佐々木俊尚

作家・ジャーナリスト。近代の終焉と情報通信テクノロジーの進化が社会をどう変容させるのか…

佐々木俊尚

作家・ジャーナリスト。近代の終焉と情報通信テクノロジーの進化が社会をどう変容させるのかをライフワークとしています。

マガジン

  • 佐々木俊尚の未来地図レポート

    社会はこれからどうなっていくのか? テクノロジーは社会をどう変えるのか? わたしたちの関係性はどこに向かうのか? 佐々木俊尚が独自の視点で切り取った、世界の見方をお伝えします。

  • 日経COMEMO

    • 13,402本

    日経COMEMOは、様々な分野から厳選した新しい時代のリーダーたちが、社会に思うこと、専門領域の知見などを投稿するサービスです。 【noteで投稿されている方へ】 #COMEMOがついた投稿を日々COMEMOスタッフが巡回し、COMEMOマガジンや日経電子版でご紹介させていただきます。「書けば、つながる」をスローガンに、より多くのビジネスパーソンが発信し、つながり、ビジネスシーンを活性化する世界を創っていきたいと思います。 https://bit.ly/2EbuxaF

  • フラット登山のススメ

    山頂を目指す登山ではなく、都会の気軽な散歩ではなく、長大なロングトレイルでもない。歩く楽しみだけを追求する、気軽な「登らない登山」。それがフラット登山です。

  • 「時間とテクノロジー」

記事一覧

ワーク・クッキング・インテグレーションという新たなライフスタイル 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.816

特集 ワーク・クッキング・インテグレーションという新たなライフスタイ〜〜〜令和時代は「時短料理」から「気持ちいい料理」へ(3) 2010年代は、「ていねいな暮らし」…

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「ていねいな暮らし」と「時短料理」の矛盾に彩られていた2015年 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.815

特集 「ていねいな暮らし」と「時短料理」の矛盾に彩られていた2015年〜〜〜令和時代は「時短料理」から「気持ちいい料理」へ(2) 1986年の男女雇用機会均等法を経て、…

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佐々木俊尚
12日前
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音楽と家庭料理の変遷から、時代の空気の変化を学ぶ 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.814

特集 音楽と家庭料理の変遷から、時代の空気の変化を学ぶ 〜〜〜令和時代は「時短料理」から「気持ちいい料理」へ(1) 甲南大教授で社会学者の阿部真大さんに『地方に…

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佐々木俊尚
2週間前
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クソリプの存在を無視せず、かといって言いなりにもならない良き議論とは 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.813

特集 クソリプの存在を無視せず、かといって言いなりにもならない良き議論とは〜〜〜マスコミとネットと政治の関係の未来を考える(5) クソリプの構造を解析していくと…

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佐々木俊尚
3週間前
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うっかりクソリプ投稿をしてしまわないための視点とは 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.812

特集 うっかりクソリプ投稿をしてしまわないための視点とは〜〜〜マスコミとネットと政治の関係の未来を考える(4) クソリプの構造を解析していくという壮大な目標の本…

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佐々木俊尚
1か月前
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登山の魅力を「官能的」ということばで再定義する〜フラット登山という提案⑤

登山で「登りたい山ランキング」などを見ると、上位にはそりゃそうだろうなあ〜という山々が並んでいます。富士山、槍ヶ岳、奥穂高岳、剱岳、北岳、白馬岳……。たしかにこ…

佐々木俊尚
1か月前
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クソリプの構造をマトリックスを描いて解き明かす 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.811

特集 クソリプの構造をマトリックスを描いて解き明かす〜〜〜マスコミとネットと政治の関係の未来を考える(3) 現代のSNS社会は、だれもが専門家であるのと同時に、だ…

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佐々木俊尚
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なぜワイドショーのコメンテーターはクソリプみたいな発言をするのか 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.810

特集 なぜワイドショーのコメンテーターはクソリプみたいな発言をするのか〜〜〜マスコミとネットと政治の関係の未来を考える(2) テレビのワイドショーに出てくるコメ…

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佐々木俊尚
1か月前
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広大で歩きやすく、心も晴れる日光戦場ヶ原〜フラット登山という提案④

日本の誇る巨大観光地・日光。東照宮に華厳の滝、中禅寺湖、戦場ヶ原、そして男体山や女峰山などの峰々と、日本の素晴らしい自然景観を圧縮して一か所にまとめたテーマパー…

佐々木俊尚
1か月前
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インターネット世論は政治をどう動かしていくのか? 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.809

特集 インターネット世論は政治をどう動かしていくのか?〜〜〜マスコミとネットと政治の関係の未来を考える(1) 新聞が販売部数を激減させ、近い将来には消滅に向かう…

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佐々木俊尚
1か月前
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軽井沢から、廃バスと廃墟の峠道をたどって〜フラット登山という提案③

日本人はどんなスポーツでも「道」にしようとする、という議論があります。伝統的な柔道や剣道だけでなく、野球のような外来のスポーツまで「野球道」にして、そこに我慢強…

佐々木俊尚
1か月前
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イノベーションを満たすための「三つの要件」とは何か 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.808

特集 イノベーションを満たすための「三つの要件」とは何か〜〜〜スマホに続いてVR、生成AIは社会を変えることができるか イノベーションとは何でしょうか。日本では過去…

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佐々木俊尚
2か月前
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アリゾナの「クルマのない街」実験は、ウォーカブルシティの未来か 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.807

特集 アリゾナの「クルマのない街」実験は、ウォーカブルシティの未来か〜〜〜「歩ける街」の楽しさから観光立国の未来は始まる(5) ここまで4回にわたってウォーカブ…

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佐々木俊尚
2か月前
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栃木のウユニ湖・渡良瀬遊水池の地平線〜フラット登山という提案②

「フラット登山」こと登らない登山の第一回目は、栃木のウユニ湖との異名を持つ渡良瀬(わたらせ)遊水地をめぐる旅。「登らない登山」どころか、山でさえありません。かと…

佐々木俊尚
2か月前
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完全自動運転が実用化し、普及した社会を描写してみる 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.806

完全自動運転が実用化し、普及した社会を描写してみる〜〜〜「歩ける街」の楽しさから観光立国の未来は始まる(4) 3回にわたってウォーカブルシティ(歩ける街)の可能…

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佐々木俊尚
2か月前
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登山でも散歩でもない、新しい徒歩の旅〜フラット登山という提案①

登山というと「つらい」「歩くのだるい」「足が痛い」という印象を持つ人が多いようです。そういう意見に対し、山慣れてるしてる登山者の中には「体力つければ大丈夫」「そ…

佐々木俊尚
2か月前
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ワーク・クッキング・インテグレーションという新たなライフスタイル 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.816

ワーク・クッキング・インテグレーションという新たなライフスタイル 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.816

特集 ワーク・クッキング・インテグレーションという新たなライフスタイ〜〜〜令和時代は「時短料理」から「気持ちいい料理」へ(3)

2010年代は、「ていねいな暮らし」という流行語に象徴される新しい生活文化と、平成ブラック時代の末期に男女ともにクタクタになるまで働き家庭料理には「時短」を求めるという、二律背反した方向に引き裂かれていた時代でした。

2000年代が「投資で一発逆転しよう」という楽天的

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「ていねいな暮らし」と「時短料理」の矛盾に彩られていた2015年 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.815

「ていねいな暮らし」と「時短料理」の矛盾に彩られていた2015年 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.815

特集 「ていねいな暮らし」と「時短料理」の矛盾に彩られていた2015年〜〜〜令和時代は「時短料理」から「気持ちいい料理」へ(2)

1986年の男女雇用機会均等法を経て、1990年代になると女性の社会進出が本格的に始まり、これにともなって家庭料理の世界にも変化が現れます。それまでの「家庭料理の継承」「おふくろの味を夫に作ってあげる」といった伝統的な内容から、電子レンジを駆使するなど「時短」に重きを

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音楽と家庭料理の変遷から、時代の空気の変化を学ぶ 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.814

音楽と家庭料理の変遷から、時代の空気の変化を学ぶ 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.814

特集 音楽と家庭料理の変遷から、時代の空気の変化を学ぶ 〜〜〜令和時代は「時短料理」から「気持ちいい料理」へ(1)

甲南大教授で社会学者の阿部真大さんに『地方にこもる若者たち 都会と田舎の間に出現した新しい社会』(朝日新書、2013年)という著書があります。

中央メディアではあまり取りあげられない地方の若者の実態や価値観を描きだした好著なのですが、特に面白いのが1980年代から2010年代にか

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クソリプの存在を無視せず、かといって言いなりにもならない良き議論とは 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.813

クソリプの存在を無視せず、かといって言いなりにもならない良き議論とは 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.813

特集 クソリプの存在を無視せず、かといって言いなりにもならない良き議論とは〜〜〜マスコミとネットと政治の関係の未来を考える(5)

クソリプの構造を解析していくという壮大な目標の本シリーズ。いよいよ最終回です。これまで以下のマトリクスでクソリプの構造を見てきました。クソリプを送る人は以下のDに当てはまっている人たちです。

A)マクロの視点/解像度が高い

B)ミクロの視点/解像度が高い

C)マ

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うっかりクソリプ投稿をしてしまわないための視点とは 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.812

うっかりクソリプ投稿をしてしまわないための視点とは 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.812

特集 うっかりクソリプ投稿をしてしまわないための視点とは〜〜〜マスコミとネットと政治の関係の未来を考える(4)

クソリプの構造を解析していくという壮大な目標の本シリーズ。前回は、何かの発言をする際に、その発言の考察の解像度が高いか/低いか、視点がマクロ(鳥の視点)か/ミクロ(虫の視点)かという二つの軸でマトリクスを描くということを解説しました。

A)マクロの視点/解像度が高い

B)ミクロの視

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登山の魅力を「官能的」ということばで再定義する〜フラット登山という提案⑤

登山の魅力を「官能的」ということばで再定義する〜フラット登山という提案⑤

登山で「登りたい山ランキング」などを見ると、上位にはそりゃそうだろうなあ〜という山々が並んでいます。富士山、槍ヶ岳、奥穂高岳、剱岳、北岳、白馬岳……。たしかにこれらの山は魅力的だしカッコいいし、とくだん異論があるわけではありません。しかしわたしがこういうランキングを見るといつも微妙な気持ちになってしまうのは、毎年リクルートがやってる「住みたい街ランキング」と同じにおいを感じるからかもしれません。

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クソリプの構造をマトリックスを描いて解き明かす 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.811

クソリプの構造をマトリックスを描いて解き明かす 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.811

特集 クソリプの構造をマトリックスを描いて解き明かす〜〜〜マスコミとネットと政治の関係の未来を考える(3)

現代のSNS社会は、だれもが専門家であるのと同時に、だれもがクソリパー(クソリプを送ってしまう人、つまり頓珍漢な見解を堂々と発表してしまう人)になりうるのだということを前回は解説いたしました。

これは一般人に限らず、研究者や弁護士、会計士など専門職とみられ世間から尊敬されている人も同じで

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なぜワイドショーのコメンテーターはクソリプみたいな発言をするのか 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.810

なぜワイドショーのコメンテーターはクソリプみたいな発言をするのか 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.810

特集 なぜワイドショーのコメンテーターはクソリプみたいな発言をするのか〜〜〜マスコミとネットと政治の関係の未来を考える(2)

テレビのワイドショーに出てくるコメンテーターとは、いったいどのような存在なのでしょうか。そもそもコメンテーターは必要なのでしょうか。

ワイドショーをときどき目にすることがあるのですが、コメンテーターの人の発言を見ていると奇妙な感慨が湧いてくることがあります。どのようなも

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広大で歩きやすく、心も晴れる日光戦場ヶ原〜フラット登山という提案④

広大で歩きやすく、心も晴れる日光戦場ヶ原〜フラット登山という提案④

日本の誇る巨大観光地・日光。東照宮に華厳の滝、中禅寺湖、戦場ヶ原、そして男体山や女峰山などの峰々と、日本の素晴らしい自然景観を圧縮して一か所にまとめたテーマパークのようなところです。東京からも近く、新宿から東武線直通の特急も出ています。座ったままで新宿から2時間で東武日光に着いてしまうのは本当に楽。

オーバーツーリズム気味な観光地としての日光とはいえ、日光ならではの面倒くささもあります。まず日光

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インターネット世論は政治をどう動かしていくのか? 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.809

インターネット世論は政治をどう動かしていくのか? 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.809

特集 インターネット世論は政治をどう動かしていくのか?〜〜〜マスコミとネットと政治の関係の未来を考える(1)

新聞が販売部数を激減させ、近い将来には消滅に向かうことがほぼ確定しつつあります。一部の新聞は生き残るでしょうが、かつてのような「新聞が世論を作る」というパラダイムが消滅しつつあるのは間違いありません。

現状では、全体の部数が半減したとは新聞はまだ影響力を保っています。この背景には、高齢

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軽井沢から、廃バスと廃墟の峠道をたどって〜フラット登山という提案③

軽井沢から、廃バスと廃墟の峠道をたどって〜フラット登山という提案③

日本人はどんなスポーツでも「道」にしようとする、という議論があります。伝統的な柔道や剣道だけでなく、野球のような外来のスポーツまで「野球道」にして、そこに我慢強さや忍耐のような精神鍛錬のスピリッツを盛り込みたがる。

水戸黄門のテーマ曲みたいな辛い登山これは登山でも同じです。重い荷物を背負って、重い登山靴を履いて、きつい登山道をひたすら登って、栄光の山頂を目指す。つらければつらいほど良いのだ!とい

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イノベーションを満たすための「三つの要件」とは何か 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.808

イノベーションを満たすための「三つの要件」とは何か 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.808

特集 イノベーションを満たすための「三つの要件」とは何か〜〜〜スマホに続いてVR、生成AIは社会を変えることができるか

イノベーションとは何でしょうか。日本では過去に「技術革新」と訳してしまったこともあり、技術が進化することをイノベーションであると誤解している人がいまだ少なくありません。しかし現代の概念としてのイノベーションは、単なる技術進化ではなく、新しい技術によって産業界や社会が大きな変化を

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アリゾナの「クルマのない街」実験は、ウォーカブルシティの未来か 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.807

アリゾナの「クルマのない街」実験は、ウォーカブルシティの未来か 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.807

特集 アリゾナの「クルマのない街」実験は、ウォーカブルシティの未来か〜〜〜「歩ける街」の楽しさから観光立国の未来は始まる(5)

ここまで4回にわたってウォーカブルシティ(歩ける街)の可能性について解説してきました。ウォーカブルシティの未来は、自動運転の実現とセットで考えていく必要があります。つまりレベル4〜5の完全自動運転が実現し、都市を無人タクシーが縦横に走り回ってバスや鉄道などの公共交通を代

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栃木のウユニ湖・渡良瀬遊水池の地平線〜フラット登山という提案②

栃木のウユニ湖・渡良瀬遊水池の地平線〜フラット登山という提案②

「フラット登山」こと登らない登山の第一回目は、栃木のウユニ湖との異名を持つ渡良瀬(わたらせ)遊水地をめぐる旅。「登らない登山」どころか、山でさえありません。かといって散歩かというと、散歩の域はとうに越えてるぐらいな「旅感」があります。どこまでも広々とした土地を、地平線を求めてどこまでも歩く旅、という感じなのです。

決して山頂を目指す登山ではない。しかし散歩でもない。歩行4時間ぐらいなので、ロング

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完全自動運転が実用化し、普及した社会を描写してみる 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.806

完全自動運転が実用化し、普及した社会を描写してみる 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.806

完全自動運転が実用化し、普及した社会を描写してみる〜〜〜「歩ける街」の楽しさから観光立国の未来は始まる(4)

3回にわたってウォーカブルシティ(歩ける街)の可能性について解説してきました。今回は、この「歩ける」という都市機能が自動運転の実用化によってどう影響を受けるのかということを論考していきます。

いまタクシーの「台数足らない」問題が大きな議論になっています。この問題は都市と地方、あるいは都

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登山でも散歩でもない、新しい徒歩の旅〜フラット登山という提案①

登山でも散歩でもない、新しい徒歩の旅〜フラット登山という提案①

登山というと「つらい」「歩くのだるい」「足が痛い」という印象を持つ人が多いようです。そういう意見に対し、山慣れてるしてる登山者の中には「体力つければ大丈夫」「そんなの慣れだよ」とバカにする人もいます。そういうちょいと「上から目線」が、結果的に登山と社会の距離を遠くしてしまってる。

登山というものに対する固定観念もあります。「ヒイヒイ言いながら急な登山道を歩いて、なんとか頂上に到達して達成感を味わ

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