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《七十二候》金盞香‥きんせんかさく


『金盞香‥きんせんかさく』
                                          11月17日から21日頃


金盞香‥の金盞とは黄金の杯(さかずき)のことで
水仙の異名だそうです。
黄色の部分を杯、白い花弁を銀の台にたとえて中国でそう呼ばれていたことが由来だとか。



わたしには、黄色のくちばしの鳥さんのように見えるのですが‥その話は、ちょっと置いときまして‥。笑
  


先日、一輪でもどこかに咲いていないかなと
探してみましたが
やはりまだ水仙が咲くには早く‥。


七十二候の暦の方が、どんどん先に進んでいくので記事の写真は昨年撮ったものや
一昨年撮ったものなどを織り交ぜつつ‥。



本当の季節が後からゆっくりと
追いかけてくるような‥
そんな追いかけっこを秘かに楽しんでいたりします。
 


今は歩いていると
あちらこちらに菊の花。









そして庭には今週はじめに
山茶花も咲き始めました。



 



そんな風に水仙も、もう少しすれば
かわいいお顔を見せてくれることでしょう。




雪のまだ残るうちから花開くことから
『雪中花』とも呼ばれ
冬の寒さの中、背筋を真っ直ぐに咲く姿は
凛としていて、水仙を見るたび心締まる思いがします。




水仙の学名である「ナルキッソス」とは
ギリシャ神話に登場する美少年ナルキッソス
から付けられたというお話を
ご存知の方も多いのではないでしょうか。




いくつか説があるようですが
わたしの知っているお話の中では



美少年ナルキッソスはその美しさから
数多くの女性から求愛されていたものの
冷たい態度ばかりを取っていたため、女神を怒らせてしまいました。
そしてナルキッソスに「自分自身に恋をしてしまう」という呪いをかけたのです。

ナルキッソスは毎日のように水面に自分を写し
自分に恋をし、そして煩い、食事も通らず最後は動かなくなり‥。



池を覗きこむその姿が水仙のように見え
そこから名付けられたようです。




ナルシズム(自己愛)ともいえるこの神話は
少し極端ではありますが、自分を愛する気持ち
大切に思う気持ちは大切なこと。




一番長い付き合いになる自分自身なのに
なかなか、その心は見えなくて
どこまでが限界なのか分からず無理をして
気づけば疲れが蓄積していたり‥。
皆さんにも経験があるのではないでしょうか。


それでも少しずつですが
歳を重ねていく中で
自分自身のことが分かってきた部分もあり‥。


これから迎える年末年始を前に
後回しにしてしまいがちな自分自身の心や
健康状態を知ること‥。
時にふと立ち止まり自分に問いかけてみたり。

そんな時間を
意識的に持てたらいいなと思います。



とは言いつつ、性格的になかなか難しいのが現状なのですが‥。笑





さて話は戻りますが
本来、キンセンカと聞いて最初に浮かぶのは
オレンジ色や黄色に輝くこちらの花では
ないでしょうか。




街に色が少なくなるこれからの季節。
どうしても気持ちや身体も寒さで硬くなりがちですよね。



そんなグレイの空の下
暖かみのある色が優しく微笑んでくれているようで‥見かける度なんだか安心するのです。

誰かにとってそんな風に、心辛い日にもほっとできるようなそんな記事を書きたくて
今もこうして文字を綴っているのかもしれません。





最後に百人一首から
紅葉の句をひとつ。



山川に風のかけたるしがらみは流れもあへぬ紅葉なりけり

百人一首三十二番歌
春道列樹



【現代語訳】
山奥の川に風が掛けた柵(しがらみ)は
川面に散ったもみじだったのです



美しいもみじも、風が吹き一枚二枚‥と
舞い散り‥。道を遮るほどに川面に浮かび‥。


青々と輝いていたもみじは夏を経て
秋を迎え、紅色となり
そして命尽きるその瞬間まで美しい。



人間もそう。
社会のしがらみの中、悩み苦しみながらも生き
最後のその瞬間までも
かけがえのないひとつひとつの命‥なのです。





























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