしか解決はしない。僕のように寝れば忘れたり、こうやって文章にして考えているようで実際にそこまで苦しんでいない人間なら楽だろうけど、そうじゃない人も見てきた。でも、どうしても言わずにはいられないことはある。

 どっちつかずのことしか言えない。針がどちらかに触れた途端に、その反対側にいる人間の気持ちを恐れてしまうから。明言は避け、曖昧に曖昧にと考えてしまう自分が気持ち悪い。


 誕生日ツイートへのリプライも悩ましい。そこまで関わりのない人に「おめでとう」とは思わない。というか、どうしたって思いようがない。にも関わらず、言わないと、と思ってリプライをする。「お誕生日おめでとうございます!」が「僕のことはどう思ってますか?嫌いではないですか?どういう返事をくれますか?」に見えてしまって、気持ち悪くなる。ただ僕はこれからも続けるだろう。繰り返しにはなるが、この文を読んだ人には何かしらの影響を及ぼすので、あまりはっきりと書かない方がいいのかもしれない。今まで純粋にリプライをしていたのが、これを機に考えすぎてしまうかもしれない。でも、誰に向けてかは分からないけど、このまま言わずに居続けるのは卑怯な気がしてならなかった。


 考えなくていいことを暗闇に落ちていくように考えすぎてしまう。年齢のせいにしたり、夜のせいにしたりすれば都合はいいだろうけど、ある意味病気のこの症状からは回復しない。この文章を書く為にスマホを操作して、それをツイートして、反応を気にして、なんてやっている僕は、僕らはもう、もうそういうことなのだ。

 中途半端に賢くて、中途半端に考える力があるとこんなことになってしまいます。もっと楽に生きましょう。

 ああ、また思ってしまう。こんな文章書かなきゃよかった。


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