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Tree In Progress

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主に屋外で描く植物のドローイングを軸にした、「線を引く」ことから制作を再考する試み。 ドローイングを元にした銅版画も制作。 ‘23 5/6〜23柳沢画廊(埼玉県)にて個展。 同年…
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#この経験に学べ

Tree In Progress_Iide 発表

Tree In Progress_Iide 発表

 滞在期間も終わりに近づき、発表の準備。

 飯豊の人ん家の古びた雪囲いの板は、和紙に擦ってみると、製材したばかりのものとは異なる品の良さを感じました。尖っていない雰囲気、丸みが滲み出るような柔らかさと言うか・・・。これはWSを開催したことでわずかな違いに気づいたような気がします。
 追加で送ってもらった深山紙の微妙な色味のお陰もあるかもしれません。

 道の駅に飾り付けました。絵の前に置かれてい

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長く居たいと感じさせる内装

長く居たいと感じさせる内装

 個展開催中のあまねや工藝店に在廊し、オーナーのお話しを伺う中で、外装のこだわりはもちろん、その内装への独自の視点も知りました。
 例えば写真の上の方にぶら下がっている木の枠のようなもの、これははじめただの装飾かと思っていましたが、そうではありませんでした。

 なんと、外に走っている電線を視線から遮るために横の線を入れたくて、わざわざ作ってぶら下げて時々塗り直しているとのこと。そのこだわりに驚き

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コレクターさんからの写真/ユーカリ、椿と忘れな草のドローイング

コレクターさんからの写真/ユーカリ、椿と忘れな草のドローイング

 5月に開催した地元の個展にて、作品をコレクションしてくれた方々から、飾っているお写真を頂きました。全てSNS掲載の許可を頂いています。

 作品を制作している作家は、他の方の元へと自作が一度旅立ったら、もうその姿を見ることは通常出来ません。それはその方のプライベートな空間で楽しむものになるのが一般的だからです。そしてほとんどの場合、作家よりもコレクションした方の方が、その作品と長くその後の時を共

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「ニュートン」銅版画制作動画/腐食

「ニュートン」銅版画制作動画/腐食

 この制作動画も含め、今回のシリーズ Tree In Progress は自らの撮影ではなく、カメラマンに撮影をお願いしました。
 技法ハウツーのような説明動画や、過度にポップな感じではなく、あくまでも現場のリアルを感じられるような方向性で、とだけお願いしてスタート。
 細かいことは何も言わず相手のセンスに完全にお任せ。

 その中でも今回のこの動画には度肝を抜かれました。一見何も変化がない腐食液

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古くて良いもの

古くて良いもの

 現在個展中の福岡のあまねや工藝店。
 外観からちょっと足を止めて、なんだろうここは。と思わせるような建物です。実際、在廊中に外国人バックパッカーが自転車から降り、入店してきました。

そのお隣も古くてかっこいい外観の建物。

 紫陽花の生け方にも家主の品が感じられます。壺とのコントラストも美しい。古い建物はもうそんなに残っていないそうです。

齋藤悠紀個展_進化する樹木

お問い合わせ:
あま

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福岡散策とコーヒーと絵

福岡散策とコーヒーと絵

 福岡二日目の朝は天神の方まで散歩。賑やか。

 更に川沿いを歩き、コーヒー屋さんへ。
 実はここは福岡に来る前から狙っていました。制作風景などを撮影してくれたカメラマンがくれた豆が、ハッとするような香り。すぐに調べてみたところ、なんと福岡にしかない店でした。しかも個展中のあまねや工藝店のほど近く。奇妙な縁を感じずにはいられません。

 お店の人と話していると、オーナーはあまねやのオーナーとも懇意

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友人夫婦の手料理と短歌/鉢植えのユーカリを描く。

友人夫婦の手料理と短歌/鉢植えのユーカリを描く。

 数日間、奈良の友人夫婦のご自宅にお邪魔させてもらうことに。毎回関西で展覧会の度にお世話になっています。その間に家族も増えました。

 写真の米粉パンは、実は高校時代からの付き合いの友人が作っているもの。愛知に移住し、「米花」というパン屋さんを続けています。遠征の時には必ず注文しみんなの朝食にしています。

 早朝ドローイング。尋ねてきた時から気になっていた友人宅のユーカリの鉢植え。朝に描かせても

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個展、千秋楽。

個展、千秋楽。

 個展最終日は寒い雨でしたが、それでも来てくれるお客さんもいました。
 最後の月火は作家が多かったとのこと。月曜日に会えなかった方々も。やはり行っておけば・・・と思いましたが、ちょっと疲労が溜まっていたのでのんびりしました。「のんびりする」というのをきちんと決めてとる勇気もいる。

 そして本日2週間ちょっとの会期を無事に完走しました。
 あり難いことに福岡への巡回も決まっています。
 柳沢さんと

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紙はまっさらな場?

紙はまっさらな場?

柳沢画廊の個展の2階にオーナーと共にレイアウトし飾りつけた小さなドローイングたち。
 全て、自分で染めた洋紙や和紙を各地へ持参し、そこで描いた作品です。現在進行形です。その場で描き始め、その場で描き終えます。
 中には実際にかなり古いレアな紙もありますが、ほとんどが自分が版画制作等で使用し、発表はしなかったここ20年くらいの、紙のハギレの裏側に描いています。

 私のオリジナルスケッチブックについ

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「その絵が良い」と思う無数の道筋。

「その絵が良い」と思う無数の道筋。

個展も終わりが近づいてきたので、朝から撮影をお願いしました。

 今日はこれまでと打って変わってお客さんが多く、午前中から閉廊するまでほぼ途切れずにずっとお話をしていました。銅版画を欲しいと申し出てくださるお客様が、ポツリポツリと現れました。そして、今回の樹木のドローイング(1点もの)の出品作の中でも最大の、ノカンゾウをテーマに描いたものを気に入ってくれる方とも出会えました。感謝です。

 お客様

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「荒れ地のヒマワリ」銅版画制作動画/刷り(雁皮刷り)

「荒れ地のヒマワリ」銅版画制作動画/刷り(雁皮刷り)

 前回の動画で引っ掻いて作った版を刷る。
 動画の機械漉きのもの以外に、古い染みのあるロクタ紙(チベットの手漉き紙)に刷った特別版もあります。

作品のお問い合わせは柳沢画廊へ。

「荒れ地のヒマワリ」銅版画制作動画/ひっかく。

「荒れ地のヒマワリ」銅版画制作動画/ひっかく。

 金属板を直接削り、削った痕跡にインクを引っ掛けて紙に刷りとる技法をドライポイントと言います。
 マスキングし、腐食液で溶かす時間の長さによって濃淡が生じるエッチングとは違い、力の入れ方が濃淡に直結している感覚的な技法です。
 引っ掻いているところを動画で撮影してもらいました。力を込めるところは思いっきり体重をかけています。逆に抜くところはサラサラと擦るだけ。「描く」という感覚とは全く異なります。

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ジャズと植物のドローイングと

ジャズと植物のドローイングと

 浦和で開催中の個展、「Tree in Progress」
 オーナーの柳沢さんはジャズに造詣が深く、私のドローイングから浮かんだ曲をその時々に付け、インスタグラムに投稿してくれています。

林檎の樹と、デューク・エリントン「イン・ア・センチメンタルムード」

荒れ地のヒマワリと、クリスチャン・マクブライド「Little Sunflower」
これはぴったりのタイトルですね。

菖蒲の花と、Bil

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