父の背中は越えられない。
◾️思春期に手が掛からなかった。
・昔、母は私にこう言った「子どもたちの中で、あなた(サイゴン山本)が一番手が掛からなかった」と。
・親に歯向かうことなく思春期を終え、仕事や遊び等で真夜中に帰る日々が続き、母親に小言を言われる事が多くなった。
◾️お母さんごめんなさい。
・ある日私は母の小言に我慢できず、母が傷つくような言葉を選び、母を罵った事があった。母は黙っていた。
・隣にいた父が口を開くが私を叱るわけでもなく、いつものような穏やかな口調と言葉遣いで、私にこう言った、「私の愛した女性に、そういう口の聞き方言い方は止めてくれないか」と。
◾️父の大きな背中。
・私はその言葉を聞いた瞬間、自分の部屋にすかさず戻った、布団にくるまった、そして「お母さんごめんなさい、お父さんごめんなさい」と両親に聞こえないように謝り続け枕はぐっしょり涙で濡れた。
・同時に私は「子どもはきっとお父さんという存在を越える事はできないのだろう」と感じた。
・生まれてから之迄そしてこれからも、父の大きさ、母の優しさに私は守られていく事を近くにいても遠くのベトナムにいても常に感じている。
・だからこそ、日本にいる両親、兄弟と会える日をいつも楽しみにしているし、彼らと迎える時間を大切にしたいと願っている。