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無免許講師が往く、ドラム講義⑤<フォームの作り方編>

今ひとつ収まりの良くないタイトルですがご容赦下さい。デリケートな内容ゆえ、非常に苦慮しました。前回は「叩き方なんて、どうだって良い」から話を始めましたが今回も同様です。フォームにだって正解/不正解はないのです。個性的なフォームであるほど、個性的な音像が生まれてくる。アンチ蛸壺教育、アンチ金太郎飴教育を掲げる本講義、ただ突っ走るのみ。

スティックと練習パッド(あるいはそれに類するもの)、姿鏡があれば完璧。

まず練習パッドのない中空で一度目を瞑りスティックを構えてみて下さい。身体のあらゆる力を抜き一番落ち着く位置に。なんか宗教じみてきました。これは後々、ドラムセットを組む場面にも役立ってくる内容だと思います。卵が先か鶏が先かみたいな話ですが人間がいて初めてドラム演奏が成り立つ訳です。やっぱり新興宗教じゃないか。お客様、お待ち下さい。

つまり、楽器ありきで考えない。打面ありきで考える前にまず構えてみる。構えた位置に合わせて練習パッドの置き場所や高さを調整して下さい。これ結構、見落としがちな観点。投手志望の少年とてまずはシャドーから型作りを始めるもの。たぶん。キャッチャー役を座らせる前にまずやることが沢山あるはず。たぶん。野球大好きっ子ですがしかし知識は浅い。

いきなり左右交互に叩き始めた貴方、なかなか浅い。

第一は左右同時に。細かなフォームを気にする前にまず同時打ちしましょ。主宰は魔法使いでもメンタリストでも何でもありませんが、恐らくは初対面の方に同時打ちしてもらった瞬間利き手を言い当てられる自信があります。それほど動きにハッキリと現れるもの。身体が片方に傾いていたり腕の振り幅が全然違ったり、そもそも叩き方がわからない状態だったり。

ある程度概観した上で、ガミガミ言っていきます。まずは左右対称の動きに近付ける努力をしてみましょう。利き手と同じ動きを心掛けてみて下さい、大半の方がこの段階でかなり苦労するはず。左右交互に叩き始めるのはまだまだ先の話。腕だけでなく、手首、指の添え方まで全部統一できれば理想。しかし握力や筋力の差で音色が統一できない恐れもある為、慎重に。

「これからは利き手じゃない方でお箸を使って下さい」とか、正気か?

もう令和も4年です、そろそろ何か違うアプローチが定型化することを切に願うばかり。とはいえ利き手に近付けようとすればするほど、余計歪な動きになってしまうはず。基準がわからなくなっちゃうんですよね、主宰も経験あり。そういう時はもう、スティックを取り上げてしまうことにしてます。怪しい施術の始まり始まりです、残念でした。

もとい。スティックを置いて、練習パッドを手で叩いてみましょう。馬鹿にするのも大概にせえと。これにもれっきとした理由がありまして。先の話に戻りますが、人間がいて初めてドラム演奏が成り立つ。なればこそ腕があるからスティックが握れるという訳です。なるべく「腕の動きの延長線上で、スティックワークを考えるべき」だという立場からの意見。

「脱力して下さい」とだけ伝えると皆カマキリみたいな動きになっちまう。

主宰はカマキリ大好きっ子ですが、ハリガネムシの一件だけは生理的に。。そんな話はさておき、できる限りリラックスした状態で腕を振ることだけに集中したいところです。主宰は経験的に、脱力後即カマキリ化してしまう方には一人残らずドラムの才能があると感じております。素直な反応が返ってくると安心するんですよね、雑念が入ってない証拠です。伸びる伸びる。

手首の動きはあくまで腕の動きに付随するものだと考えて下さい。最悪何も考えなくて大丈夫。カマキリ化が進むと、腱鞘炎のリスクが超爆増します。練習パッドを手で叩く時の、あの自然な手首の動きをそのままスティックでやれば良いだけなのです。糸で吊るされるイメージとか余計なこと言うから人類皆カマキリみたくなってしまうだけで。

もっと大切なことがありました。できるだけ、脇を広げて叩きましょう。

カマキリの話をし過ぎました。脇を絞めると出音が詰まります。宗教めいた話をしますと脇の下って滅茶苦茶「響きが滞留する」ポイントなんですよ、スティックを振り抜けば振り抜くほどそれが露骨に感じられる。喉を絞めた歌い方の人ってもれなく全員声が詰まってますよね、苦しそう。あれと同じです。空気の振動が音になる訳ですから、通り道が必要です。

ドラマーは呼吸が大切なんて言われるアレもあながち精神論ではないです。息の流れが途切れると脳の血の巡りが悪くなりますから、両手両足あれこれ考えて叩かなきゃいけないドラマーにとって死活問題にもなりますし。単純に、身体の中まで楽器の音が響くような感覚は、叩いていれば誰もが一度は味わうはず。余計な力が入ると脇が締まる。脇を開くとその力も抜ける。

できる限り宗教チックな話題を人間工学で文章化したい所存。次回へ続く。

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