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詩 『ZERO ~終わりの始まり』

作:悠冴紀


雪が降り積もる
枝から舞い落ちた枯れ葉の上に
すべてを無に返す 白い雪が

この終わりは
旅の始まり
束の間の平穏に中断された
忘れかけていた歩みの再開

遠くへ行くよ
本来の私に相応しい彼方
どこでもない枠組みの外側へ

築き上げたものを 自ら打ち壊し
あるべき道のため 初期化する


そうして何度も 再生してきた

接した人々の瞳の中で
私の背中が消えていく

白く不透明なきりの彼方へ
私はあえて 消えていく

── 舟が見える
霧にかすんだ一艘いっそうの舟が

音もなく 漕ぎ出して
湖面の彼方へ 消えていく

後ろに残してきたものの記憶は
やがて詩に変わるだろう

もやに包まれ
情緒深く薄れ
時が静かに 折り畳んでいく

色を失くした木の葉は 大地に還り
新たな芽吹きをもたらすだろう

別れは旅立ち
そして躍進

目の前の『今』が2つに分かれ
昨日が遠く 離れていく


リセットすべきときが
やってきた

振り出しに戻り
ゼロから再び歩み出す

湖水に流れた私の木の葉も
やがては詩に変わるのだろう

接した人々の記憶の中
霞のかかった昨日を背景に
白い風に紡がれて・・・・・・

私は原点へと立ち返る
すべてを初期化し 今再び

そこは旅の後に 帰るべき場所
そして旅の前に いたはずの場所

旅が始まろうとしている
昨日のすべてに別れを告げて
新たなる 続きの旅が
──


* * * * * * *

※ 2013年12月(36歳当時)の作品。

この時期、実生活でちょっとした変化があり、 転機を迎えるにあたって心境を綴ったのが、この作品です。

終わりの始まり。その繰り返しと積み重ねが、まさに人生という螺旋状らせんじょうの旅なのかもしれませんね。

注)シェア・拡散は歓迎します。ただし、この作品を一部でも引用・転載する場合は、必ず「詩『ZERO~終わりの始まり』悠冴紀作より」と明記するか、リンクを貼るなどして、作者が私であることがわかるようにしてください。自分の作品であるかのように公開するのは、著作権の侵害に当たります!

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